56.商標法

(1) 法律・制度の目的
商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する。

(2) 法律・制度の概要
出願された商標は商標法に基づき審査した結果、登録される。商標権者は自己の商標権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(第36条1項)。また、損害賠償(民法第709条)や信用回復の措置(第39条)の請求をすることができる。なお、商標法では、役務に係る商標(サービスマーク)と商品に係る商標は、同様の手続きで登録し、保護することとしている。

(3) 政省令
商標法施行令
商標法施行規則
商標登録令
商標登録令施行規則

(4) 規制等の概要
1)対象
自己の業務に係わる商品又は役務について使用する商標については、以下に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる(第3条)。
i. その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
ii. その商品又は役務について慣用されている商標
iii. その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
iv. ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
v. 極めて簡単でかつありふれた標章のみからなる商標
vi. i 〜 v のほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標。
ただし、i 〜 viに掲げる商標に該当しない商標であっても、先に出願された他人の登録商標や他人の周知商標と抵触する場合などは商標登録を受けることができない。

2)規格・基準、検査等の概要
i. 商標権
商標権は、各国ごとに各国の法律により成立する。ただし、同盟国に商標の保護を義務付けたパリ条約がある。

ii. 商標登録を受けようとする者は、1.商標登録出願人の氏名(名称)及び住所(居所)並びに法人にあっては代表者の氏名、2.商標登録を受けようとする商標、指定商品又は指定役務並びに第6条第2項の政令で定める商品及び役務の区分等を記載した願書に、必要な書面を添付して、特許庁長官に提出しなければならない。

(5) 最近の法令等改正の要点
WIPO(世界知的所有権機関)における商標制度の国際的調和及び簡素化を通じて利用者の利便性の向上を図る商標法条約の採択等に対応して、平成8年に法改正と関係法令の整備を行い、平成9年4月に同条約に加入している。さらに、平成11年にも標章の国際登録に関するマドリッド協定議定書への加入に対応した改正が実施されており、平成12年3月14日に同条約が我が国において発効した。

1)平成8年の改正
i. 手続の大幅な簡素化
商標権の更新時の審査の廃止 、複数区分出願の許容、書類の記載事項の簡素化等

ii. 商標権の早期付与の確保(付与後異議制度への移行)
従来、商標権を付与する前に認めていた異議申立は、商標権を与えた後に受け付ける制度(特許法と同様のもの)に移行する。

iii. 著名商標等の保護
外国の著名商標の盗用、国内の著名商標のただ乗り(フリーライド)など、不正目的による商標登録出願の登録を防止する。

iv. 立体商標の保護
文字、図形、記号等の平面的なものばかりでなく、広告用人形の形状等の立体的形状も商標として保護する。

2)平成11年の改正
i. 商標の早期保護のため及びその他の改正
・ 出願公開制度の新設
・ 商標登録前の金銭的請求権の新設
・ 設定登録料納付時における区分の減縮補正の認容

ii. マドリッド協定議定書加入のための改正
・拒絶理由通知を行える期間の法定化
・国際登録出願: 我が国より国際事務局に国際登録出願の願書等を提出するための規定
・国際商標登録出願に係る特例: 我が国以外の締約国が我が国を指定して国際登録の保護を受けようとするための規定
・商標登録出願等の特例: 議定書に基づく保護が失われた後我が国において保護を受けようとするための規定

3)平成14年の改正
i. ネットビジネスで使用される商標の信用保護強化
・ネットワークを介した商品流通、サービス提供及び広告等の事業活動において、画面上に表示して商標を使用する行為についても、商標権侵害となることを明確化した。

ii. 国際登録出願に関する補正の対象範囲の見直し
・マドリッド協定議定書に基づく国際商標登録出願の商標の補正は認められないことを明確化する。

iii. 国際商標登録出願についての個別手数料の分割納付
・国際商標登録出願の個別手数料のうち、登録料に相当する額について、国内出願の場合と同様、出願が国内で登録査定された場合に支払えば良いこととした。

4)平成17年の改正
地域ブランドをより適切に保護することにより、競争力の強化と地域経済の活性化を支援するため、地域名と商品名からなる商標について、団体商標としてより早い段階で登録を受けることを可能とする措置を講ずることを目的として、「商標法の一部を改正する法律」が平成17年6月に成立した。これにより、以下の各点が講じられることとなった。

地域名と商品名からなる商標(地名入り商標)について、事業協同組合や農業協同組合によって使用されたことにより、例えば複数都道府県に及ぶほどの周知性を獲得した場合には、地域団体商標として登録を認める。

地域団体商標が登録された後に、周知性や地域との関連性が失われた場合に無効審判の対象とするとともに、商品の品質の誤認を生じさせるような不適切な方法で登録商標を使用した場合に取消審判の対象とする。

地名入り商標の出願前から同一の商標を使用している第三者は、自己のためであれば当該商標を引き続き使用することができる。
なお、上記は平成18年4月1日より施行される。

(6) 参考情報
問い合わせ先:
特許庁
http://www.jpo.go.jp
総務部国際課
Tel 03-3581-1898
審査業務部出願支援課
Tel 03-3593-0485
〃 方式審査課
Tel 03-3501-6733
〃 商標課
Tel 03-3580-6864
〃 出願支援課登録室
Tel 03-3580-6843