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OTO諮問会議報告書(平成5年4月12日) [本部決定] [フォローアップ]

4-(2) 外国法事務弁護士に関する規制緩和問題

○ 問題提起者:駐日EC委員会代表部、欧州ビジネス協会

○ 所管省庁:法務省

○ 問題提起の内容

外国の弁護士資格を有するものは、法務大臣の承認を受け、日本弁護士連合会への登録を行えば、外国法に関する一定の法律事務を取り扱う外国法事務弁護士となることができるが、日本弁護士の雇用・共同経営の禁止等種々の規制が課されている。

申立者からは、現在の外国法事務弁護士に対する規制は過剰であり、日本法と外国法の双方に関連する法律事務が増大する中で、事務処理の効率化・良好なサービス提供等を行うためには以下の規制緩和が必要であるとの問題提起があった。

(1) 外国法事務弁護士による日本の弁護士の雇用を認めること。

(2) 外国法事務弁護士と日本の弁護士との共同経営を認めること。

(3) 5年間の職務経験要件の廃止。

(4) 本国における所属ローファーム名称を、直接外国法事務弁護士の事務所の名称として使用することを認めること。

(5) 外国弁護士が国際商事仲裁手続きにおいて当事者の代理となることを認めること。

○ 検討結果

世界経済のグローバル化、貿易・投資の相互依存が進展する中で、我が国の制度・規制も国際的に調和のとれたものに見直していくことが必要であり、法律サービスについてもその例外ではない。

また、企業活動の国際化に伴い、今後日本法と外国法の双方に関連する法律事務が更に増大してくるものと考えられ、法律サービスの提供形態の多様化、競争を促進することによるサービスの向上を求める利用者のニーズにも十分応える必要がある。

本件については、長期間にわたり日・米、日・EC間で交渉が行われているが、依然意見の隔たりが大きく、解決の方向が見い出せないため、諸外国に対し、日本市場が閉鎖的との印象を与える結果になっている。

主要先進国中我が国だけが黒字国となる中で、これまで以上に積極的に市場開放に取り組み、我が国市場が閉鎖的であるという諸外国のパーセプションを改めていくことは、調和ある対外経済関係を構築していく上で極めて重要である。

現在、法務省及び日弁連は「外国弁護士問題研究会」において、本問題が司法制度の在り方に係わる問題であることを踏まえつつ、本件に関する対応を検討しているところであるが、我が国の国際社会におかれている立場にかんがみれば、現行法の改正を視野に入れて、国際的に通用する論理を持った結論を早急に出すことが必要である。


OTO対策本部決定(平成5年5月27日) [報告書] [フォローアップ]

外国法事務弁護士に対する諸規制の在り方について、「外国弁護士問題研究会」において、国際的に通用する論理をもった結論を早急に出す。


フォローアップ(平成6年4月25日) [報告書] [本部決定]

4-(2) 外国法事務弁護士に関する規制緩和問題

法務省及び日本弁護士連合会は、平成4年9月以来16回にわたり外国弁護士問題研究会を開催して検討を行った結果、平成5年9月に報告書を取りまとめた(注:法務省においては、報告書に記載された研究結果を踏まえ、日弁連とも協議しながら、外国弁護士受入制度の改善に向けて、速やかに政策決定を行い、法改正等の作業を行うこととしている)。

(注)外国弁護士問題研究会報告書の概要

(1) 外国法事務弁護士の日本弁護士

禁止が相当(ただし共同事務所は可)雇用禁止。

(2) 外国法事務弁護士と日本弁護士

共同事業を営むことができることを提言との共同経営禁止。

(3) 資格要件の5年の実務経験についての日本でのトレーニー・クラークの経験期間の算入

一定限度で職務経験期間として算入することを提言。

(4) ローファーム名称の単独使用

直接使用できるようにすることを提言。

(5) 国際商事仲裁業務への参加

一層の自由化に向けて制度を改正する方向で検討。