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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

2-(2) 化粧品等に関する規制緩和

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題の背景

(1) 化粧品・医薬部外品の輸入販売業の許可
化粧品を業として輸入販売する場合には、営業所ごとに化粧品輸入販売業の許可を受けなければならない(薬事法第13条、第23条)。許可要件として、試験検査設備の設置(他の試験検査機関の利用も可能)、責任技術者の配置等(同法第17条、第23条)がある。試験検査設備の外部検査機関の利用については、化粧品に限らず医薬部外品についても、従来より、動物を用いる試験や理化学試験の一部について認められている。

(2) 種別許可と種別承認
化粧品に使用される成分として一般的に安全性の観点から問題ないと考えられる成分等の基準として化粧品の種別(化粧水、口紅等の25に分類)ごとに化粧品種別許可基準がある。この基準内の化粧品については種別許可を受けた上で、個別製品毎に輸入製品届(国内販売名、輸入先販売名、製造業者、配合成分等を記載)を提出することにより輸入できる。

種別許可基準外の化粧品(日本で初めて使用される成分を含む化粧品等)については、種別ごとに配合する成分、分量等を包括的に承認する種別承認を受けなければならない。この際、申請者から提出された安全性等の資料を基に審査されるが、配合前例がある場合などにおいては、資料の提出の省略ができる。医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(以下、「医薬品機構」という)では、申請予定の化粧品についてどのような資料が必要か(又は省略できるか)等について相談に応じている。業界団体においても、化粧品に使用されている成分名や本質を具体的商品名とともに「日本汎用化粧品原料集」としてとりまとめている。

(3) 化粧品の販売名
化粧品の販売名は、製品届に記入することが必要であるが、製造(輸入販売)業者が自由に命名してかまわないことになっている。ただし、化粧品には虚偽又は誤解を招くおそれのある事項は、表示してはならないとされている(薬事法第62条準用第54条)。

化粧品の製造(輸入)の許可権限は都道府県知事に委任されており、都道府県では知事宛てに提出される製品届を確認し、虚偽又は誇大な販売名である場合には指導を行っている。

なお、所管省では、化粧品の成分規制の緩和、輸入手続の簡素化について「基準・認証制度等に係る市場開放問題についての対応」(平成8年3月26日、市場開放問題苦情処理対策本部)において、以下の対応を取ることとしている。

国際的整合化を図ることを含め、化粧品規制全体の在り方についての見直しを平成8年度中を目途に行う。この際、以下の点について所要の対応を実施に移す。

(1)種別許可基準の国際的整合化を推進し、米国、EU諸国等で使用の認められている成分については、それらの国の規制を参考に種別許可基準へ組み入れる。また、輸入時において既に承認済の化粧品に含まれている成分と同じ成分からなる化粧品についての承認が不要となるよう、種別許可基準外の成分について、承認手続の際の提出資料等を基に成分の規格を定め、迅速に種別許可基準へ収載する。

(2)営業所ごとの輸入販売業の許可制の在り方について、責任技術者の配置、試験検査設備の設置という要件の必要性等を含めて平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。

(3)製品輸入時に提出する輸入製品届出書の在り方について、実務上負担がかからないよう平成8年度中を目途に見直し、速やかに改善措置を講ずる。

○ 問題提起内容

(1) 化粧品・医薬部外品の輸入販売について企業単位で検査設備の設置が義務づけられており、また外部検査機関を利用できるのは化粧品に限られている。安全性確保のためとはいえ規制過剰の感が強いので、関連グループ会社間の検査設備の共有化並びに医薬部外品についても外部検査機関の利用を認めるべき。

(2) 化粧品の承認申請は、会社ごとに必要であるが、同じ成分を数社が同様の資料を準備し申請することは、審査側も申請者側も時間、費用の無駄である。また、現在、承認前例不明成分の前例及び規格の確認は、医薬品機構にて1社15分間の面会で実施されているが、このために地方から出てくるのは大変である。承認済の成分は、申請者が秘密扱いを希望する場合を除き、成分名及び規格を官報やインターネット上での公開を含め、何らかの方法で即時公開し、1社が承認を取得すればその段階で届出対応成分(種別承認を必要とせず、種別許可基準収載成分と同様の扱い)にすべき。

(3) 化粧品に使用可能か否かの販売名称の判定は、各都道府県に一任されているが、その判定基準にばらつきがあり、また、事前に名称確認を実施しても即座に明確な返答がもらえない。過去に認めなかった事例の即時公開と基準の明確化をすべき。

○ 検討結果

所管省においては、現在、化粧品規制のあり方について、有識者による検討会を設置し、各種団体(日本化粧品工業連合会、在日米国商工会議所、欧州ビジネス協会、日本化粧品輸入組合等)からの意見を聴取しながら、現状や問題点についてネガティブリスト・ポジティブリスト方式の成分規制や全成分表示を含め検討中であり、平成9年3月には方向性と検討課題を取りまとめるとのことである。また、種別許可基準については、欧米諸国における使用成分等を考慮して新規成分の追加(約140成分)を行うと同時に、種別の統合(25種別から11種別)を平成9年3月に行う予定とのことである。昨年度の推進会議の意見を踏まえ、化粧品規制の簡素化に前向きに取り組んでいることは結構なことである。しかし、昨年度に続き本年度も問題提起がなされたことをかんがみると、化粧品規制の緩和への要望が強いことが伺える。このため、現在、行われている見直しにおいては、以下の点についても対応すべきである。

(1) 医薬部外品の品質確保等の観点から備えなければならない試験検査設備については、平成9年度に自社所有以外のものの利用範囲を検討したうえ拡大することとされているところであるが、その際には、関連グループ会社の設備の利用について、化粧品も合わせて検討すべきである。

(2) 承認した成分のうち承認不要とすることが適当なものについては、年1回を目途に、規格を整備した上で化粧品種別許可基準へ収載し、公表すべきである。 また、化粧品種別許可基準に収載されていないが、配合前例のある成分については、知的所有権の保護の観点を踏まえつつ公表制度の導入を検討すべきである。

(3) さらに、所管省においては、従来より、虚偽または誇大と思われる販売名(例えば、奇跡、強力)、誤解を招くおそれのある販売名(例えば、栄養、減脂)等は避けるよう、ガイドブックに事例を挙げて注意喚起しているとのことであるが、都道府県によって取り扱いが異ならないよう更に連絡を密にし、また、都道府県への調査をもとに、平成8年度内を目途に事例の充実を図るべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

2-(2) 化粧品等に関する規制緩和

(1) 医薬部外品の品質確保等の観点から備えなければならない試験検査設備については、平成9年度に自社所有以外のものの利用範囲を検討した上拡大するが、その際には、関連グループ会社の設備の利用について、化粧品も併せて検討する。

(2) 承認した成分のうち承認不要とすることが適当なものについては、年1回を目途に規格を整備した上で化粧品種別許可基準へ収載し、公表する。

また、化粧品種別許可基準に収載されていないが、配合前例のある成分については、知的所有権の保護の観点を踏まえつつ公表制度の導入を検討する。

(3) さらに、従来より、虚偽または誇大と思われる販売名、誤解を招くおそれのある販売名等は避けるよう、ガイドブックに事例を挙げて注意喚起しているが、都道府県によって取り扱いが異ならないよう更に連絡を密にし、また、都道府県への調査を基に、平成8年度内に事例の充実を図る。