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市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

1-(2) 輸入果汁に係るJAS規格の一部変更

○ 問題提起者:日本貿易会

○ 所管省庁:農林水産省

○ 問題の背景

農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS法)は、農林物資の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化及び使用または消費の合理化を図るため、農林物資の規格を制定する(JAS規格制度)とともに、一般消費者の選択に資するための農林物資の品質に関する表示について、製造業者等が守るべき基準を制定(品質表示基準制度)している。

JAS規格については、製造業者等の申請に基づく任意規格であるが、国際規格(食料品の場合、コーデックス規格)との調和を図る観点から、整合化を進めるとともに、改正に当たっては、GATTで定められた事前意図公告を行い、国際ルールを踏まえた規格の改正を行っている。

果汁のJAS規格については、これまでも、需給事情やニーズの変化に合わせて昭和45年以来、21回の改正を行っている。しかしながら、輸入果汁の品位がJAS規格に不適合のケースが見られるようになっている。なお、規格改正については、業界の意見等を聴取し、農林物資規格調査会の審議を経て行うこととしている。改正の事前意図公告は、農水省の広報誌「AFF」及びジェトロの通商弘報等に掲載し、国内外の関係者への周知徹底を図っている。

○ 問題提起内容

問題提起者からは、果汁のJAS規格の見直しについて、以下の問題提起があった。

(1) 輸入果汁が増加しているにもかかわらず、例えばオレンジ果汁(ブラジル産、フロリダ産、メキシコ産)は酸度、グレープ果汁(米国産ホワイトグレープ、米国産レッドグレープ、ブラジル産)はアミノ態窒素、灰分でJAS規格を満たさないものがあり、JAS規格は実態に即していない。このため、輸入果汁の実態に即して、JAS規格の抜本的な変更をすべきである。

(2) オレンジ果汁における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分はいずれも国際規格であるコーデックス規格に規定されていない項目である。この点でJAS規格は日本独自のものである。また、アミノ態窒素、灰分の測定方法は難しく、事実上国内でしか出来ないためコストがかかる。

○ 検討結果

所管省においては、消費者ニーズの多様化、輸入品の実態及び国際規格を踏まえた果汁のJAS規格の見直しを積極的に行うべきであり、問題提起のあった各項目に対して以下の対応が必要である。

(1) 所管省は平成7年11月に果汁のJAS規格の改正の検討を始め、平成8年度中を目途に具体案をまとめ、その後、農林物資規格調査会において所要の審議を行った後、WTOの事前意図公告等の手続きを経ることとしている。今回の改正の検討にあたっては、輸入果汁の実態も踏まえつつ、なるべく包括的に(産地毎の規格ではなく)規格を設け、国際的規格を十分勘案するとのことである。したがって問題提起者が指摘しているものも含め、輸入品を十分に視野に入れるべきである。また、所管省は改正の検討にあたり、具体的な要請を受け、サンプルやデータの提出を待つだけではなく、外国のデータについても自ら広く収集するなど前向きに取り組むとのことであるので、こうした対応は積極的に推進すべきである。

(2) さらに今回の改正の検討にあたり、オレンジ果汁における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分については、国際規格には規定されていない項目であるという点も踏まえ、果汁のJAS規格におけるその必要性につき、早期に結論が得られるよう努力すべきである。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

1-(2) 輸入果汁に係るJAS規格の一部変更

(1) 平成7年11月に検討を始めた果汁のJAS規格の改正について、平成8年度中を目途に具体案をまとめる。その際、輸入果汁の実態も踏まえつつ、なるべく包括的に(産地毎の規格ではなく)規格を設け、国際的規格を十分勘案するとともに輸入品を十分に視野に入れる。また、改正の検討にあたり、具体的な要請を受け、サンプルやデータの提出を待つだけではなく、外国のデータについても自ら広く収集するなど前向きな取り組みを推進する。

(2) 今回の改正の検討にあたり、オレンジ果汁における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分については、国際規格には規定されていない項目であるという点も踏まえ、果汁のJAS規格におけるその必要性につき、早期に結論が得られるよう努める。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

1-(2) 輸出果汁に係るJAS規格の一部変更

(1) 果実飲料のJAS規格の改正の具体案が、平成9年3月21日、農林物資規格調査会(JAS調査会)専門委員会(技術)で了承された。改正案の検討にあたっては、主要な果汁飲料の原料原産国である米国、ブラジルなど外国の品質データ等を調査し参考にするとともに、食品の国際規格であるコーデックス規格との整合化を図った。今後同専門委員会(消費者)、同食品部会の了承を得て、事前意図公告、官報告示を行い、平成9年度末までに施行する予定である。

(2) 今回の改正にあたり、コーデックス規格にないオレンジ果汁(酸度を規定しているのは濃縮果汁のみ)における酸度、グレープ果汁におけるアミノ態窒素、灰分などの品質要件を削除し、品質要件は主にブリックス(糖分などの可溶性固形物)等によるものとした。