62.私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

(1) 法律・制度の目的
私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正かつ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇用及び国民実所得の水準を高め、もって、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する。

(2) 法律・制度の概要
私的独占及び不当な取引制限の禁止(第3条)、特定の国際的協定又は契約の禁止(第6条)、事業者団体の特定の行為の禁止(第8条)、不公正な取引方法の禁止(第19条)を定めている。 企業結合の規制として、事業支配力が過度に集中することとなる会社設立の制限(第9条)、株式保有制限(第10条、第14条)、銀行又は保険会社の議決権保有の制限(第11条)、役員兼任の制限(第13条)、合併の制限(第15条)、分割の制限(第15条の2)、営業の譲受け等の制限(第16条)を定めている。その他、独占的状態に対する競争回復命令措置(第8条の4)等を定めている。
また、届出制度として、事業者団体の届出(第8条)等を設けている。

(3) 政省令
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律施行令
公正取引委員会の審査に関する規則
公正取引委員会の審判に関する規則
課徴金の減免に係る報告及び資料の提出に関する規則
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第九条から第十六条までの規定による許可の申請,報告及び届出等に関する規則

(4) 規制等の概要
1)対象
事業者(商業、工業、金融業その他の事業を行う者)

2)主な規制等の内容
i. 私的独占の禁止
ii. 不当な取引制限(カルテル)の禁止
iii. 不公正な取引方法の禁止
iv. 企業結合の規制

(5) 最近の法令等改正の要点
平成17年4月、課徴金算定率の引上げ、課徴金減免制度の導入、犯則調査権限の導入、審判手続等の見直し等を内容とする改正が行われた(平成18年1月4日施行)

1)課徴金算定率の引上げ等
i. 算定率の引上げ等
製造業等:大企業6%→10%、中小企業3%→4%
小売業 :大企業2%→3%、中小企業1%→1.2%
卸売業 :大企業、中小企業ともに1%→大企業2%、中小企業1%
ii. 課徴金適用対象範囲の見直し
iii. 違反行為を早期にやめた場合、上記アの率を2割軽減した算定率
iv. 繰返し違反行為を行った場合、上記アの率を5割加算した算定率
v. 罰金との調整

2)カルテルからの離脱インセンティブを与え、競争秩序の早期回復を図るために、課徴金減免制度を導入。法定要件(違反事業者が自ら違反事実を申告等)に該当すれば、課徴金を減免

3)犯則調査権限の導入等

4)罰則規定の改正
中小企業等に不当な不利益を与える不公正な取引方法等の違反行為に対する確定排除措置命令違反罪に係る法人重科の導入、調査妨害等に対する罰則の引上げ・両罰規定(法人に対する刑罰)

5)適正手続の保障等の観点から、事前手続を行った上で排除措置命令を行うこととし、勧告制度を廃止、また、審判手続について所要の規定を整備

6)価格の同調的引上げに対する報告徴収規定の廃止

7)附則において、施行後2年以内の見直しを規定

(6) 参考情報
問い合わせ先:
公正取引委員会事務総局官房総務課
Tel 03-3581-5471(代) http://www.jftc.go.jp