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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

3-(2) 非法定計量単位に係る販売規制の緩和

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:通商産業省

○ 問題の背景

計量法第9条では、「法第2条第1項第1号に掲げる物象の状態の量の計量に使用する計量器であって非法定計量単位による目盛又は表記を付したものは、販売し、又は販売の目的で陳列してはならない。」とされており、非法定計量単位に係る計量器の販売等は禁止されている。この趣旨は、計量器は計量の原点であり、単位の統一を円滑に推進する観点から、原則として全ての計量器を対象に規制したこととされている。温度計は計量器であるため、非法定計量単位である華氏の目盛を付したものは、たとえ法定計量単位である摂氏との併記があっても使用できない。

諸外国においては、国際単位系(SI)以外の単位について、アメリカを除くほとんどの国において法律で取引においての使用の禁止を規定している。また、非法定計量単位を付した計量器の販売等の規制については、フランス等に見受けられる。

なお、計量器でない一部の輸入商品のうち、非法定計量単位であるヤードポンド法の表記がなされているものについては、法定計量単位との併記を条件に当分の間、販売等が認められている(計量法附則第5条)。これは平成4年に計量法が改正された際に新たに認められたところであるが、その趣旨は、輸入品の増加に伴い、法定計量単位が併記されていることを条件に計量法の趣旨、目的に照らし、許容できる範囲内で認めたこととされている。

○ 問題提起内容

問題提起者から、非法定計量単位を付した計量器の販売について、以下のような問題提起があった。

輸入品の地球儀の架台に温度計を有するモデルがあるが、温度計の文字盤に摂氏に加えて華氏の数字が書かれているため日本で販売できない。計量法第9条の規定により、温度の華氏、長さのインチ・フィート、重さのポンド、体積の立法フィート、面積の平方フィート等の記載があるものは一切販売できない。華氏のみの表示では問題もあろうが、摂氏と併記してあるものまで禁止する必要があるとは思えない。

○ 検討結果

所管省は、本件において問題となった温度計を有する地球儀について、計量法の販売規制の対象外とすることとした(平成9年2月10日付けで各都道府県計量検定所等に通知済み。)。この趣旨は、計量法の規制の対象となる計量器は取引・証明、あるいは正確な計量に使用するものであり、本件計量器は学習ないし室内装飾に使用する地球儀の「装飾品」であるため、販売等の規制の対象としないとの解釈による。この措置は、法の趣旨を実態に即して弾力的に解釈するという意味で、前向きな解決策として評価できる。

しかしながら、今後も同様の問題が発生する可能性があり、また外国製品の販売等が円滑に行われるようにするためにも、本件の事例のみの解決にとどまることなく、所管省においては以下の対応をとるべきである。

(1) 国際単位系であるSI単位への統一は、国際基準への整合化による貿易の一層の促進という観点から、今後も引き続き取り組むべきである。ただし、日本の最大の貿易相手国であるアメリカ等海外各国におけるSI単位への統一動向を踏まえると、本件商品のような計量法の厳格な適用が法の本来の趣旨から見て必要性の乏しいものについては、輸入活動や消費生活に支障をきたすことのないような弾力的な運用を進めるべきである。

(2) 弾力的な運用を実施した場合には、行政の透明性を高める観点から、これを速やかに公表するとともに、地方の計量行政の担当者を含め周知徹底を行うべきである。また、運用の実績等がある程度蓄積されたときは、何が計量法の販売規制の対象となるもので、何がそうでないか、輸入活動や消費生活に支障をきたすことのないような基準の設定を検討すべきである。このような基準を設定した場合は、これを速やかに公表し、地方の計量行政の担当者を含め周知徹底を行うべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

3-(2) 非法定計量単位に係る販売規制の緩和

(1) 国際単位系であるSI単位への統一に引き続き取り組むとともに、海外各国におけるSI単位への統一動向を踏まえ、輸入活動や消費生活に支障をきたすことのないような計量法の弾力的な運用を進める。

(2) 弾力的な運用を実施した場合には、これを速やかに公表するとともに、地方の計量行政担当の担当者を含め周知徹底を行う。また、運用の実績がある程度蓄積されたときは、計量法の販売規制の対象となるかどうかについて、輸入活動や消費生活に支障をきたすことのないような基準の設定を検討し、基準を設定した場合は、これを速やかに公表し、地方の計量行政の担当者を含め周知徹底を行う。