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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ] [再フォローアップ]

5-(2) 壁紙の認証制度の改善

○ 問題提起者:駐日フランス大使館

○ 所管省庁:建設省

○ 問題提起の内容

建築基準法により、特殊建築物、大規模建築物等の居室及び避難経路の内装仕上げについては、初期火災の拡大防止及び避難安全性の確保の観点から、不燃性を有することとされており、これら建築物の壁紙等の内装仕上げ材については、建築物の種類、規模等に応じて、不燃材料、準不燃材料又は難燃材料(以下「防火材料」という)として建設大臣が認定した材料を使用しなければならない。これら防火材料の認定については、それぞれの分類に応じて、一定の加熱による発熱量、亀裂等の有無、有毒ガス発生の有無等により防火性能を評価するための試験方法が建設省告示で定められている。

この認定には、個別認定と通則的認定があり、個別認定は、品種毎に建設省告示に定める試験を受け、個別に認定を受けるものである。他方、通則的認定は、業界団体である壁装材料協会が、織物、ビニール等主たる構成材料等の条件に応じた5類型及びこれらに該当しない壁紙一般(「特定壁紙」)のそれぞれについて、材質、施工方法等に条件を付して包括的に認定を受けている。これによる場合は、個々の製造業者又は販売業者は、品種毎に、認定条件を具備していることについての同協会による確認及び所要の防火性能試験を受けることにより、建設省告示に定める試験の一部を省略して品種毎の認定を得ることができる。

この壁紙の防火材料の認定手続等に関して、以下の問題提起があった。

日本では、フランスにおける防火材料としての認定が受け入れられないため、日本において再度試験を求められる。承認された試験機関で検査された製品については、出荷前に日本の防火材料の認定を受けられるようにすべきである。このため、フランスの試験機関を日本の規格への適合性を試験する機関として認めるべきである。

また、欧州で広く使われているポリエステルを通則的認定の対象とすべきである。更に、フランスでの壁紙の標準的な幅は70cmであり、日本の認定の対象と一致しないため、日本への輸入に支障が生じている。

○ 検討結果

(1) 所管省では、外国の試験機関において、我が国の建築基準法令に基づき実施された性能試験データを、日本での防火材料等の指定の際のデータとして受け入れることとしている。更に、平成6年10月21日付で「試験機関指定要領」を定め、試験データを受け入れる試験機関をあらかじめ指定するための要件等を国際標準(ISOガイド25)に準拠させ、国際調和化を図ったところである。これによって、平成7年4月1日から、前述の指定要領に規定する基準を満たすフランスの試験機関は、試験機関の指定をあらかじめ受け、防火材料の認定においては当該試験機関の試験データを受け入れることが可能となる。

市場アクセス改善の観点から、外国検査データの受入れは極めて重要であり、試験機関の指定が円滑に行われるよう、こうした制度改善についての広報活動等を積極的に推進すべきである。

(2) また、所管省では、相手国の認証機関による性能評価について相互に認め合う相互認証制度を導入するために、フランスを始め、アメリカ、カナダ、EU等と協議を行っている。このうち、フランスとの相互認証協議については、平成6年5月に建築基準に係る相互認証の推進に関する協定を締結し、平成7年1月中旬には、壁紙等の具体的な品目について協議を行ったところである。

市場アクセス改善の観点から、相互認証制度の導入については積極的に推進すべきである。

(3) 主素材がポリエステル等の壁紙であっても、材料を特定しない類型である「特定壁紙」の一定の要件を満たすことが確認できるものについては、手続が簡素化された通則的認定を受けることができる旨、所管省より問題提起者に説明した。

(4) 壁紙のサイズは防火性能とは一般的に関係ないため、幅が70cmのものであっても通則的認定による場合を含め、防火材料としての認定を受けることができ、問題提起の内容が誤解に基づくものである旨、所管省より問題提起者に説明した。

(5) なお、所管省においては、平成6年度内を目途に、通則的認定について、手続きを一層簡素化する方向で、通則的認定に関わる各機関・団体と検討を行っており、また、認定制度の周知については、外国の壁紙メーカーや輸入商社向けに英文パンフレットを作成し、壁紙に係る日本の建築基準や認定手続を紹介することを予定している。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ] [再フォローアップ]

5-(2) 壁紙の認証制度の改善等

(1) 「試験機関指定要領」に基づく外国試験機関の指定が円滑に行われるよう、広報活動等を積極的に推進する。

(2) フランス、アメリカ、カナダ、EU等との協議を積極的に行い、相手国の認証機関による性能評価について相互に認め合う相互認証制度を協議成立後速やかに導入する。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定] [再フォローアップ]

5-(2) 壁紙の認証制度の改善

(1)
1) 「試験機関指定要領」(平成6年10月21日策定)を平成7年4月1日に施行した。同要領に規定する基準を満たす試験機関は、試験機関の指定をあらかじめ受け、防火材料の認定において当該試験機関の試験データを受け入れることとした。
2) 試験機関の指定要領及び申請手続きについて、平成6年11月からフランスを始めアメリカ、カナダ等在日の主要な外国公館等に対して情報提供を行った。また上記の要領により平成7年12月19日にカナダの試験機関を1機関指定し、試験データを受入れることとした。また壁紙に係る建築基準や認定手続きに関する英文パンフレットの提供を行った。

(2) フランスに対し協議を行うことを提案したところであり、フランス側の準備が整い次第積極的に協議を進めることとしている。

(3)
1) 建設省においては、通則的認定の手続きの簡素化に関する検討を行い、その結果を踏まえて、防火性能試験において通則的認定の対象となる一定の壁紙(特定壁紙)の一部につき、平成7年3月13日付けで手続きの簡素化を行った。
2) 平成7年4月に、日本の建築基準や認証手続きに関する英文パンフレットを作成し関係団体等に配付した。


再フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定] [フォローアップ]

5-(2) 壁紙の認証制度の改善

(2) フランスに対しては協議を行うことを提案しており、フランス側の準備が整い次第積極的に協議を進めることとしている。