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市場開放問題苦情処理推進会議第1回報告書(平成6年5月13日) [本部決定] [フォローアップ]

5-(1) 戦略物資に該当する物品を返品輸出する場合の手続の簡素化

○ 問題提起者:経済団体連合会

○ 所管省庁:通商産業省

○ 問題提起の内容

外国為替及び外国貿易管理法に基づく輸出貿易管理令により「戦略物資に該当する物品」の輸出については、クレーム等のために輸出元に返品輸出する場合でも、原則として、通商産業大臣の個別許可が必要となっている。

安全保障輸出管理は諸外国でも行われており、戦略物資の概念自体は各国間でほぼ共通しているものの、戦略物資に該当するか否かの判断や輸出許可の申請手続は各国が個別に行っているのが現状である。

因みに、米国の輸出管理規則(EAR)ではゼネラル・ライセンス制度があり、輸出許可申請手続が大幅に簡素化されているほか、返品輸出については、当該物品が戦略物品であっても、特定の国を除いてどの国に対しても個別に輸出許可を取得することなく輸出することが可能となっている。

上記にかんがみ、我が国においても米国のように返品輸出が容易に行えるよう、輸出許可を取得せずに輸出元に返品できるようにすべきであるとの問題提起があった。

○ 検討結果

本年4月1日に、戦略物資(武器等を除く)について、一度許可申請をすると一定期間、個別申請が不要となる包括許可の制度が導入された。これにより、仕向地が米国をはじめとする欧米諸国等である場合には、一定期間におけるクレーム処理等のための輸出者に対する返品輸出を含めた当該物品の輸出が包括許可制度の対象となっており、返品輸出手続の大幅な緩和が図られたところである。

また、戦略物資であって、クレーム処理等のために行う輸出者に対する返品輸出の許可権限に関し、通商産業大臣が税関長に輸出許可を委任する制度の対象となる仕向地についても、実務面に配慮しつつ、包括許可制度の導入を踏まえ、対象地域の拡大について所要の見直しを行う。

これらの改正により、提起された問題はほぼ解決されると考えられるが、所管省庁においては今後とも可能な限り手続の簡素化を図るべきである。


OTO対策本部決定(平成6年6月24日) [報告書] [フォローアップ]

5-(1) 戦略物資の返品輸出の円滑化

欧米諸国等を対象とした戦略物資(武器等を除く)の輸出についての包括許可制度の導入(本年4月1日)により、返品輸出を含む輸出に係る手続の大幅な緩和が図られたところ。

また、戦略物資の返品輸出に係る許可権限を通商産業大臣から税関長に委任する制度については、包括許可の普及状況を踏まえ、平成6年度中を目途に対象地域の拡大を行う。


フォローアップ(平成7年6月5日) [報告書] [本部決定]

5-(1) 戦略物資に該当する物品を返品輸出する場合の手続の簡素化

平成7年4月から、戦略物資をクレーム処理等のため返品輸出する場合の許可権限を税関長に対して委任する範囲を拡大し、欧米諸国等向けの返品輸出をその対象に追加した(従来は、旧共産圏諸国等及び欧米諸国等を除いた地域向けの返品輸出がその対象であった)。

(参考)

なお、戦略物資の輸出規制に関連する制度として輸出許可・承認を必要としない旨を証明する非該当証明制度があるが、その改善を図るため、必要な調整を行った上で簡素化のための措置を検討し、早期に結論を得、平成7年度中に実施する。