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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ]

1-(2) 偶蹄類の動物の肉等の輸入に係る加熱処理基準の見直し

○ 問題提起者:駐日タイ大使館

○ 所管省庁:農林水産省

○ 問題提起の内容

我が国では、家畜伝染病予防法に基づき、悪性家畜伝染性疾病(口蹄疫、牛疫、アフリカ豚コレラ)の発生地域からの偶蹄類(牛、豚等)の動物の肉等の輸入が禁止されている。

ただし、輸入禁止地域からのものであっても、安全性の観点から、家畜の伝染性疾病を予防するために必要な設備を備えているとして農林水産大臣が指定する施設等において、農林水産大臣の定める基準に従って加熱処理を行った旨を記載した輸出国政府機関発行の検査証明書が添付されているものについては輸入可能である。

なお、偶蹄類の動物の肉等の農林水産大臣が定める現行の加熱処理基準(農林水産省告示)は、次のいずれかの方法とされている。

(1) 煮沸し、又は摂氏100度以上の蒸気に触れさせることにより当該肉等の中心温度を1分間以上摂氏70度以上に保つ。

(2) 湯煎、熱風乾燥その他の方法により当該肉等の中心温度を30分間以上摂氏70度以上に保つ。

問題提起者からは、タイで生産された偶蹄類の動物の肉等を油で揚げた加工食品(ポークカツの冷凍食品等)を日本に輸出したいとして、以下の問題提起があった。

油で揚げる方法は、現行の加熱処理基準では「その他の方法」に該当し、上記イによる処理が必要となるが、30分間以上も油で揚げたものは食用に供せられない。また、上記アによる処理を行った後に油で揚げれば輸出可能となるが、このように加工したものは大幅に風味が損なわれているため需要がない。

したがって、現行の加熱処理基準に油で揚げることにより偶蹄類の動物の肉等の中心温度を1分間以上摂氏70度以上に保つ方法を追加すべきである。

○ 検討結果

現行基準で想定されていない加熱処理方法が示された場合には、同処理方法の悪性家畜伝染病病原体殺滅効果を確認試験により検証した上で、速やかに基準の見直しを図ることが必要である。

したがって、本件については、我が国にとっての口蹄疫防御の重要性に鑑み、科学的根拠に基づき安全性に配慮した上で、以下の対応を取り進める必要がある。

問題提起者においては、油で揚げる方法による悪性家畜伝染病の病原体の殺滅効果に関する科学的試験データを提出する用意があるとしているので、所管省においては、提出すべきデータの内容・形式について、提出後に追加データを求めることのないよう速やかに問題提起者に明確な情報提供を行うべきである。

また、当該データが提出された後には、基準追加に至る時期的目途を明確にし、問題提起者にも示した上で、日・タイ両国の専門家レベルの技術的協議を速やかに行うべきである。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ]

1-(2) 偶蹄類の動物の肉等の輸入に係る加熱処理基準の見直し

油で揚げる方法による悪性家畜伝染病の病原体の殺滅効果に関する科学的試験データが提出された後には、基準追加に至る時期的目途を明確にし、関係国との技術的協議を速やかに行う。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定]

1-(2) 偶蹄類の動物の肉等の輸入に係る加熱処理基準の見直し

(1) 平成7年2月に提出すべきデータについて、タイ国専門家に説明を行い、さらに平成8年4月にタイ側が要望している加熱処理方法に関する科学的試験の中間報告を受けた際、タイ側が提出すべきデータの内容・形式について、情報提供を行うとともに、試験方法等についての助言を行った。

(2) 当該データがタイ側から提出された後、提出されたデータの加熱方法により、悪性家畜伝染病の病原体が殺滅されることが確認されれば、現行の加熱処理基準に追加することとしている。