40.建築基準法

(1) 法律・制度の目的
建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資する。

(2) 法律・制度の概要
建築物等の基準として、いわゆる「単体規定」と「集団規定」が置かれている。
「単体規定」は、個々の建築物が単体として具備していなければならない構造耐力、建築防火、建築衛生等に関する安全確保のための技術基準である(第2章、第19条〜第41条)。「集団規定」は、建築物の集団である街や都市において要求される安全かつ合理的な土地利用、環境向上のための建築物の秩序を確保するための基準である(第3章、第41条の2〜第68条の26)。

(3) 政省令
建築基準法施行令
建築基準法施行規則

(4) 規制等の概要
1)対象
建築構造、建築物

2)規格・基準、検査等の概要
i. 規制等の内容
ア.建築構造方法
木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の我が国において一般的に使用されている構造種別ごとに遵守すべき技術的基準を規定するとともに、一定規模以上の建築物については、構造計算により安全性を確保することを義務づけている(第20条)。平成11年以降、仕様規定に代わって性能規定が導入され、建築物が一定の性能を満たすとの条件の下、枠組壁工法等の様々な材料、設備、構造方法等を採用できることとされている。特に、使用の前例がなく仕様規定が設けられていなかった輸入建材でも一定の性能を満たすことで使用が可能となっている。

イ.防火性能等
建築物の防火性能等を確保するため、建築物の規模、用途等に応じて、建築物の部分に使用する構造(耐火構造、防火構造など)、材料(不燃材料、準不燃材料など)等が規定されている。それぞれに対して、その防火性能等を検証するに当たっての試験方法が国土交通省告示等で定められており、この試験に合格し、国土交通大臣の認定を受けたものは、防火材料等として使用が可能となる。

ウ.用途地域規制
都市計画において用途地域(第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域及び工業専用地域)が定められた地域内においては、それぞれの用途地域の目的に従って、一定の建築物(例えば、住居専用地域における工場、倉庫、劇場等)について建築が禁止されている(第48条)。しかし、それぞれの用途地域内において建築禁止とされる建築物であっても、利害関係人の出頭を求めて公開による意見の聴取を行い、かつ、建築審査会の同意を得た上で、特定行政庁(都道府県知事等)が住居の環境を害するおそれがない、商業・工業の利便を害するおそれがない等と認めて許可した場合には、建築できるとされている。

ii. 試験・認証制度の概要
ア.建築確認・検査
建築確認等は、地方自治体の「建築主事」または、「指定確認検査機関」が行う。審査は、建設前段階の建築確認及び完了検査であるが、建築物によっては、中間検査が必要とされる(第6条、第6条の2)。これらの確認・検査終了後、建築基準への適合性が認められれば、「建築主事」又は「指定確認検査機関」は「確認済証」又は「検査済証」を交付する。中間検査とは、特定行政庁が必要に応じ、一定の構造、用途等の建築物について、工程を指定して実施する検査である。指定されると、中間検査合格証の交付を受けなければ工事を続行することができない(第7条の3)。

建築確認のフロー

(注)建築主事および指定確認検査機関の確認検査員は、検定試験に合格し、国土交通大臣に登録されている「建築基準適合判定資格者」である。

イ.型式適合認定
従来、建築物が建築基準法令に適合しているかどうかは、建築確認等の検査で建築主事が個別に確認することになっていたが、法改正により、エレベーターのように同一の型式で量産される建築設備(量産タイプの住宅も含む)など、予め基準への適合性を定型的に判断できるものについては、国土交通大臣の型式認定を受けることにより、建設段階での適合性検査等の対象外とされる。したがって、型式認証を受けた建築資材等については、建築主事等は、これらが認定を受けた型式に適合しているかをチェックすればよいことになった(建物の型式では、建築計画全体)。なお、国土交通大臣は、型式適合認定、型式部材等製造業者の認定を、国内では「指定認定機関」海外では「承認認定機関」に行わせることができるとしている。

【型式適合認定フローチャート】

形式確認のフロー

(5) 最近の法令等改正の要点
建築基準法は、これまでに数度の改正を経てきているが、近年の主な改正は以下の通りである。
1)平成15年7月以降、シックハウス対策に関する規制が適用されている。規制の対象となる建材は、平成14年国土交通省告示第1113号で限定列挙されているもので、これらを内装の仕上げ等に用いる場合には、JIS、JAS、国土交通大臣の認定の取得等によって種別(等級)等を明かにする必要がある。規制対象とされる化学物質は、ホルムアルデヒドとクロルピリホスで、ホルムアルデヒドについては、1)内装の仕上げの制限、2)換気設備の義務付け、3)天井裏等の制限がある。クロルピリホスについては、居室を有する建築物への利用が禁じられている。

2)平成17年6月以降、既存不適格建築物(建築当時の建築基準法令に適合しているもので、建築後の法令改正により現行法令に適合していない建築物。違法建築物ではない)のうち不特定または多数の者が利用するものについて、劣化が進み、放置すれば著しく危険又は有害となるおそれがあると認めるときは、行政庁が所有者等に対して勧告し、必要な場合には是正命令を行うことができることとした。また、既存不適格建築物に増築等を行う場合、全体的な改修を前提に、その計画を行政庁が認定した場合には、工事に係る部分から順次基準に適合させることができるよう合理化が図られた。

(6) 参考情報
問い合わせ先:
・国土交通省住宅局建築指導課
03-5253-8111(内線39564)Tel 03-5253-8513(夜間直通) http://www.mlit.go.jp
・(財)日本建築センター
Tel 03-3434-7161 http://www.bcj.or.jp