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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) |
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○ 問題提起者:駐日ドイツ大使館
○ 所管省庁:通商産業省
○ 問題提起の内容
ガスのパイプライン等の溶接部分の写真撮影等、非破壊検査で工業用X線フィルムを用いる場合がある。
我が国では、工業用X線フィルムに関するJIS(日本工業規格)としてJIS K7618があり、これは国際規格であるISO(国際標準化機構)7004と整合化している。ただし、JIS及びISO規格のいずれにおいても、フィルムの分類基準は設定されておらず、ISOにおいては、現在、分類基準の国際規格制定のため、ISO/TC135(非破壊試験専門委員会)において審議が行われている。
本件について、以下のとおり問題提起があった。
日本では、非破壊検査に使用するフィルムの仕様を、発注者が「又は同等品」と特定企業の製品を例示するのが一般的である。
しかしながら、「同等品」の定義がなされていないため、ユーザー(非破壊検査の受注者)はJISに分類基準が存在していない下で「同等品」の定義を明確化することが困難であり、例示された製品を使用しているのが実態である。
以上により、工業用X線フィルムの分野においては、例示された企業以外の企業の日本市場への参入が困難になっている。
欧州においては、工業用X線フィルムの分類基準として、欧州規格EN584-1が制定されたところである(平成6年12月。平成7年3月発行予定)。
したがって、日本においても、JISに工業用X線フィルムの分類基準を規定すべきである。
○ 検討結果
工業用X線フィルムの分野における我が国の市場アクセスの改善の一環として、我が国においても早期に分類基準の設定に関し、以下の対応を図ることが適当である。
分類基準の国際規格については、現在ISO/TC135において委員会案の審議が行われているところであり、所管省においては、ISO/TC135への積極的な参加に努め、国際規格の作成前であっても、平成7年10月を予定している委員会原案の作成後、これに基づく国際規格案がまとまった段階で、JISをこれに整合化させる作業を開始することとしている。この作業を速やかに推進することにより、分類基準の国際規格が作成された段階には、国際規格に整合する分類基準をJISに規定すべきである。
また、欧州では昨年12月、工業用X線フィルムの分類基準を設けたところであるのに比して、日本では分類基準がないため取引の実態上、外国製品が不利な取扱いを受けている状況にあるとの問題提起者の主張については、所管省は、国内需要の約31%が輸入品によって占められ(平成5年)、外国製品についても十分国内市場にアクセスされているとしている。しかしながら、外国製品が不利な取扱いを受けているとの問題提起者の指摘も踏まえ、所管省としてどのような対応が可能であるかについての意見交換を含め、問題提起者の理解を得られるよう、必要に応じて関係者の間での意見交換を継続すべきである。
OTO対策本部決定(平成7年3月28日) |
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工業用X線フィルムの分類基準の国際規格について、国際標準化機構(ISO)のTC135 (非破壊試験専門委員会)の審議に積極的に参加している。なお、国際規格案がまとまれば、国際規格が制定されるまで待つことなく、その段階で、国際規格案と整合する分類基準をJISに規定する。
フォローアップ(平成8年5月27日) |
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(1) ISO/TC135(非破壊試験専門委員会)のSC5(放射線試験分科委員会)における審議に我が国も積極的に参加しているところである。
平成7年10月には、SC5で委員会原案が取りまとめられ、また同案をDISとして審議することが承認された。
JISを作成するには、工業標準化法に基づき日本工業標準調査会の審議を経ることが必要であるため、工業用X線フィルムの分類基準に関するJISについて、同調査会に専門委員会を設置(平成7年6月)する等措置を講じているところであり、今後DISが作成された段階で、これと整合するJISを作成することとしている。なお、専門委員には問題提起関係者も任命されている。
(2) 報告書のとりまとめ後に問題提起関係者との意見交換において、これまで、工業用X線フィルムの分類基準に関するISOの国際規格が作成された段階でJISを作成するとの取り組み方を、DISが作成された段階でこれと整合するJISを作成し、作業の迅速化を図ることを説明したところ、問題提起者の理解が得られた。
再フォローアップ(平成9年5月12日) |
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工業用X線フィルムの分類基準の国際規格案(DIS 11699 ー1)と整合したJIS K 7627(工業用X線写真フィルムー第1部:工業用X線写真フィルムシステムの分類)を平成9年2月に制定した。分類基準の国際規格が作成された段階には国際規格に整合する分類基準をJISに規定する予定。