OTOデータベース HOME

OTO諮問会議報告書(平成5年4月12日) [本部決定] [フォローアップ]

3-(8) 輸入品に係る消費税納付制度の見直し(「海外子会社からの輸入の際の評価申告手続きの簡素化」を含む。)

○ 問題提起者:経済団体連合会

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題提起の内容

(1) 消費税は、現在、国内取引の場合は、本店所在地で一定期間分まとめて申告・納付することとされているが、輸入取引の場合は、輸入時に輸入申告及び関税の申告・納付に併せて消費税の申告・納付を行うこととされている。申立者からは、このようないわゆる輸入取引における消費税の輸入時課税が輸入者に過大な事務負担を招き、輸入に対する障害となっているとして、内外無差別の原則に基づき、輸入取引についても、消費税を本店所在地で一定期間分まとめて申告・納付できるように改めるべきとの問題提起がなされた。

(2) また、輸入取引において、売手と買手の間に親子会社関係等の特殊関係がある場合、取引価格をそのまま関税及び消費税の課税標準とするためには、輸入者は輸入申告の際、評価申告を行い、当該特殊関係が当該取引価格に影響を与えていないことを証明しなければならないこととされている。申立者からは、 1)消費税はインボイス価格を課税標準として課税されるものであるから、関税の場合のように輸入時に当該価格が適正かどうかの厳格な証明を要求する必要はないのではないか、 2)消費税の導入後、関税納付のための評価申告が必要でなかった関税無税品についても、消費税納付のために評価申告が必要となり、当該価格が適正かどうかを証明するために多くの証拠書類の提出を要求されるようになったとして、特殊関係にある者からの輸入品に係る消費税について、評価申告の手続きを簡素化し、証拠書類の提出を要求せずにインボイス価格をそのまま課税標準とすべきとの問題提起がなされた。

○ 検討結果

(1) 現在の輸入取引に係る消費税の課税については、輸入の都度、納税手続を行う必要があることから、輸入者の立場からは、一定期間分まとめて申告・納付する国内取引に比べて事務手続が煩雑であるとの認識をもつことは、無理からぬところもある。

しかしながら、課税の確実性・効率性等の観点からすれば、輸入品に係る消費税を輸入手続の一環として課税し、かつ、通関時に関税と併せて徴収することは、合理的な方法と考えられる。また、付加価値税を導入しているEC諸国においては、国内取引では一定期間分をまとめて申告・納付することとされているが、輸入取引では輸入時に申告・納付することとされており、この点において、我が国では諸外国と同様の制度が採られていると言い得る。さらに、仮に輸入品に係る消費税を一定期間分まとめて申告・納付することとすれば、納税時期までに滞留する税額に関し、金利メリットが生じてしまう等の問題があることにも留意する必要がある。以上にかんがみれば、輸入品に係る消費税を一定期間分まとめて申告・納付する制度に改めることについては、種々の問題があり、不適当と考えられる。

(2) 特殊関係にある者からの輸入品に係る消費税の評価申告については、輸入者の立場からは、国内取引とは異なり、輸入取引の場合にのみこれを要求されることについて事務手続が煩雑であるとの認識をもつことは、無理からぬところもある。

しかしながら、こうした問題提起については、1)消費税の適正かつ公平な課税を実現するためには、関税が有税か無税かにかかわらず、消費税の課税価格を適正に算定する必要があり、2)仮に特殊関係にある者からの輸入品に係る消費税の評価申告を省略することとすれば、適正な課税が困難となり、結果的に特殊関係取引をその他の一般の取引に比べて優遇することになりかねないため、適正かつ公平な課税という観点からは、種々の問題があり、不適当と考えられる。

ただし、所管省庁においては、今般こうした問題提起がなされたことに留意し、特殊関係にある者からの輸入品に係る消費税の評価申告について、申告者に求める書類は必要不可欠なものに限るよう、改めて周知することとしている。


OTO対策本部決定(平成5年5月27日) [報告書] [フォローアップ]

特殊関係にある者からの輸入品に係る消費税の評価申告について、申告者に求める書類は必要不可欠のものに限るよう、改めて周知する。


フォローアップ(平成6年4月25日) [報告書] [本部決定]

3-(8) 輸入品に係る消費税納付制度の見直し(「海外子会社からの輸入の際の評価申告手続きの簡素化」を含む。)

大蔵省は、特殊関係にある者からの輸入品に係る消費税の評価申告について、関税が無税又は従量税の場合には、消費税が課される場合であっても、評価申告書の提出は不要とした(平成5年10月)。