51.関税法

(1) 法律・制度の目的
関税の確定、納付、徴収及び還付並びに貨物の輸出及び輸入についての税関手続の適正な処理を図るため必要な事項を定める。

(2) 法律・制度の概要
貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の品名並びに課税標準となるべき数量及び価格その他必要な事項を税関長に申告し、必要な検査を経てその許可を受けなければならない（第67条）。
また、申告納税方式が適用される貨物を輸入しようとする者は、当該貨物に係る関税の納付に関する申告をしなければならない（第７条）。

(3) 政省令
関税法施行令
関税法施行規則
税関関係手数料令

(4) 規制等の概要
１）対象
輸入貨物

２）規格・基準、検査等の概要
i. 規制等の内容
ア．貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の品名、数量、価格等必要事項を税関長に申告し、必要な検査を経てその許可を受けなければならない（第67条）。

イ．貨物自体に直接的に、又は貨物の容器、包装等に間接的に（「直接若しくは間接に」）、原産地以外の国等において生産されたことを示す表示（「偽った表示」）、また、明白に原産地を偽った表示ではないが、一般的に輸入貨物の原産地についてその使用者等に誤認を生じさせるような表示（「誤認を生じさせる表示」）がなされている輸入貨物については、輸入者の選択により当該表示を抹消若しくは訂正の上、輸入するか、又は積み戻しすることとなる（第71条）。なお、マドリッド協定では、原産地について虚偽の表示を有する貨物又は誤認を生じさせる表示を有する貨物は、各締約国によって差押え又は輸入禁止の措置がとられなければならないとされている。

ウ．当該輸入申告に記載した関税額の全部又は一部に相当する担保を提供したときは、その納期限を３か月以内に限り延長することができる（第9条の2）。

ii. 申請手続
ア．輸入申告及び納税申告は、輸入（納税）申告書に必要事項を記入し税関長に提出することによって行う（第7条）。
イ．関税（消費税及び地方消費税兼用）納期限延長承認申請書及び担保を輸入（納税）申告を予定する税関官署に提出することにより行う（第9条2）。
ウ．保税蔵置場許可申請書を当該保税蔵置場の所在地を所轄する税関長に提出することにより行う（施行令第35条）。

<事前教示制度>
事前教示は、申告納税制度における輸入者の適正な申告を助長し、申告納税制度の円滑な運用を図るために、税関では輸入申告前に、輸入者等から申告に必要とする関税率表番号、税率、課税標準等（以下「輸入制度等」という。）、その他手続上の諸事項についての教示を求められた場合には、その適切な教示に努めることになっている。教示は税関相談官室、統括審査官（通関担当及び為替担当等）、関税鑑査官、特別価格審査官、その他の担当部門で行われる。

○　税関相談官室の教示
輸入者等から通関に関する事項についての照会があった場合は、その照会事項が、税関相談官室で直接回答できるものであるときは直ちに回答する。

○　通関部門担当統括審査官の教示
貨物が我が国にすでに到着している場合において、その貨物の関税率表番号、税率、価格、内国消費税及び地方消費税の税率、統計品目番号、輸入制度などについて行われる。

○　関税鑑査官又は特殊鑑定部門担当統括審査官の教示
貨物が、まだ我が国に到着していない場合において、その貨物の関税率表番号、統計品目番号、輸入制度等について輸入予定地税関において行われる。

○　特別価格審査官又は評価担当統括調査官の教示
貨物の具体的な輸入予定がある場合において、その貨物の課税標準の基礎となる事実についての法令の解釈等に関するものについて、主要輸入予定地税関において行われる。

<保税地域制度>　
ア．保税地域の意義
輸出入貨物について適正な通関手続の履行を確保し、麻薬、銃砲等の不正輸入及び武器、盗難車等の不正輸出の防止、関税及び内国消費税の徴収の確保を図るためには、外国貨物（本邦に到着した貨物で輸入の許可を受ける前の貨物及び輸出の許可を受けた貨物）を税関の監督下にある特定の地域に集約し、当該貨物の管理を行わせるとともに、税関の通関検査等を効率的に実施できるようにする必要がある。
この特定の地域が保税地域である。

（参考）外国貨物は、原則として保税地域以外の場所に置くことができず、また、輸出入手続は、原則として輸出入しようとする貨物を保税地域に搬入した後に行うこととされている（第30条、第67条の２）。

イ．保税地域の種類及び機能等
保税地域には、5種類があり、機能等は次表のとおりとなっている（第29条他）。

種類蔵置期間機能等

指定保税地域 1月外国貨物の積卸、運搬、一時蔵置ができる場所として、地方公共団体等が所有又は管理する土地又は施設について財務大臣が指定する保税地域。

保税蔵置場 3年（延長可）外国貨物の一時蔵置及び長期蔵置ができる場所として、民間が所有する土地又は施設について、申請により税関長が許可する保税地域。

保税工場 3年（延長可）外国貨物についての加工・製造ができる場所として、民間の工場について、申請により税関長が許可する税地域。

保税展示場博覧会等の会期等を勘案して税関長が必要と認める期間国際博覧会、見本市等において、外国貨物の展示･使用ができる場所として、申請により税関長が許可する保税地域。

総合保税地域 2年（延長可）保税蔵置場、保税工場及び保税展示場の機能を総合的に利用できる場所として、貿易関連施設が集積している一団の土地又は施設について、申請により税関長が許可する保税地域。

貨物の検査については原則税関長が指定した場所で行うものとしているが、税関長の許可を受けることにより、当該指定場所以外の場所での検査（指定地外検査）を受けることができる（第69条）。なお、この場合には、所定の手数料を税関に納付しなければならない（第100条）。

(5) 最近の法令等改正の要点
関税に関する重加算税制度の導入（平成17年10月）
申告納税方式が適用される輸入貨物について、課税標準や納付すべき税額の基礎となるべき事実を隠ぺい、又は仮装することによって、誤った輸入（納税）申告を行った又は輸入（納税）申告をしなかった場合、当該輸入貨物に課せられる関税及び消費税（地方消費税を含む）に対し、過少申告加算税又は無申告加算税に代えて、重加算税を賦課する制度が導入された。
関税定率法上の輸入禁制品制度を"輸出してはならない貨物"として関税法に移管し、併せて輸出してはならない貨物の制度を導入した。（平成18年度改正）

(6) 参考情報
問い合わせ先：
財務省関税局業務課
Tel　03-3581-4111（代）　http://www.mof.go.jp

種類	蔵置期間	機能等
指定保税地域	1月	外国貨物の積卸、運搬、一時蔵置ができる場所として、地方公共団体等が所有又は管理する土地又は施設について財務大臣が指定する保税地域。
保税蔵置場	3年（延長可）	外国貨物の一時蔵置及び長期蔵置ができる場所として、民間が所有する土地又は施設について、申請により税関長が許可する保税地域。
保税工場	3年（延長可）	外国貨物についての加工・製造ができる場所として、民間の工場について、申請により税関長が許可する税地域。
保税展示場	博覧会等の会期等を勘案して税関長が必要と認める期間	国際博覧会、見本市等において、外国貨物の展示･使用ができる場所として、申請により税関長が許可する保税地域。
総合保税地域	2年（延長可）	保税蔵置場、保税工場及び保税展示場の機能を総合的に利用できる場所として、貿易関連施設が集積している一団の土地又は施設について、申請により税関長が許可する保税地域。