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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ]

2-(3) 一般用医薬品の承認・許可手続の簡素化

○ 問題提起者:在日米国商工会議所(ACCJ)

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題提起の内容

一般に医薬品を製造・輸入するためには、薬事法に基づき、品目毎に製造(輸入)承認及び製造(輸入販売)業の許可を受けることが必要である。

医師の処方箋がなくとも薬局の店頭で購入できる一般用医薬品については、かぜ薬、解熱鎮痛剤等の薬効毎に承認基準が作成されており、承認基準の範囲内のものについては、承認権限が都道府県知事に委任されている。

一般用医薬品の標準的事務処理期間は10カ月であり、医療用医薬品(18カ月又は24カ月)より短いものとなっており、承認基準内のものについては画一的審査が可能であるため、さらに事務処理期間が短縮されている。

本件について、以下のとおり問題提起があった。

我が国では、一般用医薬品は、承認基準内のものであっても医薬品としての承認・許可を得なければならずこの手続に過度の時間を要するので、米国の制度に倣い届け出制又はそれと同等の制度とするよう検討すべきである。

○ 検討結果

所管省は、一般用医薬品の承認基準は、審査の透明性の確保を図るため、審査の概括的な基準を定めたものであり、医薬品の品質、有効性及び安全性の確保を図るためには、個別品目の成分、分量、効能・効果、規格等について承認審査を行うことが必要であるとしている。

しかしながら、医薬品としての承認・許可を受けるため手続に時間を要するとの今般の外国人事業者からの問題提起を受け、この分野における市場アクセスを改善する観点から、諸外国の制度も十分参考にして、承認・許可手続に要する申請者の事務負担を可能な限り簡素化するとともに、承認・許可に要する時間を可能な限り短縮することが必要である。

所管省においては、本年度及び平成7年度中に、以下のとおり承認申請に必要な資料の簡略化等承認・許可手続の簡素化、迅速化を図ることとしている。

(本年度措置分)
・区分許可制度の導入
(製造受託者については、製造工程に係る区分許可を有していれば品目毎の承認・許可を不要とする制度)
・成分規格等の標準化の推進
(医薬品に配合される成分等について標準規格を定め、順次規格集に収載することにより、承認申請に必要な資料の簡略化を可能とする。また、当該規格集に標準規格が収載された成分等については、当該成分等の標準規格の範囲内の変更であれば一部変更承認申請を要しないこととなる)

(平成7年度中)
・承認基準ができた薬効群について承認権限を都道府県知事に委任(外用痔疾用製剤について新たに承認基準を定める)
・製造業・輸入販売業の許可権限を都道府県知事に委任(ワクチン等の製造所を除き委任)
・フロッピーディスクを用いた申請審査システムを導入
・成分規格等の標準化の推進

こうした対応を今後とも推進することにより、承認・許可申請手続に要する時間とコストが諸外国と同等程度となるよう努めるべきである。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ]

2-(3) 一般用医薬品の承認・許可手続の簡素化

諸外国の制度も十分参考にして、製造・輸入に係る承認・許可手続の簡素化・迅速化を可能な限り図る。平成7年度においては、以下の対応を取る。

(1) 外用痔疾用製剤について、新たに承認基準を定め、承認権限を都道府県知事に委任する。

(2) ワクチン等の製造業を除き製造業・輸入販売業の許可権限を都道府県知事に委任する。

(3) フロッピー・ディスクを用いた申請審査システムを導入する。

(4) 承認に必要な書類の簡素化等のため、成分規格等の標準化を推進する。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定]

2-(3) 一般用医薬品の承認・許可手続の簡素化

(1) 外用痔疾用製剤について、新たに承認基準を定め、厚生省告示により平成7年4月から承認権限を都道府県知事に委任した。

(2) 薬事法施行令の改正によりワクチンの製造業等を除き、製造業・輸入販売業の許可権限を平成7年4月から都道府県知事に委任した。

(3) 平成7年6月の薬務局審査課長通知により、フロッピィディスクを用いた申請審査システムによる受付を開始した。

(4) 日本薬局方外医薬品規格については、新たに約130規格、医薬品添加物規格については、新たに約100規格について、改正原案を検討中であり、改正案をとりまとめた後、検討会における検討を経て決定する予定である。