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市場開放問題苦情処理推進会議第1回報告書(平成6年5月13日) [本部決定] [フォローアップ]

2-(1) 衣料品の取扱ラベルに関する基準の緩和

○ 問題提起者:経済団体連合会

○ 所管省庁:通商産業省

○ 問題提起の内容

繊維製品については、家庭用品品質表示法及び関連規定により、繊維製品の種類ごとに品質に関し表示すべき事項(例:「繊維の組成」、「家庭洗たく等取扱い方法」、「収縮性」等)が定められている。このうち、「家庭洗たく等取扱い方法」の表示については、JIS規格に基づく取扱い絵表示を用いることが定められている。

取扱い絵表示については、国際標準規格(ISO規格)にも同種の規格があるが、ISOでは試験・評価方法が規定されていないなどの点でJISと相違があるため、外国製衣料品を輸入・販売する場合、外国の取扱い絵表示によるラベルをそのまま使用できず、別途、日本のラベルを作成してつける必要がある。このことは、特に発展途上国からの輸入を妨げるとともに、輸入衣料品(特に低価格の衣料品)にとって、価格上昇等の障害となっている。

申立者からは、こうした障害をなくすため、以下のとおり衣料品の取扱いラベルに関する基準を緩和すべきとの問題提起がなされた。

1) 取扱い絵表示における禁止を示す記号(×印)を赤以外の色でも可とすること。
2) 取扱いに関して条件指定がない(「ドライクリーニング、塩素漂白、アイロン、絞り方、干し方に対する条件指定がない製品」)については、取扱い方法のラベルの取り付けを省略できるようにすること。
3) 現在縫い付けが原則となっているラベルの取付け方法について、値札へのラベル貼付け等の簡易な方法も認めること。
4) 外国の取扱い絵表示(少なくともISOに基づくもの)によるラベルを国内で使用することが認められるようにすること。

○ 検討結果

(1) 衣料品の取扱ラベルについては、ISO規格と国内規格に相違があることが、事実上、一つの輸入阻害要因となっていると考えられる。しかし、一方で絵表示に関するJIS規格は、国内において一般消費者に広範に浸透していること、導入時において内外の一般的洗濯方法が相違することを踏まえ消費者・業界等の意見をとり入れて国内規格を制定したとの経緯があること等を考慮する必要がある。

以上のことから、本件については、ISO規格と国内規格との整合化を推進するという長期的方向性を持つ一方、国内消費者の利便をも踏まえて国内規定の十分な定着を図りつつ、所要の対応を図るべきである。

(2) 所管省庁の提起された問題に関する対応状況は次のとおりであり、改正が必要なものについては、遅滞なく実施すべきである。

1) 禁止を示す記号(×印)の表示については、平成6年度中にJISを改正し、赤色で表示するとの規定を削除する予定である。
2) 消費者が不適切な洗い方をして不利益を被らないようにすることが重要である。最も単純な場合、「洗い方」の表示のみでも可能としている。その際、単一組成で無染料の衣料品であって、企業が自己責任の下で下着として判断して売るものについては、取扱表示の省略が可能である。
3) 取付け方法については、消費者が洗濯をするときの便宜を考慮して、洗濯しても本体からはずれないよう本体そのものに付けることが必要であるが、縫付けに限定しておらず、接着等の方法でも可能としている。
4) 外国の取扱い絵表示によるラベルの国内での使用については、記号を表示する際に必要となる試験・評価方法がISOには未だ設定されていないため、ISOに基づく絵表示が消費者の商品選択等に必要な客観的判断基準を与えるものとなっていないことから、現状では外国の取扱い絵表示によるラベルの国内での使用を国内制度に規定することは困難である。
ただし、ISOでは現在、取扱い絵表示を定めたISO規格に試験・評価方法を取り入れる議論が進められており、当該規格にその内容が規定されれば、直ちに可能な限りJIS規格の内容をISO規格に整合化させる方向で検討作業を進めていくこととする。


OTO対策本部決定(平成6年6月24日) [報告書] [フォローアップ]

2-(1) 衣料品の取扱ラベルに係る規定の改善

国内消費者の利便を踏まえて国内規定の十分な定着を図るとともに、中期的には規格・基準の国際的整合化の観点からISO規格にJIS規格を整合化させる方向で検討を進める。

また、JIS規格において衣料品ラベルの禁止事項を赤色で表示する規定については、規格・基準の簡素化のため、6年度中にJIS規格を改正し削除する。


フォローアップ(平成7年6月5日) [報告書] [本部決定]

2-(1) 衣料品の取扱ラベルに関する基準の緩和

衣料品の取扱ラベルに関するISO規格には、取扱ラベルを表示する際に必要となる「試験・評価方法」の規定がないため、試験・評価方法の規定を設けるべく、ISOのTC38(繊維に関する専門委員会)/SC11(繊維及び衣類の取扱表示に関する分科委員会)/WG3(試験方法及び基準に関するワーキンググループ)において、実質的審議が平成6年から始められたところであり、我が国としてもISOの審議に積極的に参加している。

今後も、ISOの審議に引き続き参加するとともに、その結果を踏まえ、ISO規格にJIS規格を整合化させる方向で検討を進める。

また、ISO規格へのJIS規格の整合化についての検討が終了した段階で、説明会の開催等新しい国内規定の十分な定着を図るための諸措置を講じつつ、JISを引用している繊維製品品質表示規程の見直しについて検討を進める。

なお、衣料品の取扱ラベルに関するJIS規格において、禁止事項を赤色で表示する規定については、生産者、使用者等から成る日本工業標準調査会の審議を踏まえ、平成7年3月に同規定を削除した。