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市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

7-(1) 輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保の対象官署の共通化

○ 問題提起者:日本貿易会、東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題の背景

関税法第73条に「外国貨物を輸入申告の後輸入の許可前に引き取ろうとする者は、関税額に相当する担保を提供して税関長の承認を受けなければならない。」と規定されている。

本規定は、

・新規輸入品である等の理由により課税標準の審査に日時を要する場合
・輸入貨物が消散、漏洩、変質又は損傷のおそれがあるものである場合

等貨物を長く保税地域に留置させると、輸入者の商取引上商機を逸することもあり、適当でないので、利用者の利便及び関税行政の円滑な運営を図るため、輸入の許可前に貨物を引き取ることを認める制度である。

本制度においては、輸入貨物を関税未納のまま、保税地域から国内に引き取ることを認めることから、関税の納付を保障するためにその関税額に相当する担保(BP担保)を提供しなければならない。担保の提供においては、利用者の利便を図るため、当該官署に提供されている据置担保(納期限の異なる複数の関税の担保)の使用が認められている。ただし、これは据置担保を提供した税関官署において輸入申告された貨物にのみ適用されるもので、他の税関官署に輸入申告された貨物については、認められていない。

また、輸入貨物に係る関税等の納付については、担保の提供等を条件として3カ月以内の期間に限り納期限の延長が認められている。この関税等の包括納期限延長に係る担保については、規制緩和推進計画(平成7年3月)に基づき、全国共通して利用できるよう改正がなされ、海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)については平成7年4月から、航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)については平成7年11月からシステムが変更され実施されている。

○ 問題提起内容

輸入許可前に貨物を引き取る必要があり、据置担保の制度を利用しているが、現在の制度では、一つの税関官署に承認申請が集中し、担保金額の不足が生じた場合、同一税関管轄内における他の税関官署で担保金額が十分あるにもかかわらず、追加担保を提供しなければならない。

BP担保については、各税関単位で担保を提供することにより、その管轄下の官署において共通使用できるようにすべきである。また、最終的には、関税等の包括納期限延長制度に倣って、全国共通して利用できるようすべきである。

○ 検討結果

所管省においては、平成7年11月時点で複数の税関官署に据置担保を提供している利用者は52社、複数税関に担保を提供している利用者は9社であり、包括納期限延長担保提供者(約1,100 社)に比べ僅少であるが、今後、輸入業者、関係団体の意見を聴取した上で、法令面を含めて検討を行い、本年度末を目途に実施の可否等につき結論を出すとしている。

BP担保を他の税関でも共通に利用できるようにすることは、手続面での簡素化を図る上でも重要なことである。包括納期限延長制度に係る担保については既に全国共通で利用できることとなっており、BP担保についても、利用者の便宜を図るため、できる限り早期に実施する方向で検討する必要がある。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

7-(1) 輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保の対象官署の共通化

現在、各税関官署毎に提供している輸入許可前貨物の引取承認のための担保(BP担保)を、平成8年度中に、海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)及び航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)において、全国共通して利用できることとする。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

7-(1) 輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保の対象官署の共通化

平成9年3月4日に関税法基本通達の改正を行い、Sea-NACCS導入官署についてBP担保を全国共通で利用可能とした。また、Air-NACCSについても同様とした。(平成9年3月24日施行)