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OTO諮問会議報告書(平成5年4月12日) [本部決定] [フォローアップ]

3-(3) 特恵関税の適用審査における原産地証明書原本提出義務の緩和

○ 問題提起者:経済団体連合会

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題提起の内容

輸入物品について特恵関税の適用を受けるためには、通関手続を行う際、当該物品について特恵受益国の税関等が発給した原産地証明書の原本を提出する必要がある。(ただし、特恵供与の限度枠(限度額または数量)による管理が行われていない品目であって、輸入者の責によらない事情で原産地証明書の提出が困難であると税関において認められれば、事後に原本を提出することを前提に一定期間の提出猶予が例外的に認められる。しかし、限度枠による管理を行っている品目については、災害により提出できない場合を除き、原則として提出猶予は認められていない。)

今回問題提起された事例は、原産地証明書は現地において取得済であったが、その原本が輸入手続に間に合わず、税関に事情を説明したものの、輸入者の責によらない事情かどうかが明らかでないとして提出猶予が認められず、結局特恵関税での輸入を諦めたというものである。

申立者からは、輸入者が、現地でいかなる理由で原産地証明書の取得が遅れたのか把握できない場合であっても、証明書原本の事後提出を条件にFAX送信に基づいて特恵適用を認めるべきであり、また、特恵供与の限度枠管理が行われている品目についても、証明書原本の事後提出を認めるなど特恵適用審査の弾力化を図るべきとの問題提起がなされた。

○ 検討結果

現在、原産地証明書の提出猶予は、輸入者の責によらない事情がある場合に限り認められている。しかしながら、輸入者が現地の事情を把握できない場合は、税関に対して輸入者の責によらないものであることを証明できず、結局、特恵関税の適用を受けられないというケースが生じ得る。

そもそも、特恵供与を受けようとする輸入者側には、意図的に原産地証明書の取得を遅らせる理由に乏しく、証明書原本の事後提出が確実に履行されると判断される場合には、輸入者にその遅延理由の立証を求める必要性は少ないものと考えられる。

所管省庁においては、本年4月、関税暫定措置法施行令及び関税基本通達を改正し、特恵関税の限度枠管理が行われていない品目については、災害その他やむを得ない理由によらない場合であっても、一定の要件の下に、原産地証明書原本の提出猶予(事後提出)を認めることとしており、手続きの改善が図られたところである。

なお、特恵供与の限度枠管理が行われている品目については、一般的に特恵供与が先着順方式によって厳格に管理されているなど、課税の公平性にも着目したものであることから、現行制度を見直すことは不適当と考える。


OTO対策本部決定(平成5年5月27日) [報告書] [フォローアップ]

特恵関税の適用審査の際の原産地証明書の提出について、特恵供与の限度枠管理が行われていない品目に関し、一定の要件の下に、原産地証明書原本の提出猶予を認める。


フォローアップ(平成6年4月25日) [報告書] [本部決定]

3-(3) 特恵関税の適用審査における原産地証明書原本提出義務の緩和

大蔵省においては、特恵供与の限度枠管理が行われていない品目に関し、関税額に相当する担保を提供して税関長の承認を受けることを要件として、原産地証明書原本の提出猶予(事後提出)を認めることにより手続きの改善を図った(平成5年4月)。