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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) [本部決定] [フォローアップ] [再フォローアップ]

7-(1) 税関及び輸入手続関係各機関の執務時間の延長

○ 問題提起者:経済団体連合会

○ 所管省庁:大蔵省、農林水産省、厚生省

○ 問題提起の内容

輸入貨物に対する税関及び他法令関係検査業務(食品検査、動物検疫、植物防疫)は、税関業務については関税法に基づき、食品検査業務については食品衛生法に基づき、動物検疫業務、植物防疫業務についてはそれぞれ家畜伝染病予防法、植物防疫法に基づき行われている。

税関、検疫所、動物検疫所、植物防疫所の執務時間は、いずれも月曜日から金曜日の8時30分から17時までである。税関については、関税法により、執務時間外の業務に関して申請を受けて対応する臨時開庁制度が定められており、この制度の下で、成田空港、関西空港、東京航空貨物出張所では、週を通じて職員を24時間常駐させることにより、その他の官署については、執務時間外の業務を求める申請に応じて対応しているところである。他法令関係検査業務については、関西空港のみ原則24時間対応が可能となっており、その他の空港・港湾においては、成田については週を通じて21時まで業務を行うなど、輸入実績等を勘案し適宜業務を行う時間を延長して対応している。

これらの業務について、以下の問題提起があった。

税関については、執務時間外の貨物取扱いの際には事前に臨時開庁の申請を行うとともに、所定の手数料を納付しなければならない。輸入拡大のためには、税関の執務時間の延長を行い臨時開庁という手続を行うことなく24時間通関が可能となるように制度を改善すべきである。また、臨時開庁の手数料については可能な限り引き下げるべきである。

他法令関係検査業務については、臨時開庁と同様の制度が存在せず、夜間等の検査を受けることは不可能である。このため、主要空港・港湾については、食品検査、動物検疫、植物防疫についても各々業務を行う時間を延長し、24時間輸入を可能とすべきであり、少なくとも、臨時開庁制度と同様の制度を導入すべきである。

○ 検討結果

国際物流と国内物流の接点となる輸入手続関係業務を行う時間帯については、空港・海港業務の実態や利用者のニーズに適切に対応したものであることが必要である。特に航空便での到着貨物については、空港到着後迅速に輸入手続を終了できる体制を整備することが重要である。

しかし、現状では主要空港においても、最終便で到着した貨物等については、これら輸入手続関係機関が対応しえていない状況も見受けられ、輸入者が翌日まで輸入手続を待つ、または、貨物の到着を翌日にずらすことを迫られるケースが生じる場合がある。従って、こうした貨物の円滑な輸入が可能となるよう、需要等も考慮の上、各輸入手続機関の体制を整備すべきである。

税関については、所管省において、名古屋、福岡空港について、時間外業務への需要、定員事情等を考慮して、職員の常駐時間を延長することを検討している。これは、利用者が臨時開庁の申請を税関の執務時間外に行うことを可能とする面でも利用者の便宜を図るものであり、速やかに対応を進めるべきである。

また、臨時開庁手数料については、平成6年1月に、標準申告件数も含め所管省において見直しを行ったところである。今後とも、事務処理実態を考慮し適宜見直しを行うべきである。

他法令関係検査業務に関しては、関西空港においてのみ24時間対応が可能であり、他の空港においては、最終国際貨物便に対応できる体制となっていない。従って、成田、名古屋、福岡等の主要空港については、最終国際貨物便に対応し検査を行えるよう、行政効率を考慮しつつ、人員増や業務を行う時間の延長について検討すべきである。


OTO対策本部決定(平成7年3月28日) [報告書] [フォローアップ] [再フォローアップ]

7-(1) 税関及び輸入手続関係各機関の執務時間の延長等

(1) 税関については、名古屋、福岡空港について、時間外業務への需要、定員事情等を考慮して、職員の常駐時間を平成7年中を目途に延長する。

臨時開庁手数料については、今後とも、事務処理実態を考慮し適宜見直しを行う。

(2) 検疫所、動物検疫所及び植物防疫所における検査業務に関しては、成田、名古屋、福岡等の主要空港については、最終国際貨物便に対応し検査を行えるよう、行政効率を考慮しつつ、人員増や業務を行う時間の延長について検討を行う。


フォローアップ(平成8年5月27日) [報告書] [本部決定] [再フォローアップ]

7-(1) 税関及び輸入手続関係各機関の執務時間の延長

(1) 名古屋空港及び福岡空港の通関部門における執務時間外の勤務については、利用者が臨時開庁の申請を税関の執務時間外に行うことを可能とし、利用者の便宜を図るものとして、平成7年4月より執務時間外においても最終国際貨物便に対応できるよう職員を常駐させる業務処理体制を整備した。

(2) 臨時開庁手数料については、平成6年1月、近年における小口急送貨物等の通関処理の迅速化に応じ、1臨時開庁承認申請で扱い得る申告件数を拡大し、輸出入者のコストの軽減を図ったところであるが、今後とも、通関処理の実態の変化に応じ、適宜見直しを行っていくこととしている。

(3) 他法令関係検査業務に関しては、検疫所の執務時間は、名古屋空港について平成7年4月より、福岡空港について同年6月より平日3時間延長し20時までとした。今後も主要空港における輸入食品に係る検査業務について、具体的改善要望がある場合には、食品の輸入実態等に応じ、業務を行う時間の延長について検討を行い、その結果を踏まえて対応することとしている。

植物防疫所の執務時間は、平成8年度中に成田空港、名古屋空港及び福岡空港について最終国際貨物便の検査に対応し延長することにより輸入手続の円滑化を図ることとした。

動物検疫所の執務時間は平成8年4月に名古屋空港において最終国際貨物便の検査に対応し延長することにより輸入手続の円滑化を図ることとした(成田空港は既に対応済である)。今後も主要空港については、最終国際貨物便に対応し検査を行えるよう、行政効率を考慮しつつ、人員増や業務を行う時間の延長について検討する。


再フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定] [フォローアップ]

7-(1) 税関及び輸入手続関係各機関の執務時間の延長

(3) 他法令関係検査業務に関しては、検疫所の執務時間については、従来より食品の輸入実態に応じ、検討を行ってきたが、平成7年に名古屋、福岡空港において平日3時間延長したのに続き、名古屋空港について平成9年2月より土、日、祝日の業務を行う時間を3時間延長し、20時までとした。また、定員(注)については8年度54人増を確保した。

植物防疫所の執務時間は平成8年10月から成田空港、名古屋空港、福岡空港について最終国際便の検査に対応し延長することにより輸入手続の円滑化を図った。また、定員(注)については8年度4人増を確保するとともに、業務量に応じた弾力的な配置を図っている。

動物検疫所については既に執務時間の延長を措置済である。なお、主要空港について8年度定員1人増を確保した。

注:定員についてはそれぞれ輸入食品検査業務、植物検疫業務を行う総数に対する増分である。