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市場開放問題苦情処理推進会議第1回報告書(平成6年5月13日) [本部決定] [フォローアップ]

2-(3) ガス内燃式自動釘打器の銃刀法に基づく所持許可制度の撤廃

○ 問題提起者:駐日米国大使館

○ 所管省庁:警察庁

○ 問題提起の内容

自動釘打器等産業の用途に供する製品が銃砲刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)で規制の対象となる「銃」に該当するか否かは、危害予防という法の目的に照らし、発射機能、人畜殺傷能力を有し、犯罪の凶器として使用される危険性が高いか否かという観点(具体的には携帯性等)から判断されている。

米国製のガス内燃式自動釘打器は、警察庁により、銃刀法で規制の対象となる「銃」のうち空気銃(圧縮ガスを利用するものを含む。)に該当すると判断されている。

一方、圧縮空気を利用した自動釘打器については、常時電源を必要とし、多くの場合他の用途にも利用可能な別置式エアーコンプレッサーとホースで接続された状態で使用されるため、使用時の形態から犯罪者等が凶悪犯罪に使用する危険性が少ないとして、警察庁により、空気銃に該当しないものと判断されている。

また、同法で規制の対象となる自動釘打器を所持しようとする者は、同法及び同法施行規則に定められた手続き、申請様式により、所定の都道府県公安委員会に対し、販売事業者にあっては届け出を行い、産業の用途に供する者にあっては許可を受けることが必要である。

申立者からは、米国製のガス内燃式自動釘打器の輸入・販売にあたり、銃刀法に基づく所持許可が必要とされ、その申請手続きが煩雑であり、許可までに日数を要するため、日本市場への参入の障害となっている。このような規制を行っているのは、当該製品の輸出先の中では日本だけであるので、以下のとおり規制を撤廃又は緩和すべきとの問題提起があった。

(1) 当該製品は、日本で一般に製造・使用され銃刀法の規制の対象となっていない圧縮空気を利用した自動釘打器と比べ、殺傷力において下回り、安全装置の機能において上回っているものであるから、同法の規制の対象から除外すべきである。

(2) 規制の対象から除外できない場合であっても、現行の所持許可手続きは厳し過ぎるので緩和すべきである。

○ 検討結果

個々の自動釘打器を銃刀法の規制の対象とするか否かは、銃器の所持に対する国民の意識にも配慮しつつ、犯罪に悪用される可能性等の観点から慎重な判断が必要である。当該製品の場合、安全装置が付いているものの、空中発射は容易に行うことができ、また、携帯性に優れていることから、銃器として犯罪に悪用される危険性が高いので、現時点で銃刀法の規制の対象から除外することは不適当である。

一方、技術進歩による製品の携帯性の向上は、一般的には、使用者の利便や産業の生産性の向上に資すると考えられるから、今後は、当該製品について空中発射を行うことを防止するための安全機能の開発を待って、凶器としての使用可能性の面から、引き続き規制の対象とする必要があるかどうか見直していく必要がある。

また、現行の所持許可手続きについては、簡素化等の改善の必要が認められる。所管庁においては、本年5月末を目途に以下の(1)〜(9)に掲げる改善を行うため、全国の都道府県警本部に対し改善措置を講ずる旨の通達を発し、緩和された所持許可手続きを周知徹底することにより、現行制度の下で可能な限り販売者、使用者の負担を軽減すべきである。

(1) 申請する都道府県によって異なった書類を求められることがあるが、申請に必要な書類は全国一律のものとすること。

(2) (1)で必要とされる書類は、申請時においては法令に定めるものに限ること。審査の過程において追加書類を求める場合も、危害防止上問題のあると認められる場合に限り必要最小限とすること。

(3) 所持許可申請者本人の委任状に基づく販売事業者による代理申請を認めること。

(4) 都道府県公安委員会にあらかじめ届け出た販売事業者の使用人が販売促進のためデモ器をテスト使用することが認められていることについて、改めてその旨徹底すること。

(5) 所持許可を受けた者の監督下で使用可能な従事者の届け出の際、届け出人数に制限のないことについて、改めてその旨徹底すること。

(6) 所持許可手続きに要する日時を可能な限り短縮すること。

(7) 所持許可を受けた者の監督下で使用可能な従事者を変更する場合は届け出が必要であるが、その際の手続きは、当初の所持許可手続きより大幅に短い期間で処理すること。

(8) 故障によりユーザーが代替器を使用したい場合においては、運用上、代替器及び所持しようとする者を確認するだけの手続きにより、許可事務の簡易・迅速化を図ること。

(9) 製品の保管庫に関する基準が都道府県により異なっているが、全国統一のものとすること。


OTO対策本部決定(平成6年6月24日) [報告書] [フォローアップ]

2-(3) 自動釘打器の所持許可制度の改善

今般問題提起のあったガス内燃式自動釘打器の場合、現時点で銃砲刀剣類所持等取締法の規制の対象から除外することは不適当であるが、今後は、安全機能の開発を待って、凶器としての使用可能性の面から、引き続き規制の対象とする必要があるかどうか適宜見直していく。

また、所持許可手続の簡素化により使用者・販売事業者の利便を図るため、本年6月10日、都道府県警察本部あての通達により、審査書類の統一、代理申請の容認、簡易な手続きによる代替器の使用の容認等の改善を実施した。


フォローアップ(平成7年6月5日) [報告書] [本部決定]

2-(3) ガス内燃式自動釘打器の銃刀法に基づく所持許可制度の撤廃

所持許可手続の簡素化により使用者・販売事業者の利便を図るため、平成6年6月の都道府県警察本部あての通達により、審査書類の統一、代理申請の容認、簡易な手続による代替器の使用の容認等、報告書に挙げられた全ての措置を実施した。

また、今般問題提起のあったガス内燃式自動釘打器については、今後、安全機能の開発を待って、凶器としての使用可能性の面から、引き続き銃刀法の規制の対象とする必要があるかどうか適宜見直していく。