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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) |
○ 問題提起者:経済団体連合会
○ 所管省庁:厚生省
○ 問題提起の内容
一般に食品等を輸入する者は、食品衛生法に基づき、検疫所を通じて厚生大臣に届け出を行わなければならない。検疫所においては、全品について書類審査を行う他、必要に応じて抜き取り検査等を行い食品衛生法に定める規格基準に適合していることを確認することとされている。
ミネラル・ウォーターについても、「食品、添加物等の規格基準」(厚生省告示)にその規格基準が定められており、輸入時に検査が行われている。
なお、ミネラル・ウォーターの国際基準としては、FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)の定めた欧州地域食品規格があるが、我が国の規格基準は平成6年12月にこれと整合化されたところである。
本件について、以下のとおり問題提起があった。
(1) 我が国のミネラル・ウォーターの規格基準は、今般欧州地域食品規格に整合化されたのであるから、当該規格を採用している国から輸入するミネラル・ウォーターについては、厚生省への登録の有無に拘らず、海外の全ての公的検査機関の発行する検査成績証明書を受け入れるべきである。
(2) ミネラル・ウォーターについては、他の清涼飲料水と異なり、輸入のつど微生物検査を受けなければならず整合的でないので、他の清涼飲料水と同様の取扱いとすべきである。
(3) 同一の製造元の製品であっても、輸入業者が異なる場合や輸入港が異なる場合、改めて全項目について検査を求められるが、従前の検査結果を活用して検査を簡素化すべきである。
(4) 輸入届出時に検疫所に提出する書類については、必要とする書類を明確にし、検疫所内で公開回覧を可能とすべきである。
○ 検討結果
(1) 食品の分野における市場アクセスの改善を図るためには、輸出国において必要な衛生措置が取られていることを輸入時に確認する際に、可能な限り外国検査結果を受け入れることが重要である。特に、規格基準が国際基準に整合化されているものについては、こうした対応を積極的に推進すべきである。
所管省においては、これまでに、輸出国公的検査機関制度(一定水準以上の検査能力を有する輸出国認定の検査機関を厚生省に登録し、当該機関の発行する検査成績証明書を受け入れ、輸入時検査を省略する制度)を実施するとともに、輸入食品等事前確認制度(輸入される食品等が食品衛生法に適合していることを厚生省が事前に確認し、当該食品等及びその製造加工業者を輸出国政府を通じて厚生省に登録し、輸入時の検査を省略する制度)を平成6年3月に導入したところである。
こうした制度の活用が進むことにより、外国検査結果の受入れが一層促進されるものと期待される。
したがって、これらの制度の広報に引き続き努めるとともに、特に、輸入食品等事前確認制度については、速やかに登録が行われるよう、各国との協議を進めるべきである。
その際、今般の問題提起を踏まえ、いかなる国のどの輸入食品についてこれらの制度がさらに活用されることが効果的であるかについて、関係者の意見・要望を聴取した上で、これに配慮し、こうした対応を推進すべきである。
(2) 所管省においては、EU諸国から輸入されるミネラル・ウォーターについては、EUにおける微生物基準が我が国の基準と概ね整合的であることを踏まえ、日・EU間の政府間の合意に基づき輸入時の提出資料の簡素化を行っている。
こうした対応は評価できるものであることから、その広報に努め、我が国にミネラル・ウォーターを輸出している他の国についても、こうした対応を希望する国の微生物基準を照会し、我が国の基準と概ね整合的であることが確認された国については、こうした合意を推進すべきである。
(3) 所管省においては、同一の製品を同一の輸入者が輸入する場合については、従前の検査結果を活用することは可能であるとしている。
(4) ミネラル・ウォーターの輸入時に検疫所に提出すべき書類については、各検疫所毎に輸入者の目に触れる場所に公示し、要請があれば配付する体制とするよう、平成7年4月を目途に改めて全国の検疫所に文書で指導すべきである。
OTO対策本部決定(平成7年3月28日) |
(1) 外国検査結果の受入れが一層促進されるよう、輸出国公的検査機関制度及び輸入食品等事前確認制度の広報に引き続き努めるとともに、特に、輸入食品等事前確認制度については、速やかに登録が行われるよう、各国との協議を速やかに進める。
(2) 日本・欧州連合(EU)間においては、政府間の合意に基づき微生物検査に関する輸入時の提出書類の簡素化を行っているが、こうした対応の広報を行い、他の国についても、こうした対応を希望する国については、その微生物基準を照会し、我が国の基準と概ね整合的であることが確認された国については、合意を推進する。
(3) 検疫所に提出すべき書類については、各検疫所毎に輸入者の目に触れる場所に公示し、要請があれば配付する体制とするよう平成7年4月に改めて全国の検疫所に文書で指導する。
フォローアップ(平成8年5月27日) |
(1) 輸入食品等事前確認制度は平成6年3月導入以来、平成6年7月の在京大使館への説明会の開催、平成7年4月から平成8年2月へかけてのカナダ、米国、オランダ、タイ、オーストラリアの5カ国への担当官派遣による説明、平成7年2月に開催されたAPEC基準適合性小委員会、FAO(国際食糧農業機関)の主催する食品の輸入手続に関するワークショップにおいてPRを行う等制度の普及に努めている。
輸出国公的検査機関制度については、平成8年4月現在、49カ国 2,726機関(うち平成7年度登録分 239機関) が、輸入食品等事前確認制度については、米国産ミネラルウォーター、オーストラリア産のチーズなど75品目(うち平成7年度登録分74品目) が登録されている。
なお、輸出国公的検査機関制度については、EUからのワインの輸入者等に対する当該制度の周知について、平成8年5月に検疫所及び日本輸入食品安全推進協会会長あてその旨を通知したところである。輸入食品等事前確認制度については、豪州から乳製品、タイからエビ加工品等への活用が要望され、平成7年度に登録されたところである。
(2) 日・EU政府間合意に基づきミネラルウォーターの微生物検査に関する輸入時の提出書類の簡素化が実施されていることについては、その広報に努めているところであり、他の国についても、同様の対応を希望する場合は当該国の微生物基準を照会し、我が国の基準と概ね整合的であることが確認された国については、こうした合意を推進することとしている。
なお、平成8年5月現在、EU以外ではこうした対応を希望している国はない。
(3) ミネラルウォーターの輸入時に提出すべき書類については、「ミネラルウォーター類の取扱いについて」(平成7年4月28日生活衛生局食品保健課検疫所業務管理室長通知)により、必要書類の一覧表を輸入食品届出窓口に掲示し、求めに応じてこれを配付するよう指導した。