27.船舶安全法

(1) 法律・制度の目的
日本船舶の堪航性及び人命の安全を保持する。

(2) 法律・制度の概要
船舶の安全を確保するために、必要な構造・設備要件等を定め、これらの要件を満たしているかの確認をするため、船舶検査を実施している(第5条、第6条)。受検者の負担を軽減するため、大量生産される船舶又は船舶用物件において、型式承認制度等を導入し船舶検査の合理化を実施している(第6条の2、第6条の3、第6条の4)。

(3) 政省令
船舶安全法施行令
船舶安全法施行規則
船舶設備規程
船舶等型式承認規則
小型船舶安全規制 等

(4) 規制等の概要
1)対象品目
日本舶舶(本邦施行地内のみを航行する外国船舶についても、一部準用)

2)規制等の概要
i. 基準
船体、機関、救命設備、消防設備、航海用具等の技術基準については、船舶の国際性に鑑み、国際条約(海上人命安全条約等)に準拠して定められており、国際海事機関(IMO)での条約改正手続きを経て、これを国内法化している。

ii. 検査
<新造時>
設計検査、製造中検査(材料、溶接、耐圧等)、完成検査(海上試験運転等)を実施。なお、輸入艇にあっては、完成品として輸入されることから、製造中検査等我が国において検査を行うことが困難なものも多いが、かかる場合においても外国試験機関のデータの活用等により、その円滑な実施を図っている。

<就航後>
定期的に現状検査、強度、効力確認検査等を実施している。
定期検査、中間検査、臨時検査等については船舶所有者が、製造検査については船舶製造者が、検査申請を行う。総トン数20トン以上の船舶については、管海官庁である地方運輸局又は海運支局(本邦外の船舶又は物件については関東運輸局)の船舶検査官等が検査を行い、総トン数20トン未満の船舶(特殊船などの特定の船舶を除く)については、日本小型船舶検査機構が検査を行う。
検査の合理化制度として、予備検査に合格した物件を搭載する場合には、合格した事項については船舶の検査を省略する、認定事業場で行われた製造工事、整備等については検査を省略するなどしている。なお、定期検査は初めて船舶を航行させるとき、又は船舶検査証書の有効期間が終了したときに受ける検査で、中間検査は定期検査と定期検査との間(3年)に受ける検査となっている。

3)申請手続
船舶検査申請書に必要書類を添えて地方運輸局又は海運支局に提出する。

4)認証制度
船舶のうち型式承認・検定に合格したものについては、船舶に搭載後最初に行われる精密な検査が省略される。なお、外国メーカーの製品の型式承認については、外国試験機関のデータの活用等によりその円滑な実施を図っている。
船舶は、その構造、設備等について、一定の基準に適合していなければ、航行の用に供してはならない旨定められており(第1条)、これを確認するため、船舶検査を行い(第5条)これに合格した船舶には船舶検査証書を交付することとしている(第9条)。なお、船舶検査に係る合理化制度として、備えつける船舶が特定する前であっても物件を検査することができる予備検査制度(第6条)、一型式多量生産品について、型式ごとに承認し、一品ごとの詳細な検査を省略する型式承認制度(第6条の4)、品質管理能力が一定の基準に達している事業場において製造される物件については、製造中の検査を省略する製造認定事業場の制度(第6条の2)等がある。

〔認証制度のフローチャート〕
ア.船舶検査(新造時の検査)
船舶検査

イ.予備検査(対象品目:内燃機関、ポンプ、ボイラー、発電機、変圧器等)

予備検査

ウ.製造事業場の認定(対象品目:鋼製船体、蒸気タービン、内燃機関等)
製造事業場の認定

エ.型式承認(対象品目:航海用レーダー、救命胴衣、船灯等)
型式承認

(5) 最近の法令等改正の要点
1)検査時期の弾力化(例:旅客船以外の小型船舶の中間検査時期が、当該年次前1ヶ月から前後3ヶ月に弾力化)

2)沿岸小型船舶の技術基準の新設(2級小型船舶操縦士の免許で航行できる水域と同じ水域を航行する小型船舶の技術基準を設けることによる利便性の向上:平成16年)

(6) 参考情報
問い合わせ先:
国土交通省海事局
http://www.mlit.go.jp
安全基準課
Tel 03-5253-8636
検査測度課
Tel 03-5253-8639