10.健康増進法

(1) 法律・制度の目的
急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴う国民の健康増進の重要性の著しい増大にかんがみ、国民の健康増進の総合的推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養改善等の措置を講じ、もって国民保健の向上を図る。

(2) 法律・制度の概要
国民、国及び地方公共団体、健康増進事業実施者(保険者、事業者、市町村、学校等)に対して、健康増進のため諸責務を規定すると共に(第2条〜第6条)、国民の健康増進を総合的に推進するための基本方針(以下、基本方針)の大臣による策定、地方自治体による健康増進計画策定、健康診断実施に関する指針(第7条〜第9条)、これらの策定のための調査等の実施(第10条〜第16条)を規定する。また、特定給食施設(特定かつ多数の者に継続的に食事を供給する施設のうち栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるもの)等における栄養管理(第20〜第24条)、受動喫煙の防止(第25条)のほか、販売用食品について乳児用、幼児用等の特別の用途に適する旨の表示(特別用途表示)を行う場合には、厚生労働大臣許可が必要であること及び栄養表示を行う場合の基準等を定めている(第26条〜第33条)。

(3) 政省令
健康増進法施行令
健康増進法施行規則

(4) 規制等の概要
健康増進法は、総則(第一章)、基本方針等(第二章)、国民健康・栄養調査等(第三章)、保健指導等(第四章)、特定給食施設等(第五章)、特別用途表示・栄養表示基準等(第六章)、雑則(第7章)、罰則(第8章)の全8章で構成される。このうち、第三章〜第六章の要点は以下の通りである。

1)国民健康・栄養調査等(第三章)
厚生労働大臣は、国民の健康増進の総合的推進のための基礎資料として国民健康・栄養調査を行い(第10条)、都道府県については調査実施のための体制の構築が求められている(第12条)。また、国、地方公共団体は、がんや政令で定める生活習慣病等の発生の状況把握に努めることとされている(第16条)。

2)保健指導等(第四章)
市町村に対し、住民の健康の増進を図るため、医師等に生活習慣相談等の実施を行わせること(第17条)、都道府県による専門的な栄養指導その他の保健指導(以下、栄養指導等)の実施を規定している(第18条)。また、栄養指導に際して都道府県知事は、栄養指導員を命ずることとなっている(第19条)。

3)特定給食施設等(第五章)
特定給食施設における栄養管理と受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること)の防止について定められている。前者については、特定給食施設の設置者に対し、届出、栄養管理士等の設置を求めている(第20〜21条)ほか、特定給食施設に対して都道府県知事が指導及び助言、勧告及び命令、立ち入り検査等を行い得る旨規定する(第22〜24条)。

受動喫煙の防止については、学校、病院、劇場等の一定の施設の管理者に対し、利用者の受動喫煙の防止に必要な措置をとるよう求めている(第25条)。

4)特別用途表示・栄養表示基準等(第六章)
販売用の食品について特別用途表示を行う者に対し、厚生労働大臣の許可を得ることを求めている(第11条1項)ほか、その際の許可試験手続、試験を実施する登録試験機関について規定している(第26条等)。また、厚生労働大臣又は都道府県知事による特別用途食品の検査・収去を認めている(第27条)。

販売用の食品(特別用途食品を除く)については、栄養表示を行う者、又は販売用に栄養表示がされた食品を輸入する者に、厚生労働大臣が定める栄養表示基準に従って表示を行うことを求めている(第31条)。この基準に従った表示をしない者に対して、厚生労働大臣は勧告等を行うことができる(第32条)。

また、販売用の食品についての健康保持増進効果等に係る誇大表示が禁じられている(第32条の2)。

(5) 最近の法令等改正の要点
平成16年2月から、特別用途表示等の許可を行うために必要とされる試験の実施について、「登録試験機関」として民間試験機関も実施できるようになった。
なお、平成18年に健康増進法の改正案が通常国会に提出される予定である。

(6) 参考情報
問い合わせ先:
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室
Tel 03-5253-1111(代) http://www.mhlw.go.jp