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市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

3-(3) 電気機器の防爆基準の相互認証

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:労働省

○ 問題の背景

労働安全衛生法令では、可燃性のガス等が存在して爆発・火災のおそれのある場所において使用する電気機械器具は、防爆構造電気機械器具でなければ使用してはならず、また、防爆構造電気機械器具を製造し、または輸入した者は、労働大臣の指定した型式検定代行機関((社)産業安全技術協会)の型式検定を受けなければならないと定めている。

防爆構造電気機械器具については、IEC(国際電気標準会議)により国際規格(IEC規格)が定められている。EUにおいてはCENELEC規格が定められているが、これは内容的にIEC規格と同一のものとなっている。

我が国では、電気機械器具防爆構造規格は、昭和63年にIEC規格との整合化が図られており、IEC規格に基づき製造された防爆構造電気機械器具については、我が国の電気機械器具防爆構造規格に適合しているとみなされる。これらを実際に輸入する際には、このことを上述の型式検定により確認している。

さらに、型式検定に当たっては、指定外国検査機関(労働大臣が指定)の検査データを受け入れており、指定外国検査機関が作成したデータが添付された場合は、実機による検査を省略している。現在、指定外国検査機関は英国の1機関であるが、他にも申請があれば審査の上指定されることとなる。

○ 問題提起内容

外国の検査機関で認証を受けた防爆構造電気機械器具を輸入しても、我が国の防爆の構造基準と異なるため、そのまま使用することができず、輸入者または外国製造者が(社)産業安全技術協会による型式検定を受けなければならない。我が国の認証を得るためには、新たに設計をし直し申請するなど時間を要する。また、例えば、耐圧防爆容器のプロセス配管壁の解釈の相違により、ヨーロッパの検査機関によって認証されたものであっても、我が国で認証を受ける際、複雑な改造を余儀なくされた。

我が国の電気機械器具防爆構造規格は、IEC規格との整合化が図られているとのことなので、IEC規格またはそれと整合化されている外国規格に適合したものであることが外国の検査機関によって認証されている製品については、自動的に検定に合格したものと見なすべき。

○ 検討結果

所管省においては、我が国の電気機械器具防爆構造規格は、国際規格であるIEC規格とすでに整合化が図られているとしつつも、IEC規格に基づき製造された旨を外国の検査機関により認証された製品についても、我が国への輸入に当たって再度型式検定を行っている。なお、規格の整合化による検査の簡素化については、指定外国検査機関による検査データの受入れのみ行っている。

基準・認証制度の国際的整合化の真の目的は、外国規格基準に従って製造された製品が我が国に輸入される際に、我が国の基準・認証制度が障壁となって輸入が阻まれたり、改造や再検査等によってコストが増加したりすることを防ぐことにある。

このため、所管省においては、以下の方向で見直しを進めるべきである。

(1) IEC規格またはそれと整合化されている外国規格と適合している旨を外国政府または外国政府が認定した機関により認証を受けた製品については、早急に我が国の型式検定を不要とし、型式検定に合格したものと同等の扱いとする。なお、規格の細部や解釈において我が国と外国とで不一致があるのであれば、その統一を早急に図る。

(2) 型式検定は、IEC規格またはそれと整合化されている外国規格と適合している旨の認証を受けていない製品に限定して行う。この場合、指定外国検査機関制度の広報に努め、特に輸入業者等からの要望の多い機関については、積極的に指定を進めることとし、外国検査データの受入れをより積極的に推進する。

(3) IEC規格以外の規格についても相互認証に向けて、今後5年程度を目途に積極的に調査検討を行い、逐次必要な措置を講ずる。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

3-(3) 電気機器の防爆基準の相互認証

基準・認証制度の国際的整合化の観点から、以下の方向で見直しを進める。

(1) IEC規格またはそれと整合化されている外国規格と適合している旨を外国政府または外国政府が認定した機関により認証を受けた製品については、認定機関等について必要事項を確認のうえ、早急に我が国の型式検定に合格したものと同等の扱いとする。その際、規格の細部や解釈において我が国と外国とで不一致があれば、その統一を早急に図る。

(2) 上記の認証を受けていない製品について、指定外国検査機関制度の広報に努め、特に輸入業者等からの要望の多い機関については、積極的に指定を進めることにより、外国検査データの受入れをより積極的に推進する。

(3) IEC規格以外の規格について、相互認証に向けて、今後5年程度を目途に積極的に調査検討を行い、逐次必要な措置を講ずる。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

3-(3) 電気機器の防爆基準の相互認証

(1) IEC規格等に基づき製造された防爆構造電気機械器具について、我が国の型式検定に合格したものと同等の扱いとする方向で、平成8年4月に学識者、専門家等からなる「防爆電気機器の検定制度等調査研究委員会」(以下、委員会という。)を設置、調査研究を始めたところであり、既に技術的調査として、(社)産業安全技術協会を通じて、スペイン、ドイツ及び韓国の防爆構造電気機械器具に係る試験・検定機関の実地調査、外国の試験・検定機関の職員との意見交換等を行っている。

(2) 型式検定に際し指定外国検査機関が作成した外国検査データの確認により、実機による検査が省略されるが、指定外国検査機関として、英国の一機関に加え、平成8年4月ドイツの一機関を指定し、その旨を都道府県労働基準局長に通知した。また、防爆構造電気機械器具の型式検定代行機関である(社)産業安全技術協会の会報誌や労働災害防止団体の広報誌等を通じて広報に努めている。

(3) 委員会においてIEC規格以外の規格についても技術的調査を引き続き行い、さらに調査結果を踏まえ、IEC規格以外の規格についても相互認証制度の実施に当たっての問題点等について分析、検討することとしている。