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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ] [再フォローアップ]

4-(2) 船舶コンテナの道路輸送の際の重量制限の緩和

○ 問題提起者: 駐日オーストラリア大使館、駐日フランス大使館、在日米国商工会議所(ACCJ)

○ 所管省庁:運輸省、建設省

○ 問題提起の内容

船舶コンテナに関する国際規格としてISO規格がある。同規格のコンテナで国際物流において広く普及しているのは、最大総重量24tの20ftコンテナ及び、30.48tの40ftコンテナである。これらのコンテナの道路輸送には主にセミトレーラと呼ばれる車両が使用されている。

道路の構造を保全し、交通の危険を防止する等の観点から、道路上を通行できる車両の重量等の上限が道路法等によって定められており、重量の上限については、主に橋梁の強度に依存して、車両の長さ、最遠軸距(車両の最前部の車軸中心から最後部の車軸中心までの距離)に応じて決められている。

なお、船舶コンテナを積載したセミトレーラについては、その国際物流上の重要性に配慮して、道路管理者の許可により徐行等の道路構造保全のための条件を付して、一般の車両に比べて大きな重量の車両についても通行が認められている(以下、特殊車両通行許可という)。

一方、道路運送車両の安全性の確保等の観点から、道路運送車両法等によって、橋梁等に与える影響等を勘案して、道路上を通行可能な車両の重量、長さ等の上限が定められている。また、各車両毎に最大積載重量等が定められている。

20ftコンテナについては、昭和63年のISOの基準改訂に合わせて最近開発された専用車両を用いれば、ISO規格のフル積載が可能である。ただし、40ftコンテナについては、道路輸送が可能であるのは、コンテナの総重量が24t程度までの場合であり、ISO規格のフル積載での通行はできない。

なお、現在第11次道路整備5か年計画(平成5年度から平成9年度)が推進されており、幹線道路における橋梁の補強等が行われつつある。

この船舶コンテナの道路輸送の際の重量制限について、以下の問題提起があった。

すなわち、コンテナ化とその水陸一貫輸送の推進は、輸入品の価格低下等を通じて事業者側、消費者側双方の利益となるものであり、船舶コンテナの道路輸送の際の重量制限を緩和し、日本におけるコンテナ化とその水陸一貫輸送を促進することが必要である。

特に、20ftコンテナについては、新たに開発された最遠軸距12.5mの専用車両を用いればフル積載が認められるものの、従来から用いられてきた最遠軸距10mの車両では最大積載量は20.32tに制限されている。この専用車両を用いることについては、1) 短期間のうちに車両を買い換えることは事業者のコスト負担が大きい、2) 車両の長さがコンテナ長に比べて長いことから、荷役時にフォークリフトが進入できない、3) 最遠軸距が長いことから操作性に劣る、等の問題がある。こうした状況を改善するため、問題提起者からは、以下の対応が求められた。

(1) 20ftコンテナについては、道路整備5か年計画終了時において、最遠軸距10mの車両でISO規格のフル積載での通行を認めるべきである。

1) その際、どの様なスペック(軸重、軸数、シャーシの強度等)の車両でそれが認められるのかを可能な限り早急に明らかにすべきである。
2) 既存の最遠軸距10mの車両でフル積載での通行をするために、車両の改造が必要となるのであれば、どの程度の改造が必要であるのかについての指針を示すべきである。

(2) 40ftコンテナについても、5か年計画終了時においてISO規格のフル積載での通行を認めることとし、また、フル積載を認める車両のスペックを可能な限り早期に明らかにすべきである。

(3) 5か年計画終了時にはどの区間の重量制限が緩和されるのかできるだけ早期に情報提供すべきである。また、可能であれば、5か年計画の途中段階でも、十分な強度をもった道路から段階的に重量制限を緩和すべきである。

(4) 重量制限の緩和を可能とする道路整備は、都市間の高速道路よりも、大口需要者が多く立地する大都市圏内の主要道路に重点を置いて進めるべきである。

○ 検討結果

(1) 船舶コンテナの水陸一貫輸送を促進することは物流の効率化に大きく資するものであり、国際的整合化の観点を踏まえ、ISO規格の船舶コンテナについては、可能な限り早期に、フル積載した状態で、国内物流上船舶コンテナ輸送のニーズが大きい路線における道路輸送を可能とすべきである。

また、20ftコンテナについては、現在フル積載が認められている最遠軸距12.5mの車両は操作性の問題等から使いにくいという問題提起者の主張もあり、現在20ftコンテナの輸送に使われている車両を改造したものを含め、操作性等に優れる他の車両による輸送も可能とすべきである。

所管省においては、従来から高速自動車国道等については、ISO規格の40ftコンテナをフル積載した状態でのセミトレーラの走行を想定した橋梁の整備を行ってきたところである。更に、国際貨物輸送の進展等を踏まえ、平成5年11月に道路構造令を改正し、その他の道路についても、今後建設する橋梁は設計強度を大きくし、既存の橋梁についても順次補強等を実施することとした。これにより、物流上重要な路線については、平成9年度末を目途に、道路管理者の特殊車両通行許可により、40ftコンテナをフル積載した状態でのセミトレーラの通行に対応できる道路のネットワークを形成するよう、道路整備が進められることとなる。また、所管省においては、40ftコンテナのフル積載に対応した道路のネットワークについては、軸重等の制限を満たす場合には、最遠軸距10mの車両による20ftコンテナのフル積載をも認めることとしている。

なお、船舶コンテナをフル積載した状態での通行をできる限り早期に可能とするとの観点から、第11次道路整備5か年計画終了前であっても、迂回路の確保等、一定のネットワークが形成されれば、そうした路線におけるフル積載での道路輸送を認めるべきである。

また、関係事業者の事業展開等の便宜を考慮すると、重量制限が緩和されるネットワークについては、できるだけ早期に情報提供すべきである。

(2) ISO規格の船舶コンテナの道路輸送が活発に行われるためには、それに対応する車両の開発・改造が円滑に行われる必要がある。

車両製造事業者、運送事業者等の便宜を図るため、どのような条件を満たす車両であれば船舶コンテナをフル積載して通行できるのかについて、関係省庁間で調整の上、フル積載車両が通行可能になる以前に十分な時間的余裕を持って明確化する必要がある。その際、車両の操作性等も考慮する等、問題提起者及びこれらの事業者の意見も十分参考にすべきである。なお、所管省においては、最遠軸距10mの車両による20ftコンテナのフル積載については、技術的理由から、現時点ではセミトレーラ連結車の車軸の数を従来型車両の4軸にかえて5軸とする必要があるとしている。

また、所管省では、その際、現在使用されている最遠軸距10mの車両について、適切な改造により積載重量の改定を行うことについても、道路運送車両の保安基準を満たす場合には、それを認めていくこととしている。

(3) 所管省では、第11次道路整備5か年計画の期間内において、高速自動車国道と主要コンテナヤードを結ぶ路線等、物流上重要な路線の整備を行うこととしている。その際、具体的な路線の決定に当たっては、船舶コンテナ輸送のニーズの大きい路線が整備されるよう配慮すべきであり、所管省においては、現在特殊車両の通行許可により船舶コンテナの輸送が活発に行われている路線等を整備路線の決定の参考にすることとしている。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ] [再フォローアップ]

4-(2) 船舶コンテナの道路輸送の際の重量制限の緩和

船舶コンテナの水陸一貫輸送を促進し、物流の効率化に資するため、以下の対応を取る。

(1) 物流上重要な路線については、第11次道路整備5か年計画の期間内(平成9年度末まで)を目途に道路整備を進め、道路管理者の特殊車両通行許可により、ISO規格の40ftコンテナをフル積載した状態でのセミトレーラの通行を可能とする。

なお、第11次道路整備5か年計画終了前であっても、迂回路の確保等、一定のネットワークが形成されれば、そうした路線におけるフル積載を可能とする。

(2) 40ftコンテナのフル積載に対応した道路のネットワークについては、軸重等の制限を満たす場合には、最遠軸距10mの車両によるISO規格の20ftコンテナのフル積載をも可能とする。

(3) どのような条件を満たす車両であれば船舶コンテナをフル積載して通行できるのか、関係事業者の意見も十分参考にして、早期に明確化する。

(4) 船舶コンテナのフル積載に対応した道路整備にあたっては、船舶コンテナ輸送のニーズが大きい路線が整備されるよう配慮し、現在特殊車両の通行許可により船舶コンテナの輸送が活発に行われている路線等を参考とする。

(5) 重量制限が緩和されるネットワークについては、可能な限り早期に情報提供する。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定] [再フォローアップ]

4-(2) 船舶コンテナの道路輸送の際の重量制限の緩和

(1) 重要港湾、工業団地等の物流拠点を結ぶ重要な国道など、物流上重要な路線については、40ftコンテナをフル積載した状態でのセミトレーラの通行が可能となるよう、橋梁の補修・補強を実施している。補修・補強を予定している 460箇所のうち、平成7年度までに約 360箇所について終了しており、平成9年度末までに全て完了することとしている。

今後橋梁の補修・補強を進める際に、平成9年度末以前であっても迂回路の確保等一定のネットワークが形成されれば、当該路線における40ftコンテナのフル積載での通行を特殊車両の通行許可により可能とする。

また同路線において、最遠軸距 10mの車両による20ftコンテナのフル積載については、軸重等の制限を満たす場合には、同様に特殊車両の通行許可により可能とする。

なお、重量制限が緩和されるネットワークについてはできるだけ早期に情報提供する。

(2)
1) 車両製造事業者、運送事業者等の関係団体及び運輸省、建設省により検討の場を設け、平成7年6月以降船舶コンテナをフル積載で通行できる車両諸元の検討を行っており、平成8年度中にできる限り早く結論を出し、関係事業者に提示する予定である。
2) 適切な改造を行った最遠軸距10 mの車両のフル積載については、道路運送車両の保安基準に規定している車両諸元についての要件である軸重等の制限に適合しており、特殊車両の通行許可が得られた場合には、道路のネットワークが形成された時点で、運行が認められることになる。

(3) 第11次道路整備5か年計画の期間内において、背高海上コンテナの通行経路等を参考に船舶コンテナ輸送のニーズの大きい路線を整備することとしている。


再フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定] [フォローアップ]

4-(2) 船舶コンテナの道路輸送の際の重量制限の緩和

(1) 重要港湾、工業団地等の物流拠点を結ぶ重要な国道など物流上重要な路線については、40ftコンテナをフル積載した状態でのセミトレーラの通行が可能となるよう、橋梁の補修・補強を実施している。補修・補強を予定している 460箇所のうち、平成8年度までに約 400箇所について終了しており、平成9年度末までに完成することとしている。

今後橋梁の補修・補強を進める際に、平成9年度末以前であっても迂回路の確保等一定のネットワークが形成されれば、当該路線における40ftコンテナのフル積載での通行を特殊車両の通行許可により可能とする。

また同路線において、最遠軸距 10mの車両による20ftコンテナのフル積載については、軸重等の制限を満たす場合には、同様に特殊車両の通行許可により可能とする。なお重量制限が緩和されるネットワークについては、できるだけ早期に関係事業者等に情報提供する。

(2)
1) 車両についての検討の場 (製造事業者、運送事業者等の関係団体及び運輸省、建設省) において、関係団体から意見を聴取し、平成8年12月、建設省がセミトレーラ連結車両の諸元を関係団体等に提示した。
今後この提示された諸元を踏まえ、道路運送車両法等関係法令に適合するため必要となる車両の改善等について、関係団体及び運輸省、建設省において検討を進め、平成9年度中に結論を出す。なお、問題提起者の意見については今後も尊重していく。
2) 適切な改造を行った最遠軸距 10mの車両のフル積載については、道路運送車両の保安基準に規定している車両諸元についての要件である軸重等の制限に適合しており、特殊車両の通行許可が得られた場合には、道路のネットワークが形成された時点で、運行が認められることになる。

(3) 第11次道路整備5か年計画の期間内において、背高海上コンテナの通行経路等を参考に船舶コンテナ輸送のニーズの大きい路線の整備をすすめている。