54.特許法

(1) 法律・制度の目的
発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与する。

(2) 法律・制度の概要
特許出願は特許法に基づき審査した結果、登録される。
模造品を排除するためには、特許権者は自己の特許権を侵害する又はするおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(第100条第1項)。また、侵害によって生じた損害賠償(損害賠償請求(民法第409条)等の訴えを起こすことができる。

(3) 政省令
特許法施行令
特許法施行規則
特許登録令
特許登録令施行規則

(4) 規制等の概要
1)対象
産業上利用することができる発明をした者は次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる(第29条)。
i. 出願前に国内又は外国において公然知られた発明
ii. 出願前に国内又は外国において公然実施された発明
iii. 出願前に国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明
iv. 出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が i 〜iiiの発明に基づいて容易になしえた発明

2)規格・基準、検査等の概要
i. 特許権
特許権は、各国ごとに各国の法律により成立する。ただし、同盟国に特許の保護を義務づけたパリ条約がある。現在、知的所有権制度(特許制度)を国際的に統一しようとするルール作りが、WIPO(世界知的所有権機関)において行われている。なお、特許権の存続期間は出願の日から20年をもって終了する(第67条)。

ii. 申請手続(第36条)
特許を受けようとする者は、1.特許出願人の氏名(名称)及び住所(居所)並び法人にあっては代表者の氏名、2.発明者の氏名及び住所(居所)等の事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。願書には明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。また、明細書には、1.発明の名称、2.図面の簡単な説明、3.発明の詳細な説明を記載しなければならない。

(5) 参考情報
1)平成10・11年改正
知的財産権の保護強化と知的創造活動へのインセンティブの向上を図るために、法の一部改正が行われた。主な改正点は以下の通り。
i. 広く強く早い救済措置の実現
特許侵害時の損害額の計算方法の見直し(第102条等)、法人に対しての侵害の罪の罰則の見直し(第201条等)、特許侵害に対する救済措置(主に立証方法)の充実(第105条等)、申請による出願公開制度の導入(第64条)。
ii. 早期保護の実現
無効審判の審理の迅速化(第131条等)

2)平成14年改正
平成13年12月に産業構造審議会知的財産政策部会において産業構造審議会知的財産政策部会報告書「ネットワーク化に対応した特許法・商標法等の在り方について」が取りまとめられたことを踏まえ「特許法等の一部を改正する法律案」平成14年4月に成立した。主な改正点は以下の通り。
i. ソフトウェア等情報財の特許保護強化とネットワーク取引の促進
ii. 特許法の間接侵害規定の拡充
iii. 出願人の負担軽減と迅速かつ適確な審査の促進

3)平成15年改正
・平成15年2月に産業構造審議会知的財産政策部会において取りまとめられた内容を踏まえ、「特許法等の一部を改正する法律案」が平成15年5月に成立した。主な改正点は以下の通り。
i. 特許関連料金制度の改正
ii. 戦略的な特許取得を奨励する料金体系への移行
iii. 審査請求手数料返還制度の導入
iv. 減免措置の見直し
・特許権に関する迅速かつ的確な紛争処理の実現
i. 特許の有効性を争う紛争処理制度の一本化
ii. 特許の有効性を争う事件の迅速な解決
・国際的権利取得の円滑化

4)平成16年改正
平成16年5月に成立した「特許審査の迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律」により、1)指定調査機関制度等の見直し、2)特定登録調査機関制度の導入、3)予納制度を利用した特許料等の返還、4)インターネットを利用した公報の発行、5)実用新案制度の見直し、6)独立行政法人工業所有権総合情報館の業務拡大、7)職務発明制度の見直しについて改正を行っており、3)が平成16年6月4日(公布の日)から、1)及び6)は平成16年10月1日から、2)、4)、5)及び7)は平成17年4月1日から施行されている。
(6) 参考情報
問い合わせ先:
特許庁
http://www.jpo.go.jp
総務部国際課
Tel 03-3581-1898
審査業務部出願支援課
Tel 03-3593-0485
〃 方式審査課
Tel 03-3501-0689
〃 出願支援課登録室
Tel 03-3580-6843
特許審査第一部調整課
Tel 03-3501-0738