69.不当景品類及び不当表示防止法

(1) 法律・制度の目的
商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)の特例を定めることにより、公正な競争を確保し、もって一般消費者の利益を保護することを目的としている。

(2) 法律・制度の概要
「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給する商品やサービスの取引に附随して顧客に提供する物品、金銭その他の経済上の利益をいう(第2条第1項)。この「景品類」について過大な景品類の提供を禁止している(第3条)。「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品やサービスの内容や取引条件に関する事項について行なう広告その他の表示をいう(第2条第2項)。表示について、商品又はサービスの品質、規格その他の内容又は価格等の取引条件が、実際のもの又は競争事業者に係るものよりも著しく優良又は著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示はしてはならない(第4条)。

(3) 政省令
なし (規則、運用基準等がある)

(4) 規制等の概要
1)対象
景品類: 顧客を誘引するための手段として、取引に附随して提供される「物品(不動産等を含む)」「金銭等有価証券」「供応」「便益、労務その他のサービス」

表示: 顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について行う「商品、容器又は包装、添付物」「見本、チラシ、パンフレット、説明書面等、口頭」、「ポスター、看板、ネオンサイン、アドバルーン、陳列、実演」「新聞、雑誌等出版物、放送、映写、演劇、電光」「情報処理用機器」による広告その他の表示

2)規格・基準、検査等の概要
i. 公正競争規約の認定(第12条)
事業者又は事業者団体は、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる(第12条)。

【認定のフロー】

認定フロー

ii. 排除措置
公正取引委員会は、第3条の規定による制限若しくは禁止又は第4条の規定に違反する行為があると認めるときは、当該事業者に対し、その行為の差止め若しくはその行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他必要な事項を命ずることができる(第6条)。

都道府県知事は、第3条の規定による制限若しくは禁止又は第4条の規定に違反する行為があると認めるときは、当該事業者に対し、その行為を取りやめるべきこと又はこれに関連する公示をすることを指示することができる(第7条)。

また、当該事業者がその指示に従わないときや、その他違反行為を取りやめさせるため必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる(第8条)。

(5) 最近の法令等改正の要点
平成15年11月に施行された不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律によって、以下の点が変更された。

1)合理的な根拠なく著しい優良性を示す不当表示の効果的な規制
公正取引委員会は,商品又は役務の内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示等(第4条第1項第第号)に該当するか否かを判断するために必要があると認めるときは,期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を提出するよう求め,当該資料が提出されない場合には,不当表示とみなす規定が導入された(第4条第2項)。

2)都道府県知事による執行力の強化
都道府県知事が指示できる事項として,違反行為の再発を防止するために必要な事項等を追加するとともに,既往の違反行為に対しても指示できることとなった(第7条)。また、都道府県が行う立入検査の妨害等を行った者に対する罰金の上限額が、現行の3万円から50万円に引き上げられた(第16条)。

3)手続規定の整備
排除命令の告示手続が廃止され、代わって排除命令は排除命令書の謄本の送達により行うものとされた(第6条第2項)。また、景品表示法における排除命令書の謄本の送達について,書類の送達手続を定める独占禁止法の関係規定を準用することとした(第6条第2項)。

(6) 参考情報
問い合わせ先:
公正取引委員会経済取引局取引部消費者取引課
Tel 03-3581-5471 http://www.jftc.go.jp