OTOデータベース HOME

OTO諮問会議報告書(平成5年4月12日) [本部決定] [フォローアップ]

1-(1) 国際的な規格に則した食品日付表示制度の導入及び日付表示に関連した商慣行の改善

○ 問題提起者:駐日米国大使館、在日米国商工会議所

○ 所管省庁:厚生省、農林水産省、通商産業省、公正取引委員会

○ 問題提起の内容

我が国では、食品について、食品衛生法及びJAS法により、原則として製造年月日を表示することが義務づけられている。一部の食品については、食品衛生法では品質保持期限、JAS法では賞味期間を併記することとなっている。さらに食品加工業界団体等が自主的に賞味期限を設定している例もある。

ECではFAO/WHO合同食品規格計画(CODEX)に準じた日付表示制度が導入されており、米国では、連邦政府による日付表示義務はないが、独自に期限表示を義務づけている州もある。

申立者からは、我が国では消費者の鮮度指向を背景に、小売業者や卸売業者が、製造年月日をベ-スに不当に短い販売期限や納入期限を設定しており、輸送や通関に日数を要する外国食品は、国産品に比べ不利な競争条件におかれているとして、(1) 国際的な規格に則した期限表示制度を導入すること、(2) 不当に短い販売期限や納入期限の設定等を改善することが必要との問題提起があった。

更に、消費者にとって本当に必要な情報は賞味期限であること、期限表示制度の導入は製品の返品や廃棄処分の減少につながり、資源の浪費を防止するというという利点もあること等が指摘された。

○ 検討結果

(1) 食品の日付表示の国際的な基準・規格としては、既にFAO/WHO合同食品規格計画(CODEX)が、"Date of Minimum Durability"を基本とすべきと定めており、EC諸国においてもこれに準じた制度を導入している。我が国の国際社会における立場や食品の国際貿易の現状を考慮すれば、食品の日付表示制度も国際的な規格・基準と整合化を図る必要がある。

また、現行の製造年月日表示については、長い期間を経て定着した制度であり、事故時の原因究明及び回収の行政措置の手掛かりになるとともに、消費者の食品選択時の重要な指標として国民の間にも定着していることは事実である。

しかしながら、近年の食品製造技術や流通技術等の発達に加え、様々な加工度の食品が供給され、消費者が食品の外見等からその保存性を判断するのが困難となっている現状では、食品選択時の指標としては、期限表示の方が製造年月日表示より合理的であると考えられる。

さらに、製造年月日表示をベースにした不当に短い販売期限等の設定が、良品返品の増加などによる食品そのものの無駄や生産・流通効率低下によるコストの増加を招きかねないとの指摘もあるが、これは期限表示を導入することにより改善されてくると思われる。

このため、今後の食品日付表示の在り方としては、基本的には製造年月日表示に代えて期限表示を導入することが必要である。

その際、食品の特性(保存性)や、製造年月日表示に慣れ親しんできたという実態を踏まえ、消費者、業界等関係者の意見を聴取した上で対応の在り方について十分検討しておく必要がある。

(2) 小売業者や卸売業者による納入期限、販売期限の設定等の商慣行に関しては、期限表示を導入することによって、消費者の適切な商品選択が促されると考えられる。これを通じて必要以上に短い納入期限、販売期限を設定する必要性に乏しくなると考えられ、外国食品が国産品に比べ競争条件で不利となり得る状況が改善されてくるものと期待される。

また、関係業者においては、「商慣行改善指針(平成2年6月)」等に沿って商慣行の改善に向けた取組を進めていくことが必要である。

なお、販売期限設定に伴う独占禁止法に違反する不当な返品が見られる場合には、公正取引委員会において厳正に対処することが必要である。


OTO対策本部決定(平成5年5月27日) [報告書] [フォローアップ]

食品日付表示について、基本的に製造年月日表示に代えて期限表示制度を導入するべく検討を進め早急に結論を得る。


フォローアップ(平成6年4月25日) [報告書] [本部決定]

1-(1) 国際的な規格に則した食品日付表示制度の導入及び日付表示に関連した商慣行の改善

厚生省は、平成4年12月、「食品の日付表示に関する検討会」を設置し、関係団体からの意見聴取を含め数回の会合を行ったところ、食品の品質保持に係わる情報としては基本的に製造年月日よりも期限表示のほうが有用であるとする報告書がまとめられた(平成5年11月)。同省は、今後この報告書を踏まえ、関係団体への説明、食品衛生調査会の検討を経て、日付表示制度の見直しを行う予定である。

農水省も、平成4年7月、「食品表示問題懇談会」を設置し、関係団体からの意見聴取を含め数回の会合を行ったところ、消費者へのより適切な情報提供、国際化の現状への対応等という観点からは、日付表示制度は原則として製造年月日表示から期限表示へ転換することが適当であるとする報告書がまとめられた。同省は、今後この報告書を踏まえ、消費者に十分な説明を行い、また、厚生省とも連携を図りつつ、具体的なJAS規格、品質表示基準の改正を検討し実施する予定である。

公正取引委員会においては、販売期限設定に伴う独占禁止法に違反する不当な返な返品が見られる場合には、厳正に対処することとしている。

小売業界の団体において、食品日付表示制度の改正について検討が行われたところであり、その結果、期限表示制度を積極的に受け入れていくことで結論が得られたところ。

(参考)検討会、懇談会の報告書の概要

食品の日付表示に関する検討会

今日においては、製造年月日表示は、食品の品質がいつまで保持されるかという点に関して、必ずしも有効な指標とはなり得ておらず、食品の品質保持に係わる情報としては、基本的に製造年月日よりも、品質保持の期限そのものの表示を行うことの方が有用と考えられる。具体的な取扱については、食品特性に応じた日付とする等、適切な日付表示を検討すべきである。

また、日付表示制度の改正に当たっては、食品製造関係者、流通関係者、消費者等に誤解、混乱等が生ずることがないように普及啓発に努める等、適切な対応を図る必要がある。

食品日付表示問題懇談会

消費者へのより適切な情報提供、国際化の現状への対応等の観点から、今後の食品の日付表示制度については、原則を製造年月日から期限表示へ転換することが適当と考えられる。具体的には、食品をその保存性ないし品質の経時的変化の速さの特性に応じてグループ分けし、それぞれにつき適切な日付表示を検討すべきである。

また、期限表示への移行に当たっては、移行措置のあり方について十分留意し、行政機関、関係業界等が、消費者に対し食品の日保ち等の特性について十分な情報提供を行うよう努めるとともに、表示される期限の意味や食品の保存方法等についての正しい知識の普及を十分実施すること等が必要である。