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OTO諮問会議報告書(平成5年4月12日) [フォローアップ]

3-(9) 酒税の納付期限及び戻税に関する内外差別の撤廃

○ 問題提起者:経済団体連合会

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題提起の内容

(1) 酒税については、現在、国産酒類の場合は、酒類を製造場から移出した月の翌月末日までに納税申告をし、翌々月末日までに納付することとされているが、輸入酒類の場合は、輸入時に輸入申告及び関税の申告・納付に併せて酒税の申告・納付を行うこととされている。申立者からは、このように酒税の納付において、国産酒類では移出した月から2か月以内、輸入酒類では輸入時に即納と支払猶予の点で差異があるのは内外差別であり、輸入酒類に係る酒税についても月まとめ納付を認めるべきとの問題提起がなされた。

(2) また、国産酒類に関しては、当該酒類が製造された製造場に戻し入れられ、又は他の製造場から再移出される場合には、重複課税を避けるため、当該酒類に当初課税された酒税を控除する措置が設けられているが、輸入酒類に関しては、酒税の還付は、当該酒類が違約品に該当するもので再輸出又は廃棄するために輸入許可の日から6か月以内に保税地域に入れられた場合や、1年以内に輸入時と同一状態で再輸出された場合に限られている。申立者からは、一部破損などやむを得ない事情により酒類を廃棄する場合、国産酒類は製造場に戻せば酒税の還付が受けられるが、輸入酒類は酒税の還付を受ける方法がないのは内外差別であり、輸入酒類についても保税地域に戻すなど課税原因にまで遡った場合には酒税の還付を認めるべきとの問題提起がなされた。

○ 検討結果

(1) 現在の輸入酒類に係る酒税の課税については、輸入の都度、納税手続を行う必要があることから、輸入者の立場からは、一定期間分まとめて申告・納付する国内取引に比べて事務手続が煩雑であるとの認識をもつことは、無理からぬところもある。

しかしながら、輸入酒類は、一般的に課税対象者が多く、しかも、それらの者が必ずしも継続的に引き取るとは限らないことから、酒税を輸入手続の一環として課税し、かつ、通関時に関税と併せて徴収することは、課税の確実性・効率性等の観点からすれば、合理的な方法と考えられる。また、他の間接税も共通して、輸入の都度、税額が確定する輸入時課税方式を採っており、諸外国においても間接税については同様の方法で徴税が行われていること等にかんがみれば、輸入酒類に対する酒税を一定期間分まとめて申告・納付する制度に改めることについては、種々の問題があり、不適当と考えられる。

(2) 一部破損等の事情により輸入酒類を廃棄する場合における酒税の取扱いについては、本来、流通段階における酒類の商品管理は、酒類引取者や販売業者などの責任においてなされるべきものと考えられ、災害等の特段の事情がある場合を別にすれば、政府がこうした流通段階における事情に対応すべきであるとは考えられない。また、申立者は、酒税を還付すべき理由として内外差別の撤廃を挙げているが、国産酒類に対して講じられている酒税の調整措置は、製造場に戻し入れられた酒類が原料として使用され、再び酒類として移出された場合における重複課税を避ける観点から設けられているものであり、製造場において廃棄される酒類に対して酒税を還付することを目的としたものではない。以上を勘案すれば、流通段階における事情により廃棄される輸入酒類に対して酒税を還付することについては、種々の問題があり、不適当と考えられる。


フォローアップ(平成6年4月25日) [報告書]

3-(9) 酒税の納付期限及び戻税に関する内外差別の撤廃

(種々の問題があり不適当)