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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ] [再フォローアップ]

2-(1) 体外診断薬の承認手続等の簡素化

○ 問題提起者:欧州ビジネス協会(EBC)、駐日ドイツ大使館

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題提起の内容

一般に医薬品及び医療用具を製造・輸入・販売するためには、薬事法に基づき、品目毎に製造(輸入)承認及び製造(輸入販売)業の許可が必要である。

臨床検査に用いられる診断用医薬品のうち、人に由来する試料を検体として検体中の物質等を検出又は測定する体外診断用医薬品(以下、「体外診断薬」とする。)についても、他の医薬品同様承認・許可を受けることが必要であるが、政令、省令、通知により他の医薬品に比べ承認・許可手続の簡素化が図られている。

問題提起者からは、多くの欧州諸国では体外診断薬及び体外診断用医療用具が医薬品及び医療用具としての規制を受けていないのに対して、日本では医薬品及び医療用具として規制されているため、欧州で開発された体外診断薬及び体外診断用医療用具を日本で販売する場合、追加的コストと時間を要するとして以下の問題提起があった。

(1) 体外診断薬について、政令、省令、通知により一部取扱いを簡素化する現行制度に代わって、薬事法を改正し体外診断薬及び体外診断用医療用具を医薬品及び医療用具とは別のカテゴリーとし、体系的かつ抜本的に取扱いの簡素化を図るべきである。

(2) また、その間にあっても、現行制度の下で承認(許可)手続(要件)の簡素化を図るべきである。

○ 検討結果

体外診断薬及び体外診断用医療用具は疾病の診断や治療法の決定に用いられるものであり、品質や取扱者の適正使用、安全性確保も重要であることは言うまでもないが、その特性は、人体に直接使用されるものでない点で他の医薬品及び医療用具と性格を異とし、性能(有効性)が最も重要な要素であるということである。こうした特性に鑑み、所管省においては、これまでに、体外診断薬については、政令、省令、通知により、添付資料の簡素化や標準的事務処理期間の短縮等承認審査事務等の一定の簡素化を図っており、今後とも可能な限りの簡素化を図ることとしている。また、体外診断用医療用具についても、新医療用具を除き承認不要とする方向で検討が進められている。

こうした検討に当たっては、体外診断薬及び体外診断用医療用具について、欧州の体外診断薬主要生産国では現在種々の分類で規制されているが、欧州委員会指令(案)では医薬品及び医療用具とは別に第3の分類を設けることが検討されている等の我が国と欧米諸国との制度の違いを背景とした今般の問題提起を受けて、この分野における市場アクセスの一層の改善に資するためには、体外診断薬の性能等を確保しつつ承認に要する事務負担が実質的に欧米諸国と同等程度となるよう制度の国際的整合化を推進することが不可欠であるとの基本的認識の下、以下の対応が必要である。

(1) 所管省においては、体外診断薬の性能を確保しつつ承認手続の簡素化を図ることとしている。このためには、性能を確保することを前提として、問題提起者を含む関係者の意見を踏まえて体外診断薬の基準を段階的に定め、体外診断薬のうち承認不要の範囲を設けること等を検討し、可能な限り早期に実施することにより、承認審査に要する事務負担を実質的に欧米諸国と同等程度とすべきである。また、体外診断薬を医薬品とは別の分類として取り扱うべきとする今般の問題提起を踏まえ、今後欧米諸国の制度の調査研究を進め、こうした検討に資するべきである。

こうした対応を推進することにより、所管省の既定の方針である新医療用具以外の体外診断用医療用具の承認不要化とも併せ、問題提起者の納得の得られる制度となることが期待される。

(2) 現行制度の下での承認(許可)手続(要件)のさらなる簡素化については、今般の問題提起を踏まえ緊急に以下の対応が必要である。

1) 体外診断薬の承認審査に際し、品目によっては、中央薬事審議会における審議・相談の対象となる場合や、国立予防衛生研究所における試験検査成績書の添付が求められる場合がある。こうした中央薬事審議会における審議・相談品目や国立予防衛生研究所への依頼試験品目については、現在、どのような場合にこれに該当するのかの基準が示されており一部の品目が例示されている。しかしながら、該当品目であるか否かを事前に判断することが困難な場合があるとの問題提起に鑑み、問題提起者との意見交換を踏まえて、平成7年度中を目途に基準の一層の明確化を図り、該当品目を可能な限り列挙、公表すべきである。
2) 医薬品の製造(輸入販売)業の許可要件として、製造(営業)所毎に管理者(薬剤師)を置き、かつ生物学的製剤を取り扱う場合は別途細菌学的知識を有する管理者(体外診断薬を取り扱う場合は、薬剤師で経験を有する者)を置くこととされている。体外診断薬を取り扱う場合については、その特性に配慮し平成7年度中を目途に生物学的製剤以外の管理者と生物学的製剤の管理者を1名の薬剤師で兼務できるよう取扱いの簡素化を図るべきである。
3) 体外診断薬の承認申請に際しては、安定性試験のデータを添付することとされている。このデータについて、所管省は、合理的理由があれば設定有効期間が6カ月未満でも承認することとしているが、より短い期間でもよいことを明確化するため、平成7年度中を目途に通知を改正すべきであり、その際「合理的理由」の内容についても可能な限り明示すべきである。
4) 体外診断薬の承認審査の標準的事務処理期間は6カ月とされている。これは諸外国からは一種の対外公約と見なされていることに鑑み、申請書が受理されてから申請者が承認書を実際に入手するまでの間が6カ月以内となるよう、平成7年度より導入予定のフロッピィディスクを用いた申請、所管省と都道府県とのオンライン化等により所管省における事務処理体制の強化を図るべきである。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ] [再フォローアップ]

2-(1) 体外診断薬の承認手続等の簡素化

(1) 性能を確保することを前提として、関係者の意見を踏まえて体外診断薬の基準を段階的に定め、体外診断薬のうち承認不要の範囲を設けること等を検討し、可能な限り早期に実施する。こうした検討に資するため、欧米諸国の制度の調査研究を進める。

(2) 現行制度の下での承認・許可手続及び要件のさらなる簡素化のため、緊急に以下の対応を取る。

1) 中央薬事審議会の審議・相談品目や国立予防衛生研究所への依頼試験品目については、平成7年度中を目途に、基準の一層の明確化を図り該当品目を可能な限り列挙・公表する。
2) 体外診断薬の製造(営業)所毎に置くこととされている管理者については、体外診断薬の特性に配慮し、平成7年度中を目途に、生物学的製剤以外の管理者と生物学的製剤の管理者を1名の薬剤師で兼務できるよう取扱の簡素化を図る。
3) 体外診断薬の設定有効期間については、合理的理由があれば6か月未満でも承認することを明確化するため、平成7年度中に通知を改正し、その際「合理的理由」の内容についても可能な限り明示する。
4) 承認に係る事務処理期間が標準的事務処理期間の6か月以内となるよう、平成7年度より導入予定のフロッピー・ディスクを用いた申請、都道府県とのオンライン化等により事務処理体制の強化を図る。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定] [再フォローアップ]

2-(1) 体外診断薬の承認手続等の簡素化

(1)
1) 問題提起者であるEBC等の関係団体との意見交換を踏まえ、承認不要の範囲については、平成8年3月の薬務局審査課長通知により、性能に影響を与えない範囲で、反応系に関与しない成分又は分量等の変更、構成試薬の剤型変更等の変更を行っても承認事項の一部変更承認を要しない範囲について示したところである。今後も申請者の負担軽減となるようその他の一部変更承認を要しない範囲等について、関係者の意見等を聞いて検討することとしている。
2) また、体外診断薬を医薬品と別の分類として取り扱うこと等の検討に資するため、欧米諸国における制度の調査を平成8年度中に実施することとしている。

(参考)
なお、厚生省の既定の方針である新医療用具以外の体外診断用医療用具の承認不要化については、平成7年6月に薬事法施行規則が改正され、新医療用具以外の体外診断用医療用具を含む多数の医療用具について、品目ごとの承認を要しないものとして指定されている。(平成7年7月施行)

(2)
1) 中央薬事審議会の審議・相談品目や国立予防衛生研究所への依頼試験品目については、問題提起者であるEBC等との意見交換を踏まえ、平成8年3月の薬務局審査課長通知等によりHIV、HCVに関するもの等の品目を列挙し明確化した。
2) 製造(営業)所毎に配置することとされている管理者については、生物学的製剤以外の管理者と生物学的製剤の管理者を1名の薬剤師で兼務できるよう平成7年12月の薬務局長通知により取扱いの簡素化を図った。
3) 安定性試験のデータについては、設定有効期間が6カ月未満でも承認することを平成8年3月の薬務局長通知により明確化した。
4) 平成7年6月の薬務局審査課長通知によりフロッピィーディスクを用いた申請、都道府県とのオンライン化による受付を開始し、事務処理体制の強化を図った。


再フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定] [フォローアップ]

2-(1) 体外診断薬の承認手続等の簡素化

(1)
1) 体外診断薬の性能を確保しつつ承認手続の簡素化を図るために、関係者からの具体的な要望を踏まえて、性能に影響を与えない範囲で、用法及び用量のうち試薬・試液の調製方法の変更を行っても承認事項の一部変更承認を要しない範囲を新たに設けた。
測定対象の性質について国際的に評価が定まっている成分等(標準品等)を使用しているものについては、承認申請時の提出資料等の簡素化を平成9年度中に検討し、実施することとしており、また、今後も具体的要望をもとに、承認審査に要する事務負担を実質的に欧米諸国と同等程度とすべく検討を進める。
2) 臨床検査の専門家からなる委託調査班において、引き続き欧米諸国の体外診断薬の性能確保の状況について調査研究を行っている。