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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

4-(3) 港湾関係料金引き下げのための規制緩和

○ 問題提起者:在日ベルギー・ルクセンブルグ商業会議所

○ 所管省庁:運輸省

○ 問題の背景

(1) 港湾運送事業法の概要
港湾運送事業法は、昭和26年に制定されており、昭和34年に現行規制の枠組みが成立している。同法は、港湾運送に関する秩序を確立し、港湾運送事業の健全な発達を図ることにより、公共の福祉の増進に資することを目的としている(港湾運送事業法第1条)。

港湾運送事業とは、営利を目的とするしないとを問わず、港湾運送事業を行う事業をいう。港湾運送とは他人の需要に応じて、港湾において船舶への貨物の積込、船舶からの貨物の取卸や、港湾において貨物の荷さばき場への搬出入、荷さばき場において貨物の荷さばきまたは保管等を行うものである。

(2) 事業の免許制
港湾運送事業は、港湾運送に関する秩序を確立する観点から、港湾運送事業法第4条に基づき免許制による参入規制が行われている。

港湾運送事業を営もうとする場合は事業の種類(一般港湾運送事業、港湾荷役事業、はしけ運送事業、いかだ運送事業、検数事業、鑑定事業、検量事業)及び港湾ごとに(検数、鑑定、検量事業については全国共通)運輸大臣の免許を受けなければならず、運輸大臣は、当該事業の開始により港湾運送供給量が港湾運送需要量に対して著しく過剰にならないこと等の基準を審査して免許しなければならない。

(3) 運賃料金の認可制
港湾運送事業は運輸省令で定めるところにより、運賃及び料金を定め、運輸大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様としている。

○ 問題提起内容

港湾及び輸入料金(port and import handling charges)はしばしば海上コストの数倍に達することがあり、免許を取得し港湾運送事業者になることが困難であることが、競争を少なくし、料金を増加させていると言われている。

競争を刺激するため、港湾運送事業法の改正又は現行法の運用により、港湾運送業の申請に対し免許を付与することについてより柔軟に対応すべき。

○ 検討結果

港湾は国内・国際物流の結節点であり、市場アクセス改善の観点から、その効率的な運営が非常に重要な課題である。現状では、港湾運送事業は港湾運送事業法により免許制とされており、また、運賃及び料金は認可制となっている。厳しい参入規制、価格規制の下で市場メカニズムが働かず利用者のニーズに応えられていない。その結果海外から我が国への物流について高コストとなり、輸入品が国産品に比べ不利になっているのではないかとの懸念があり、港湾運送について抜本的な見直しが必要である。

所管省においては、問題提起後、港湾運送において需給調整規制を廃止するよう方針を転換し、今後、具体的に検討することを明確にしている。また、価格規制についても併せて見直しを行う方針であるとしている。こうした方針は評価できるが、その際には以下の方向で進めるべきである。

(1) 需給調整規制の廃止について所管省はおおむね3年〜5年後を目標期限としているが、できる限り早期に実施できるよう検討すべきである。

(2) その検討の過程においても、運賃・料金の多様化及び事業者の負担軽減を図る観点から、割引制度の一層の拡充を図るなど硬直的な料金体系の弾力化を図っていくことが必要である。

(3) さらに、具体的な規制緩和の実施に当たっては、その周知徹底を図り、制度に対する誤解により実態的な参入の妨げとならないようにするべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

4-(3) 港湾関係料金引き下げのための規制緩和

(1) 港湾運送事業について、港湾の安定運営確保方策を確立した上で需給調整規制を廃止するよう方針を転換するとともに、価格規制も併せて見直しを行う。このため、まず需給調整規制の廃止について平成9年度に行政改革委員会において審議を行う。

(2) その検討の過程においても、運賃・料金の多様化及び事業者の負担軽減を図る観点から、割引制度の一層の拡充を図るなど料金体系の弾力化を図る。

(3) さらに、具体的な規制緩和の実施に当たっては、制度に対する誤解が生じないようその周知徹底を図る。