OTOデータベース HOME

市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

2-(1) 「栄養補助食品」の位置づけの明確化と規制の緩和

○ 問題提起者:在日米国商工会議所、日本貿易会、東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題の背景

国民の健康に対する関心の高まりとともに、二次的、補完的に栄養素を補給するための食品、いわゆる「栄養補助食品(Dietary Supplement)」への関心も高まってきている。現在、多種多様な栄養補助食品が流通販売されており、そのなかには多くの輸入品が含まれている。

栄養補助食品については、米国、デンマーク、オランダ等では食品自体の有効性、予防効果を踏まえ、栄養補給の食材に関する法的な整備がされている。

我が国では栄養補助食品に関する法的位置づけはなされていない。人が経口的に摂取する物は食品と医薬品に分類されて、医薬品に該当するか否かは、その物の成分本質、形状(剤型、容器、包装、意匠等をいう。)及びその物に表示された使用目的、効能効果、用法用量並びに販売方法、販売の際の演述等を総合的に判断して、通常人が薬事法に掲げる目的を有する物であるという認識を得るか否かによって判断しており、その基準として「医薬品の範囲に関する基準」が定められている。従って、外国で食品として販売されているものであっても、その剤型や成分等によって国内では医薬品に該当するものもある。つまり、外国から栄養補助食品を食品として輸入するためには、食品素材、食品添加物等が全て日本で食品に使用することが許可された成分でなければならず、形状についても医薬品的なものは認められておらず、さらに効能効果等の表示についても規制を受けることとなる。医薬品であるか否かは、「一般人の認識」により判断しているため、厚生省もこれまで、一般消費者の意識の変化、食生活の多様化、医薬品としての使用実態等の変化を踏まえて、その判断基準を改正してきている。

また、医薬品に該当する場合には、薬事法の規定により、医薬品の製造業又は輸入販売業の許可を受けた者でなければ、業として医薬品の製造又は輸入をしてはならないことになっている。

なお、所管省では現在、食品と医薬品の区分の見直しについては、安全性や薬理作用を含めた検討を進めており、規制緩和推進計画(平成7年3月)においてビタミンについては平成8年度中に、ハーブ(生薬)については平成9年度に逐次可能なものから医薬品としての規制の対象外とすることとしている。

○ 問題提起内容

外国で食品として販売されているものについては、我が国において医薬品に分類され医薬品としての規制を受けることなく、すべて食品として販売できるようにすべきとして以下の問題提起があった。

(1) 栄養補助食品の認知

広く国際的に流通している栄養補助食品を、日本においても、国際的整合性の観点から栄養所要量(外国ではRDA(一日当たりの推奨摂取量)と呼ばれる。)を基準として法的位置づけを明確にすべきである。この場合、現行の「医薬品の範囲に関する基準」を改訂し、その基準対象から栄養補助食品とされる食材を除外すべきである。

(2) 表示の制限緩和と基準設定

食品自体の機能性、体内における生理学的な作用を考慮し、製品の栄養補助的効能や効果的な使用法、注意表示等を説明し、対象年齢などについても必要な情報を表示できるようにすべきである。この場合、過大な効能、効果の表示や誤用をさけるため、「適正表示基準」を設定することも考慮する。

(3) 形状(剤型)の自由化

消費者にとって、安全で使いやすく、また、品質保全に必要な形状を自由に選択できるようにすべきである。形状を医薬品との差別化の手段にして消費者の利便性を損なうことがないようにすべきである。なお、形状で医薬品と食品を区別しているのは、現状では我が国のみである。

(4) 成分規制の緩和

欧米で使用実績がある、または安全性が十分確認されていると考えられる食品素材や成分であっても、医薬品とみなされることによって日本で栄養補助食品に用いることができないか、使用基準が厳しいものがあるので規制緩和をすべきである。

○ 検討結果

所管省においては、これまでに明らかにしている規制緩和に加え、以下の対応をとるべきである。

海外において食品として流通・販売されているものが日本において医薬品に分類されることがあるのは望ましくなく、また、食生活の変化など消費者ニーズの変化に合わせる必要から、栄養補助食品について何らかの対応をすべきであり、中長期的には医薬品と食品の区分方法について、食品素材や成分に対する規制の緩和を含め、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることを検討すべきである。

形状(剤型)の制限については、現行規制は複雑で分かりにくいため、消費者において自ら正しい選択ができ、両者を混同しないように明確に食品(栄養補助食品)としての適切な表示がなされれば、廃止または規制の大幅な緩和をすべきである。

表示の制限については、消費者の利益を第一に考え、食品においても適切な摂取方法や栄養補助的効能、注意表示等について表示ができることが必要との観点から、消費者が自分に必要なものを的確に選択できるような表示を可能とすべきである。

なお、通常海外において食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく我が国でも食品として取扱いできるようにすべきであり、規制緩和推進計画(平成7年3月)に基づく措置に加え、例えばビタミンについては平成8年度、ハーブ(生薬)については平成9年度に、それらの形状(剤型)及び表示の現行基準をできる限り緩和し、ビタミン、ハーブ以外のものについても、平成10年度からミネラルをはじめとして順次実施していくべきである。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

2-(1) 「栄養補助食品」の位置づけの明確化と規制の緩和

医薬品と食品の区分方法について、中長期的には、食品素材や成分に対する規制の緩和を含め、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることを検討する。

形状(剤型)の制限については、消費者において自ら正しい選択ができ、両者を混同しないように明確に食品(栄養補助食品)としての適切な表示がなされれば、廃止または大幅な緩和を行う。

表示の制限については、適切な摂取方法や栄養補助的効能、注意表示等について、消費者が自分に必要なものを的確に選択できるような表示を可能とする。

通常海外で食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく食品として取扱いできるようにするため、ビタミンについては平成8年度、ハーブ(生薬)については平成9年度に、形状(剤型)及び表示の現行基準をできる限り緩和し、ビタミン、ハーブ以外のものについても、平成10年度からミネラルをはじめとして順次実施する。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

2-(1) 「栄養補助食品」の位置づけの明確化と規制の緩和

医薬品と食品の区分方法に関して、栄養補助食品を新しいカテゴリーとする対応を取ることについて厚生省内において、関係部局による省内横断的な検討が平成9年3月に開始された。個別の品目についての取り扱いは、下記のとおり。

(1) ビタミンについて
主要な栄養素として食品等から摂取されることが我が国において広く認識されていると考えられているビタミンA、ビタミンB1等7種については、当分の間、明らかに「食品」と明示され、医薬品的な効能効果を標榜しないものについては、形状(カプセル剤、錠剤など)に関わらず医薬品に該当しないものとした(平成9年3月厚生省薬務局長通達)。

また、同通達によりビタミンB6等6種に関しても、当分の間一日当たりの摂取量が一定量を下回るものに限り、同様の取り扱いとした。なお、表示の制限については、服用時期服用量、使用上の注意等で消費者の安全を確保するために必要なものについては、一律に禁止することなく効能効果を想起するものでない限りは、個別に判断することとした。

(2) ハーブ及びミネラルについて
ハーブの成分の一種を、医薬品から食品への分類の変更を図ること及び医薬品のような形状(カプセル等)を使用した一部のミネラルを食品として流通を認めることについて、文献調査に着手した(平成9年1月)。専門家による検討等を行った上で、ハーブは平成9年度、ミネラルについては、平成10年度に実施することとしている。