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市場開放問題苦情処理推進会議第3回報告書(平成8年3月18日)

1-(7) 食品添加物等の基準の国際的整合化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題提起内容

(1) 食品保存剤ナイシン及び本品を含む食品は、厚生省令及び告示の規定により一切輸入が認められない。本品は欧米を含む50数カ国でプロセスチーズ、缶詰類等に広く使用されており、既に国際機関(FAO/WHO合同食品規格委員会) 等でその規格が定められ、食品添加物として認知されており、かつ安全性の評価結果により一日摂取許容量(ADI) を0.13mg/kg 体重と規定されている。米国ではFDA にてGRAS(米国において「一般に安全と認識されている物質」と分類されているもの)の認定を受けており、その安全性には疑義はないので、日本においても、厚生省令、告示に関連して海外の現状を踏まえ、国際的整合化を図る方向での検討をすべきである。

(2) 輸入通関時、二酸化硫黄の許容値2,000ppm以下で許可された乾アンズを食品工場で加工している際、保健所の立ち入り検査で一般食品は30ppm 以下でなければならないとの法により全量廃棄させられた。二酸化硫黄を用いた一般食品も輸入不可になるケースが多い。EC諸国の乾アンズの基準値上限は5,000 ppm であるので国際的整合化を図るべきである。

○ 所管省庁における対処方針

食品衛生法第7条の規定に基づく「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」及び「食品、添加物等の規格基準」において、畜水産食品や乳等は、抗生物質、合成抗菌剤を含有してはならないとされている。

二酸化硫黄等の食品添加物については、「食品、添加物等の規格基準」において、使用対象食品や使用量等の基準(使用基準)を定めており、この基準に適合しないものの輸入、販売等は禁止されている。

個々の食品添加物について新規指定等の要請があった場合には、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会に諮問し、提出された科学的データ等を基に安全性評価を行うが、提出すべき科学的データについては、従来から、外国データを受け入れているところである。

なお、厚生省では、要請手続について、その透明化・迅速化を図るため、必要となる科学的データの範囲やその標準的試験方法等を記載したガイドラインを策定することとし、3月までに成案を得ることとしている。

(1) ナイシンについては、国際機関(FAO/WHO合同食品規格委員会)において、個別食品に使用する場合の基準については検討中であるものの、既に、1日摂取許容量(ADI)が設定されていることから、国際機関における安全性評価に対する資料、具体的な使用対象食品等の必要な資料を添えて事業者等からの要請があれば、食品衛生調査会の審議を開始するなど、必要な手続をとることとしたい。

なお、GRASとは、米国において「一般に安全と認識されている物質」と分類されているものであるが、これは、米国以外の国々で広く採用されているものとは言えない。

(2) 乾アンズに対する二酸化硫黄のEUにおける基準値は、日本と同様2,000ppmであり、また一般食品に対する基準値は、EU10ppm 、日本30ppmであることから、EUとの整合性の問題があるとは考えていない。食品添加物の使用基準の改正については、安全性等を示す必要な資料を添付の上、具体的な要請があれば、食品衛生調査会の審議を経て実施することとしている。

(備考)
問題提起者の見解は以下のとおり。
「当面はこの対処方針で了解」