3-(3) 電気・電子製品の認証手続の改善等

市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日)

3-(3) 電気・電子製品の認証手続の改善等

○ 問題提起者：駐日台北経済文化代表事務所

○ 所管省庁：通商産業省

○ 問題提起の内容

粗悪な電気用品による危険及び障害の発生を防止するため、電気用品取締法及びその関係法令により、電気用品の技術上の基準が定められ、電気用品については、この基準に適合するものでなければ、製造、販売することができない。

電気用品は、技術基準に基づいて通商産業大臣の認証（型式認可）を要する甲種電気用品（282品目）と、自己確認を要する乙種電気用品（216品目）とがある。

甲種電気用品は、(1) 国内又は海外の製造事業者が通商産業大臣から製造事業者の登録を受けた後、製造販売しようとする製品について同大臣が指定した試験機関で型式区分に従った試験を受け、同大臣から型式認可（海外の登録事業者は型式承認）を得た後に、同事業者が技術基準への適合を再度確認してから一定の表示を付して販売するか、(2) 輸入事業者が、輸入販売しようとする製品について通商産業大臣が指定した試験機関で型式区分に従った試験を受け、同大臣から型式認可を得た後に、同事業者が技術基準への適合を再度確認してから一定の表示を付して販売する手続きがある。

乙種電気用品は、(3) 国内の製造事業者が通商産業大臣に製造事業者開始届出を行った後、製造販売しようとする製品が技術基準に適合しているか確認（自己確認）してから一定の表示を付して販売するか、(4) 輸入事業者が通商産業大臣に対して事業開始の届出及び輸入販売しようとする製品が技術基準に適合しているか確認（自己確認）してから一定の表示を付して販売する手続きがある。

この手続に関して、以下の問題提起があった。

第1に、電気用品取締法及びその関係法令等は複雑かつ詳細に及び、多くの資料が日本語でしか入手できないため、外国事業者にとっては理解が容易ではない。従って、「電気用品取締法関係法令集」、「申請の手引」、「電気用品の技術基準の解説」、「電気用品技術基準の判定方法と運用」等の英語版を発行してもらいたい。(財)日本電気用品試験所によって、台湾で事業者を集めてセミナーが開催されてはいるが、短期間の説明会では複雑な電気用品取締法令を理解するのは容易ではない。

第2に、登録、型式承認の手続に際しては、日本語の使用が求められているが、外国事業者の負担の軽減のため、英語の使用を認めるべきである。特に、製造事業者の登録においては、登録申請書、工場または事業所の図面その他の書類を日本語で記載し、更に、(財)日本電気用品試験所等の担当者の工場審査に立ち会って日本語で説明する必要があり、非常に大きな負担となっている。

○ 検討結果

(1) 粗悪な電気用品による危険及び障害の発生を防止するという電気用品取締法の目的からも、電気用品取締法の関係法令等の英文化は有意義である。このため所管省においては、電気用品取締法関係法令集の英訳についてJETRO等の協力を得て、「電気用品取締法の英文ガイド」、「電気用品取締法の英文パンフレット」を作成、配付している。また、電気用品取締法関係法令のうち、電気用品取締法の技術基準に関しては、(財)日本電気用品試験所がJETROの協力を得て、電気用品498品目のうち既に約340品目について英訳し、希望者に有料で配付している。このことは、市場アクセスの改善、我が国の制度への外国人事業者等の理解の増進の観点から評価できるものであり、残りの品目の技術基準についても引き続き進めていくべきである。

(2) また、台湾の試験機関等が主催する電気用品取締法のセミナーに対して、(財)日本電気用品試験所が昨年度まで8回、今年度も合計4回のセミナーに対して、講師を派遣している。また、台湾のセミナー主催者より、開催期間の延長等を含めプログラムを一層充実したものとしたいとの要望があれば、所管省として、(財)日本電気用品試験所に対して可能な範囲で協力を行うよう働きかけていくこととしている。

(3) 電気用品の製造事業者登録、型式承認の際の申請書類の英文記載については、所管省では、これらの手続きは電気用品の安全を確保する観点から行っているものであって、正確、厳密かつ迅速に試験・審査を行う必要があるため、日本語による申請が必要であり、日本語以外の言語による申請を認めることはできないとしている。

しかしながら、国際化の進展、英語の国際的言語としての役割等を考慮しつつ、外国事業者の負担軽減のため、登録、型式承認の手続きに際しては、英語の使用を認めることの可能性について検討すべきである。

なお、台湾の場合は、経済部商品検査局が﨎日本電気用品試験所との間で電気用品の型式試験について協力協定を交わしており、このスキームを有効に活用することにより、試験に際しての申請者の言語の負担が軽減されると考えられる。また、﨎日本電気用品試験所と経済部商品検査局とは、事業者の登録に関しても協力契約を交わすことを計画しており、実現すれば工場審査における言語の負担も軽減されると考えられることから、そうした対応を速やかに進めるべきである。

(4) また、所管省では、電気用品安全確保体制の見直しを進めている。すなわち、平成7年度中に、エアコン、冷蔵庫、テレビ等の家電製品等、甲種電気用品117品目の乙種電気用品への移行、乙種電気用品の届出書類の合理化等を行うことを予定している他、その後も引き続き乙種電気用品へ移行を進めていく方針であることから、日本へ輸出を行おうとする海外の事業者にとって、これら電気用品に関する電気用品取締法上の製造事業者登録、型式承認の手続は不要となる。また、所管省では、今後5年程度を目途に、電気用品取締法の技術基準のIEC（国際電気標準会議）規格への整合化を図ることを予定している。

こうした対応は、自己責任原則の重視及び国際的整合化の観点からは評価できるものである。

また、民間ベースで第三者認証制度の発足とその定着が推進されており、所管省においては、今般の問題提起にも留意して、この制度が外国事業者にとっても利用しやすいものとなるよう、関係者の取組みを促すべきである。

OTO対策本部決定(平成7年3月28日)

3-(3) 電気・電子製品の認証手続の改善等

(1) (財)日本電気用品試験所が日本貿易振興会（JETRO）の協力を得て行っている電気用品取締法の技術基準の英訳（498 品目のうち既に340 品目について終了）を引き続き進めるよう働きかける。

(2) 外国の試験機関等が主催する電気用品取締法のセミナーについて、主催者より開催期間の延長等の要望があれば、講師を派遣している(財)日本電気用品試験所に対して協力を行うよう働きかける。

(3) 国際化の進展、英語の国際的言語としての役割等を考慮し、外国事業者の負担軽減のため、登録、型式承認の手続きに際しては、英語の使用を認めることの可能性について検討する。

(4) 平成7年度中に、甲種電気用品117 品目の乙種電気用品への移行、乙種電気用品の届出書類の合理化等を行う。

また、今後5年程度を目途に、電気用品取締法の技術基準のIEC（国際電気標準会議）規格へのより一層の整合化を進める。

フォローアップ(平成8年5月27日)

3-(3) 電気・電子製品の認証手続の改善等

(1) 電気用品取締法の技術基準〔電気用品の技術上の基準を定める省令（昭和37年通商産業省令第85号）〕について(財)日本電気用品試験所が日本貿易振興会（JETRO）の協力を得て英訳を進めているが、平成7年度は更に同省令の別表第1（電線・電気温床線29品目）及び別表第6（小型変圧器・電圧調整器・放電灯用安定器14品目）の英訳を実施した。同法対象品目のうち、輸入事業者等から要望が強かった約 450品目の英訳を完了したところであり（平成8年3月）、平成8年度中に印刷の予定となっている。

(2) 電気用品取締法の周知を図るため、台湾において開催されたセミナーに対し、日本電気用品試験所は平成6年度に引き続き平成7年度にも延べ3日間講師を派遣した。

(3)
1) 製造業者の登録及び型式承認に際しては、日本語で記述されている法令に照らした審査を行うことが必要である。英文による申請について検討を行ったが、当該申請を審査する際言語の相違から派生する内容解釈の差異が生じるおそれがあり、適切な審査が行えないために認められない。ただし、台湾も含めた外国製造業者がこれらの手続を行う場合、試験機関を通じて申請が行われているが、必要な書類の作成に当たっては、日本及び諸外国の試験機関が作成の代行をする等の便宜が図られているのが実態である。
2) 台湾経済部商品検査局が(財)日本電気用品試験所と交わしている協力協定については、7年度7件の利用があり、試験に際しての申請者の言語の負担は軽減されている。台湾の製造事業者が甲種電気用品の型式承認を受けるにあたって、(財)日本電気用品試験所が行う型式試験の際に、台湾の経済部商品検査局が実施した試験データを活用する旨の協力協定となっている。
3) (財)日本電気用品試験所と台湾経済部商品検査局との間で、平成8年3月に製造業者の工場検査に関する協力契約を締結した。台湾の製造事業者が外国製造事業者登録を受けるに当たって、(財)日本電気用品試験所が行う工場検査の際に、台湾の経済部商品検査局が実施した検査データを活用することができる旨の協力契約となっている。

上記1)～3)の措置により日本語申請の負担を軽減していることについて、問題提起者の理解が得られている。

(4)
1) 改正施行令により、エアコン、冷蔵庫、テレビ等甲種電気用品 117品目の乙種電気用品への移行、乙種電気用品の届出書類の合理化を平成7年7月1日に実施した。なお、甲種に残った品目については、8年度以降乙種への移行を引き続き検討する。
2) 規制緩和推進計画の計画期間の前倒しに伴い、平成9年度までの間に、電気用品取締法の技術基準のIEC（国際電気標準会議）規格への一層の整合化を図ることとしている。
3) 第三者認証制度の外国製造業者への普及を図るため、(財)日本電気用品試験所が台湾を含む6つの国・地域において、平成7年度中に計7回第三者認証制度普及に関するセミナーを実施する等、関係者による取り組みが行われた。

再フォローアップ(平成9年5月12日)

3-(3) 電気・電子製品の認証手続の改善等

(1) 電気用品取締法の技術基準〔電気用品の技術上の基準を定める省令（昭和37年通商産業省令第85号）〕について財日本電気用品試験所が日本貿易振興会（JETRO）の協力を得て英訳を進めている。平成7年度中に英訳の印刷が行われた約 450品目に加え、平成8年度は更に同省令の別表第3（ヒューズ類9品目）及び別表第5（電流制限器3品目）の英訳を実施し、平成9年度中に印刷の予定となっている。

(4)
1) 現在もなお甲種電気用品に残った品目は、電線・配線器具 (人体に直接接触して使用するもの）等比較的危険性の高い品目であるが、これらの品目については、今後民間の第三者認証の定着状況を見つつ、引き続き甲種から乙種への移行を検討する。
2) 電線・電球等約 300件のIEC規格について、我が国の電気用品技術基準として導入することが可能か否かについて技術的な検討を行い、平成9年度中に電気用品約 500品目に係る電気用品技術基準の国際規格への整合化を図る。