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OTO諮問会議報告書(平成5年4月12日) [本部決定] [フォローアップ]

3-(1) 時間外通関手続(臨時開庁制度)の改善

○ 問題提起者:駐日米国大使館

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題提起の内容

通関手続については、現在、行政機関の休日又はこれ以外の日の税関の執務時間外にも、税関長の承認を受けて行うことができる臨時開庁制度が設けられている。

利用者は、税関長の承認を受けるに当たって、1申請ごとに、1時間を単位として定められた手数料を納付することとなっている。また、その申請に関し、臨時開庁の事務に携わる税関職員の人数、所要時間の見込みを立てるための基準として、1申請として取り扱い得る申告書の最大件数が貨物の種類ごとに定められており、航空運送貨物の輸出入の場合は最大5件となっている。

申立者からは、小口航空貨物は、1時間当たりに相当数の通関処理が可能であるにもかかわらず、現行の手数料関連規程では、1申請当たり5件という申告限度件数があるため、手数料全体では負担が大きなものとなっているとして、現行手数料関連規程を実態に即したものに見直すべきとの問題提起があった。

○ 検討結果

現行の手数料体系では、承認手数料は、受益者による実費弁済の考え方に基づき、税関における1時間当たりの職員の人件費、物件費等を積算して定められており、また、1申請当たりの申告限度件数は、税関における輸出入通関事務(審査・検査)の平均所要時間の実態(1時間当たり一人で何件の申告書を処理しているか)を踏まえて定められている。

通関事務の所要時間を算定する場合、可能な限り実際に要した時間に基づいて行うことが望ましいことは言うまでもないが、多数の貨物を複数人で処理している通関事務の実態を踏まえると、その所要時間を客観的に算定することは実務上困難であり、一定の基準として申告限度件数を定めていることはやむを得ないものと考えられる。

また、通関事務においては、リスクの程度に従って貨物の審査・検査等が行われ、小口貨物であってもリスクが高いと判定される貨物については慎重な検査が行われていることから、小口貨物であるからといって通関事務が全て迅速に行われるわけではないことにも留意する必要がある。

しかしながら、現在の申告限度件数にかかる規定は昭和62年当時の通関事務の実態を踏まえて定められたものであり、その後、更に通関事務の迅速化が図られていること、また、小口航空貨物の通関件数が年々増加していること等を踏まえると、現在の手数料体系が、小口航空貨物を専門的に取り扱う事業者に対し、結果的に実費以上の負担となっている可能性も否定できない。

このため、所管省庁においては、早急に臨時開庁時における通関事務の実態を調査し、これを踏まえて現行取扱いの見直しを行うことが必要と考える。


OTO対策本部決定(平成5年5月27日) [報告書] [フォローアップ]

時間外通関手続きについて、通関事務の実態を早急に調査し、これを踏まえて現行取扱いを見直す。


フォローアップ(平成6年4月25日) [報告書] [本部決定]

3-(1) 時間外通関手続(臨時開庁制度)の改善

大蔵省においては、近年における小口急送貨物等の通関処理の迅速化の進展に応じ、臨時開庁手数料の徴収単位である標準申告件数を見直し、輸出入者の負担を軽減することとしている(平成6年1月目途)。

なお、この措置については、平成5年9月に取りまとめられた緊急経済対策に、規制緩和等の措置の一つとして盛り込まれているところ。