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市場開放問題苦情処理推進会議第2回報告書(平成7年3月14日) |
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○ 問題提起者:経済団体連合会
○ 所管省庁:大蔵省
○ 問題提起の内容
輸入品に係る消費税の課税標準は、消費税法の規定により、関税の課税価格に関税及び消費税以外の内国消費税を加えたものとされている。
輸入申告時には、無償提供した材料がある場合や、輸入取引の売手と買手との間の親子関係等の特殊関係が取引価格に影響を与えている場合等、インボイス価格に運賃、保険料のみを加えたものを関税の課税価格とすることが適当でない場合には、課税価格の計算の基礎等を記載した評価申告書の提出が義務付けられている。なお、平成5年10月より、関税が無税又は従量税である輸入品については、通関時の手続の簡素化を図るため当該評価申告書の提出が不要とされた。ただし、税関では、関税が無税又は従量税の場合であっても、適正な輸入申告を担保するため消費税法に基づき、消費税の納税申告事項について必要に応じ事後調査を実施しており、その際には、課税価格の計算の適否を検証するため関係書類の提示を求めている。
本件については、以下の問題提起がなされた。
輸入者は事後調査の際に、課税価格の計算に必要とされる全書類を準備するように求められるため、輸入申告時に評価申告書の提出を不要としたことでは、実質的な事務負担の軽減になっていない。従って、輸入品に係る消費税については、輸入時の納税額と輸入品の売渡段階での納税額とを合計すれば、売渡対価に税率を乗じた額が納税されることが確保されていることを考慮し、関税無税品等の消費税については、インボイス価格に基づいて課税すべきである。あるいは、少なくとも事務負担の軽減のため、事後調査に際して提示を求める関係書類を必要不可欠なものに限る等により、事後調査を簡素化すべきである。
○ 検討結果
所管省においては、輸入品に係る消費税については、輸入時の消費税の納税額と輸入品の売渡段階での納税額を合計したものが必ずしも売渡対価に税率を乗じた額と一致しない場合もあること等から、輸入時に適正な消費税の負担を求める必要があり、関税の有税無税等を問わず、インボイス価格に基づいて課税することは適当でないとしている。また、事後調査の簡素化については、この制度の適正な執行という観点から、必要に応じ実施する事後調査において帳簿書類等により申告価格の適否を確認し、不適正な申告についてはこれを是正し、申告秩序の維持を図り、適正・公平な課税を確保するため、事後調査において最低限不可欠の書類を求めることが必要であり、これらの書類は申告額の計算に必要であり、通常、申告段階において作成され、保存されているものであるとしている。
適正・公平な課税の確保の実現のためには、ある程度の事務負担はやむを得ないものではあるが、輸入品に係る消費税の納税のための事務負担は、可能な限り軽減することが必要である。
従って、所管省においては、今般こうした問題提起があったことに留意し、事後調査において申告者に求める書類については、今後とも必要不可欠なものに限るとの方針で対処すべきである。
OTO対策本部決定(平成7年3月28日) |
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事後調査において申告者に求める書類については、今後とも必要不可欠なものに限るとの方針で対処する。
フォローアップ(平成8年5月27日) |
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適正・公平な課税を確保するためには、事後調査において申告者にある程度の事務負担が生じることはやむを得ないと考えられるが、申告者の事務負担を考慮し、事後調査において申告者に求める書類等については、必要不可欠なものに限ることとし、事後調査担当者を対象とした会議等の機会ある毎に、措置内容の周知・徹底を図っている。