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市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日) [本部決定] [フォローアップ]

7-(3) 特恵原産地証明書に係る輸入手続の簡素化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題の背景

特恵関税を適用するためには、輸入申告に際し、当該貨物が特恵受益国原産品であることを証明する特恵原産地証明書(FormA)を税関長に提出する必要がある。

また、当該貨物がその原産地である特恵受益国から直接に我が国へ運送されてこなければならないこととなっている。ただし、その原産国である特恵受益国から非原産国を経由して我が国へ運送される場合には、輸入申告に際し、当該非原産国において、単に積替え又は一時蔵置がされたにすぎないこと、博覧会、展示会その他これらに類するものに出展したこと等を証明した書類を提出する必要がある。

○ 問題提起内容

問題提起者からは、特恵原産地証明書に係る輸入手続が煩雑であるとして、以下の問題提起がなされた。

(1) 特恵関税対象国産品を第三国経由で輸入する場合、例えば中国産品を香港経由で輸入する場合、通常中国側の特恵関税用原産地証明のほかに中国側輸出者のインボイス及び香港側の再輸出原産地証明書を要求されるが、中国側の特恵関税用原産地証明のみの提出で通関できるようにすべきである。

(2) 特恵原産地証明上のインボイスの日付と実際のインボイスの日付が違っていると、正しい証明を取り直さない限り、輸入できないか、課税される。実績に応じた簡易審査の通関を認めるべき、あるいは特恵原産地証明を撤廃すべきである。

○ 検討結果

所管省においては、

(1) 輸出者のインボイスについては、特恵関税の適用の有無にかかわらず、輸入申告に際して提出する必要があるとしている。

しかし、特恵受益国である原産国から非原産国を経由して我が国へ輸入される場合は、原産国発給の特恵原産地証明書の第3欄に当該非原産国を経由する旨が記載されていれば、非原産国発給の再輸出原産地証明書等の提出は要せず、また、当該記載がない場合には、非原産国の税関等が発給した積替え証明書等により特恵関税を適用することができるとしている。

(2) 特恵原産地証明書の第10欄に記載されているインボイス番号、日付が実際の番号等と異なっていても、当該特恵原産地証明書が正当なものと確認できれば、特恵関税を適用することができるとしている。

(3) 更に、関税暫定措置法施行令を改正(平成8年1月1日施行)し、税関長が物品の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた物品については、特恵原産地証明書の提出を要しないこととした。

今回の関税暫定措置法施行令の改正は、輸入手続の簡素化、迅速化に向けた具体的な対応として評価できる。

今後とも、利用者の利便を図るため、引き続き輸入手続の簡素化、迅速化に努める必要がある。


OTO対策本部決定(平成8年3月26日) [報告書] [フォローアップ]

7-(3) 特恵原産地証明書に係る輸入手続の簡素化

関税暫定措置法施行令を改正し、税関長が物品の種類又は形状によりその原産地が明らかであると認めた物品については、特恵原産地証明書の提出を要しないこととした。

今後とも、利用者の利便を図るため、引き続き輸入手続の簡素化、迅速化に努める。


フォローアップ(平成9年5月12日) [報告書] [本部決定]

7-(3) 特恵原産地証明書に係る輸入手続の簡素化

関税暫定措置法施行令及び同法基本通達を改正(平成8年1月1日施行)し、特恵関税を適用して輸入しようとする貨物について、税関長が当該物品の種類又は形状から原産地が明らかであると認めた場合には、特恵原産地証明書の提出を省略する取扱とし、特恵原産地証明手続の簡素化を推進することにより利用者の一層の利便の向上を図った。