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市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

7-(2) 輸入事前申告制度の導入

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題の背景

我が国では、原則として貨物を保税地域に搬入した後、輸入申告を行い、審査・検査を経て輸入の許可を受け、貨物を引き取ることができることとなっているが、昭和63年から輸入貨物の迅速な引取りを行うため予備審査制が導入された。これは、

・貨物の到着前(輸入申告予定日の11日前から)に輸入関係書類を税関に提出すること(予備申告)を認め、審査を貨物到着前に終了しておき、
・予め検査が不要であるか否かを輸入者に通知し、検査が不要であるとの通知を受けた貨物は本邦への到着後(保税地域への搬入確認後)、電算システム(NACCS)により瞬時に輸入許可を得る

ことができる制度である。

一方、米国においては、事前申告(許可)制度が導入されており、海上貨物の場合には貨物到着予定日の5日前から、航空貨物の場合には航空機の離陸確認後、引取り申告ができる。事前申告をすることにより、輸入者は事前の引取り準備ができ、また、到着前に税関の引取り許可が行われ、検査を必要としていないものについては、貨物到着後即時に貨物の引取りが可能になる。

なお、先進国で事前申告(許可)制度を導入しているのは米国のみであり、他の国では貨物到着後に輸入の許可が行われている。

○ 問題提起内容

輸入貨物は現品を保税蔵置場へ搬入後、輸入通関手続が行われるため、貨物到着以降、貨物配送まで最短で2日間を要している。現在、緊急貨物については「予備審査制度」を活用して通関手続を行っているが、あくまで「仮の申告」であり、貨物到着後の搬入届けが出されてから「本申告」に切り替えられ許可となる。

緊急貨物の場合1〜2時間を争う場合があり、貨物搬入前の本申告制度の活用により、米国における事前申告(許可)制度同様貨物到着と同時に荷受け、引取りができるようにすべきである。

○ 検討結果

国際物流と国内物流の接点となる輸入通関手続関係業務については、利用者の迅速通関のニーズに適切に対応したものであることが必要である。

所管省においては、規制緩和推進計画(平成7年3月)により、航空貨物の輸入通関手続の一層の迅速化を図るため、予備申告の結果、検査が不要とされた貨物のうち、輸入者が引取りを急ぐ貨物については、保税地域への搬入確認を待つことなく、貨物の到着が確認され次第、直ちに輸入を許可する「到着即時輸入許可制度」を平成8年度早期に導入することとしている。本制度の導入により、貨物の到着から輸入許可までに要する時間がかなり短縮され、迅速通関の点で米国の制度と同様の効果が期待できるとしている。

ついては本制度を実効あるものとするために、その導入に当たっては利用者の迅速通関のニーズに十分応え得るよう、その適用の範囲や手続を含め運用面に配慮すべきである。例えば、貨物の到着の確認を具体的にどのようにするのか等について、可能な限り利用者の利便に配慮することとし、文字通り「到着即時」に輸入が許可されるようにすべきである。併せてこうした制度ができたことを広く利用者に周知する必要がある。

また、本制度の海上貨物への導入については、迅速通関の観点から航空貨物における利用状況等をみて、検討する必要がある。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

7-(2) 輸入事前申告制度の導入

平成8年4月に導入することとしている航空貨物に係る「到着即時輸入許可制度」については、利用者の迅速通関のニーズに十分応え得るよう、その適用の範囲や手続を含め運用面に配慮する。例えば、貨物の到着の確認を具体的にどのようにするのか等について、可能な限り利用者の利便に配慮し、文字通り「到着即時」に輸入が許可されるように実施する。併せてこうした制度ができたことを広く利用者に周知する。 また、本制度の海上貨物への導入については、迅速通関の観点から、航空貨物における利用状況等をみて、検討する。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

7-(2) 輸入事前申告制度の導入

「到着即時輸入許可制度」については、その運用面に配慮し特に、迅速通関のニーズが大きい航空貨物のうち予備申告が行われた貨物について、その到着確認を電算システム(NACCS)により行い、貨物の到着確認が確認され次第、輸入申告を認め瞬時に輸入許可を行う等利用者の利便に配慮して、文字通り「到着即時」に輸入が許可されるように実施した。なお、同制度については、「関税法施行令の一部を改正する政令」の官報告示に加え、関税局長通達(平成8年4月17日付)により、各税関長宛通知し、職員への周知を図った。

併せて、関税週報により輸入者、通関業者等貿易関係者に周知したほか、各税関においても業界説明会等を開催し、輸入者通関業者等に周知徹底を図った。