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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ] [再フォローアップ]

6-(2) 景品規制の見直し

○ 問題提起者:在日米国商工会議諸所(ACCJ)

○ 所管省庁:公正取引委員会

○ 問題提起の内容

景品規制の趣旨は、景品競争がエスカレートすることにより、競争の手段が本来の価格・品質から過大な景品提供へと移行し、消費者の適正な商品選択が歪められて公正な競争が阻害されることを防止することにある。このため、独占禁止法とその特別法である景品表示法に基づく関係告示により次のとおり規制されている。

(1) 景品表示法に基づく規制

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法、昭和37年)においては、「景品類」とは、「顧客を誘引するための手段として」、「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して提供する」、物品等の「経済上の利益」と定義されており、「値引き」、「アフターサービス」及び「附属品等」については、景品類から除外される。

1) クローズド懸賞
懸賞(くじ等)による景品類(クローズド懸賞)については、「懸賞景品制限告示(昭和52年告示第3号)」により、その最高額や総額が定められている。
2) 総付景品
懸賞によらない景品類については、「総付景品制限告示(昭和52年告示第5号)」によりその最高額が定められている。
3) 業種別規制
29の個別業種については、業界の実情に即した業種別の景品制限告示が定められている。
4) 公正競争規約
事業者又は事業者団体は、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための公正競争規約を設定することができることとされている。景品類に関する公正競争規約が設定されている場合には、総付景品制限告示及び業種別の告示により「正常な商慣習の範囲内」と規定されているものについては、公正競争規約の内容を参酌することとされている。

(2) 独占禁止法に基づく景品規制等

1) 百貨店業者の規制
百貨店業者(大規模小売業者)が商品の購入を条件として景品提供を行うことが原則禁止されている(昭和29年告示第7号)。
2) オープン懸賞
取引に附随せず、広告によるくじの方法等により経済上の利益を提供すること(オープン懸賞)については、上限額が100万円に制限(昭和46年告示第34号) されている。

申立者からは、景品提供は、マス・メディアによる広告に比べて、低コストでターゲットを絞った多様な販売促進を可能とするものであり、外資系企業や中小事業者にとっては、大規模事業者に対抗する有力な手段であることから、景品提供が自由化又は緩和されると競争が活発化し、消費者、生産者、小売業者へ多くの恩恵がもたらされると考えられるとして、規制の見直しが求められた。

具体的には以下のような問題提起がなされた。

(1) 「景品類」、「オープン懸賞」、「クローズド懸賞」の定義は複雑であるため、不透明な規制となっている。これらを、「取引に付随する行為」や「顧客を誘引するための手段」といった表現で規制するのではなく、「購入の証拠」の有無と結びつけるべきである。

(2) 景品の上限額については、制定当初においてもかなり制限的なものであり、その後のインフレ等を踏まえた現在の経済状況からすれば実質的に一層厳しいものとなっており、最高限度額を10倍、上限比率を2〜3倍とすべきである。

(3) 新規参入企業にとっては、事業者又は事業者団体が定める公正競争規約は、有効な競争手段を奪うものである。業界団体がそのルールを非会員企業に及ぼす権限がないことを明確にすべきである。または、公正競争規約を廃止するか、その内容を一般的規制の水準に引き上げるべきである。

(4) 応募要綱を商品に添付したり店内に掲示したりする等の方法をオープン懸賞として認め、最も有効な店内販売促進活動への消費者の参加の手段を多様化すべきである。

(5) その他販売促進活動を自由化するため、以下の対応が必要である。

1) 異なる産業にわたる2社以上の企業が提携して行う共同販売促進活動が容易にできるよう改善すべきである。
2) 現在原則禁止されている百貨店業者の行う景品付販売を自由化すべきである。
3) 時折極めて高額の景品を提供すること(ファンタジー景品)を認めるべきである。
4) いくつかの公正競争規約により、試供品等の見本については、小さなものと制限されているが、サンプル仕様をわざわざ生産しないでも良いように商品自体をサンプルとして提供できるようにすべきである。

○ 検討結果

景品(オープン懸賞を含む。以下同じ)の提供は、マス・メディアによる広告に比して安価な費用でターゲットを絞って新商品をアピールすることを可能とする等効果的な販売促進手段であって企業間の競争を活発化させるという効果があると考えられる。

所管省庁においては、景品規制の見直し・明確化について、平成7年3月末を目途に学識経験者による研究会の結論を得て、これを踏まえ、平成7年度中に百貨店業者が行う景品付販売に係る公正取引委員会告示及び景品提供の各態様別の上限等に関して見直しを図ることとしている。

その際、具体的な制限規定を設けてからの経済社会情勢の変化を踏まえて、公正な競争の促進という趣旨に照らして、規制の必要性を抜本的に見直し、必要最小限でわかりやすいものとする方向で、早期に見直しの具体的内容を明示し、平成7年度内に可及的速やかに実施すべきである。

特に今回の問題提起に関しては、以下のような具体的な対応が必要である。

(1) 景品の定義やその解釈については、オープン懸賞とクローズド懸賞の区別等を含めて明確化し、規制の透明化を図るべきである。

(2) 景品規制の上限については、具体的な制限規定を設けてから長期間が経過しているものもあることから、その間の経済社会情勢の変化を踏まえて見直しを図るべきである。

(3) 公正競争規約に参加していない企業に対しては、業界団体がそのルールを当該企業に及ぼすことができないことを明確化するとともに、公正競争規約の内容や運用について見直しを図るべきである。

(4) 百貨店業者が行う景品付販売を自由化し、一般的規制の範囲内での景品提供を行うことを認めるべきである。

なお、今般問題提起されたその他の事項についても規制の見直しを検討すべきである。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ] [再フォローアップ]

6-(2) 景品規制の見直し

景品規制に関しては、平成7年3月末の学識経験者による研究会の検討結果を踏まえ、平成7年度中に、百貨店業者が行う景品付販売に係る公正取引委員会告示(百貨店業の特殊指定第8項)及び事業者景品告示の廃止並びにオープン懸賞告示、懸賞景品告示及び総付景品告示に係る上限金額の引上げを行うとの方向で見直すとともに、規制される景品の範囲等規制内容の明確化を図る。引き続き、個別業種の景品規制(告示・公正競争規約)について、必要な見直しを図る。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定] [再フォローアップ]

6-(2) 景品規制の見直し

公正取引委員会は、景品規制の見直し・明確化を図るため、平成7年3月28日に出された学識経験者による検討結果報告書を踏まえ、平成7年6月29日に改正の骨子を公表して各方面から意見・要望の提出を受けるなどの過程を経て、同年12月13日及び18日に具体的な改正案を示して公聴会を開催し、学識経験者、一般消費者、関係事業者等の意見を聴取した上で、慎重に検討した結果、平成8年2月16日に景品規制の一般規定に係る関係告示及び運用基準等の改正を行った。

改正内容等は、次のとおりである(特に記載の無い限り施行は平成8年4月1日)。

(1) メーカーがオープン懸賞を実施する場合、取引先小売店の店舗に応募用紙を設置しても、原則として問題がないとしたなど、オープン懸賞規制の対象範囲の縮減・明確化を行った。

(2) 総付景品告示に係る上限金額を撤廃し、オープン懸賞告示及び懸賞景品告示に係る上限金額をそれぞれ引き上げるとともに事業者景品告示を廃止した。

(3) 公正競争規約の速やかな見直しを図るよう、公正取引協議会に対する指導を行った(平成8年2月16日)。なお、自動車業界において公正競争規約の見直しの検討を行った結果、公正競争規約を改正後の一般規定の内容と同じものとした(平成8年4月22日公聴会開催、同年5月9日公正取引委員会認定、同年5月10日施行。なお、その他の業界においても、その見直しの検討等の取組を行っている。)。

(4) 百貨店業における特定の不公正な取引方法(昭和29年公正取引委員会告示第7号)第8項を廃止した。

このほか、セット販売、自他共通割引券等を総付景品の対象外とするなど総付景品規制の対象範囲の縮減・明確化を行った。


再フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定] [フォローアップ]

6-(2) 景品規制の見直し

公正取引委員会は、景品規制について、懸賞景品告示に係る上限金額の引上げ、総付景品告示に係る上限金額の撤廃、事業者景品告示の廃止、百貨店業における特定の不公正な取引方法第8項の削除、オープン懸賞告示に係る上限金額の引上げ及び規制対象範囲の縮減・明確化を行うための景品規制の一般規定に係る関係告示及び運用基準の改正を、平成8年4月1日から実施した。この一般規定の見直し・明確化に引き続いて、29の業種別告示についても、27業種について廃止等を行った。また51の景品に関する公正競争規約についても、業種別告示の廃止等にあわせて、24規約について一般規定の内容に即した見直しを行った。