OTOデータベース HOME

市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

2-(2) 化粧品の成分規制の緩和、輸入手続の簡素化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題の背景

輸入化粧品については、薬事法により、安全性の確保の観点から以下のような規制が行われている。

(1) 化粧品の輸入販売業の許可

化粧品を業として輸入販売する場合には、営業所毎に化粧品輸入販売業の許可を受けなければならない。許可要件として、試験検査設備の設置(他の試験検査機関の利用も可能)、責任技術者の配置等がある。また、輸入販売業の許可業者は許可を受けた輸入品目(種別)を追加又は変更しようとする場合には、営業所毎に当該追加又は変更しようとする品目(種別)について許可を受けなければならず、その品目(種別)が種別許可基準外のものである場合は下記の承認が必要になる。

(2) 種別許可と種別承認

化粧品に使用される成分として一般的に安全性の観点から問題ないと考えられる成分等の基準として化粧品の種別(化粧水、口紅等の25に分類)毎に化粧品種別許可基準がある。

この基準内の化粧品については種別許可を受けた上(通常、輸入販売業許可時に化粧品全ての種別許可を受けるため、種別許可について、改めて追加品目許可を受ける例はまれである。)で、個別製品毎に輸入製品届(国内販売名、輸入先販売名、製造業者、配合成分等を記載。)を提出することにより輸入できる。

種別許可基準外の化粧品(日本で初めて使用される成分を含む化粧品等)については、種別毎に配合する成分、分量等を包括的に承認する種別承認を受けなければならない。この際、申請者から提出された安全性等の資料を基に審査される。種別承認を受け、当該承認について種別毎に追加品目許可を受ければ、製品毎の追加品目許可は受ける必要がなく、製品毎に輸入製品届を提出することにより輸入できる。

なお、輸入製品届を提出する際には、輸入先製造業者が作成した成分等の証明書の添付が必要である。また、届出の化粧品を同一輸入業者が継続して輸入する場合には、輸入の都度、輸入製品届を提出する必要はない。

(3) 承認と許可

承認は、申請内容が化粧品として問題がないか否かについて審査し、許可は承認内容の化粧品を適切に管理できるか否かを審査するものである。承認(種別許可基準外の化粧品についてのみ必要)は輸入許可の前提として行われるので、原則としてその物の承認を受けた者自身でなければ、その物について輸入販売業の許可あるいは輸入品目追加(変更)許可の申請を行うことはできない(通常、承認申請は許可申請と同時でよい。)。また、外国製造業者による承認申請も可能である。

(4) 表示

化粧品を販売する際には、輸入販売業者の住所氏名、化粧品の名称、アレルギーを起こすおそれのある成分等厚生大臣の指定する成分の名称、製造番号又は製造記号等の事項を日本語で記載する必要がある。なお、米国においては、全成分表示制となっており、EUにおいても全成分表示制が導入される予定である。

(5) その他

化粧品品質基準に基づき、配合が禁止される成分等が規定されている。

また、化粧品については、米国、EUともネガティブリスト(配合してはいけない成分のリスト)とポジティブリスト(当該範囲の成分のみ配合して差し支えない成分のリスト)を日本と同様に併用しているが、それぞれの規制(リスト)内容は異なる。

また、所管省においては、規制緩和推進計画(平成7年3月)において今後以下のような規制緩和を行うこととしている。

1) 化粧品の種別許可基準について、平成8年度内に種別の統合及び各種別に使用可能な成分の拡大を図る。
2) 化粧品について現行の成分規制方式について国際的整合化を図ることを含め、化粧品規制の国際的動向を踏まえ、化粧品の製造・輸入に係る許可制・表示規制のあり方を見直す。

なお、所管省は並行輸入に関して、外国製造事業者による成分等の証明書に代えて全成分表示資料等を輸入製品届出書に添付することで輸入を可能とする措置を平成8年3月に行ったところである。

○ 問題提起内容

問題提起者から、以下のような問題提起があった。

(1) 米国FDA(食品医薬品庁)基準に従って米国で製造・販売されている商品であっても規制により輸入することができないものがある。例えば米国より石鹸を輸入しようとしたが輸入できない成分が入っているため、承認が必要になり、データを取りそろえるなど時間と経費がかかった。輸入促進のためにも、化粧品等の成分規制の緩和をすべきである。

(2) 化粧石鹸等を輸入する場合、薬事法に基づき検査設備の設置、化学技術者の雇用が必要であるが、海外で個人が購入して使用なれしている化粧品に対する規制は不必要であるので撤廃すべきである。

(3) シャンプー等を輸入するにあたり、同一メーカーの同一商品(成分・製法が同じもの) でもそれぞれ資料をそろえるなどあらためて手続が必要である。輸入許可されたものは、簡易な方法にすべきである。

○ 検討結果

消費者はこれまでも海外旅行の際の購入や個人輸入を通じて、我が国の規制の適用を受けない化粧品を自己責任で取捨選択してきている。また、製造物責任法の施行に伴い、消費者、事業者双方において、各々の自己責任に基づき、製品の流通・販売・消費がなされる環境が整いつつある。さらに、行政効率化の観点からも規制は必要最小限度のものとすべきである。

このような状況を踏まえ、所管省においては、国際的整合化を図ることを含め、許可、成分表示等の化粧品規制全体の在り方についての見直しを平成8年度中を目途に行うべきである。この際、以下の点について所要の対応を実施に移すべきである。

(1) 種別許可基準の国際的整合化を推進し、米国、EU諸国等で使用の認められている成分については、米国、EUの規制を参考に種別許可基準へ組み入れていくべきである。また、輸入時において既に承認済の化粧品に含まれている成分と同じ成分からなる化粧品についての承認が不要となるよう、種別許可基準外の成分について、承認手続の際の提出資料等を基に成分の規格を定め、迅速に種別許可基準へ収載していくべきである。

(2) 営業所毎の輸入販売業の許可制の在り方について、責任技術者の配置、試験検査設備の設置という要件の必要性等を含めて平成8年度中を目途に見直し、その後速やかに所要の改善措置を講ずるべきである。

(3) 実際に製品を輸入する際に提出する輸入製品届出書の在り方については、実務上負担がかからないよう平成8年度中を目途に見直し、その後速やかに所要の改善措置を講ずるべきである。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

2-(2) 化粧品の成分規制の緩和、輸入手続の簡素化

国際的整合化を図ることを含め、化粧品規制全体の在り方についての見直しを平成8年度中を目途に行う。この際、以下の点について所要の対応を実施に移す。

(1) 種別許可基準の国際的整合化を推進し、米国、EU諸国等で使用の認められている成分については、それらの国の規制を参考に種別許可基準へ組み入れる。また、輸入時において既に承認済の化粧品に含まれている成分と同じ成分からなる化粧品についての承認が不要となるよう、種別許可基準外の成分について、承認手続の際の提出資料等を基に成分の規格を定め、迅速に種別許可基準へ収載する。

(2) 営業所毎の輸入販売業の許可制の在り方について、責任技術者の配置、試験検査設備の設置という要件の必要性等を含めて平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。

(3) 製品輸入時に提出する輸入製品届出書の在り方について、実務上負担がかからないよう平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

2-(2) 化粧品の成分規制の緩和、輸入手続の簡素化

平成8年12月に設置された「化粧品規制の在り方に関する検討会」において、化粧品規制の在り方について、特に消費者の安全性を最大限配慮したうえでの規制緩和や国際的ハーモナイゼーションの実現について検討が行われている。平成9年3月には中間取りまとめが行われたところであり、さらにワーキンググループにおいて個別の課題を検討した後、平成9年度中に最終取りまとめを行う。

(1) 欧米諸国における使用成分等を考慮して、種別許可基準に約140 の新規成分を追加するとともに(平成8年8月)、従来の25種別から11種別に統合することにより分類の合理化を図った(平成9年3月)。

また、今後については、平成9年度以降も年1回を目途に収載成分の拡大をすることとしており、平成9年度については、5月より収載成分の選定を開始し、規格を整備した上で平成10年3月末までに告示する予定。

(2) 「化粧品規制の在り方に関する検討会」での中間取りまとめにおいて、責任技術者の資格要件の簡素化や自社以外の試験検査設備の利用の拡大を図ることとされた。

(3) 製品届出書の記載内容について、製品届出書のうち化粧品種別許可基準内の成分・分量については、具体的な量(%)の代わりに「適量」とする簡素化を実施し、実務上の負担の軽減を図った(平成8年3月厚生省薬務局審査課長通達)。