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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

7-(2) 輸入貨物に関わる法令手続機関の集積について

○ 問題提起者:横浜商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省、厚生省、農林水産省

○ 問題の背景

(1) 法令手続について

1) 税関手続
貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の品名並びに数量及び価格(課税標準となるべき数量及び価格)その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必要な検査を経て、その許可を受けなければならない。(関税法第7条、第67条)
なお、他の法令の規定により、輸入に関して許可、承認等を必要とする貨物については、当該他法令の規定に基づく許可、承認等を受けている旨を税関に証明し、その確認を受けなければならないとされ、これらの証明がされず、又は確認を受けられない貨物については輸入を許可しない。(同法第70条)

2) 食品等輸入手続
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止するため、食品衛生法第16条及び17条の規定により、販売用の食品、添加物、器具及び容器包装を輸入する場合には、検疫所に届け出なければならず、必要に応じて、検査を受けなければならない。
輸入される食品等が食品衛生法に適合するか否かの判断を行う必要があるため、食品衛生に関する専門的知識を有する食品衛生監視員が検疫所に配置されている。

3) 植物検疫手続
植物の病害虫は一旦侵入・発生すると急速にしかも広範囲にまん延し、農作物に甚大な被害をもたらし、農業生産に多大な影響を与えかねない。また、その根絶は非常に困難である。このため、我が国への病害虫の侵入を未然に防ぎ、我が国の農作物等を病害虫から守ることを目的として、植物防疫法に基づき、輸入される植物等に対して検疫を実施している。
植物等を輸入した者は、植物防疫所に届け出て、植物防疫官による検査を受けなければならない。(植物防疫法第8条)

4) 動物検疫手続
家畜の伝染性疾病は、一旦侵入・発生すると急速かつ広範囲にまん延し、国内の畜産に甚大な被害をもたらし、多大な影響を与えかねず、また、その撲滅は非常に難しい。このため、家畜の伝染性疾病が我が国に侵入することを水際で防ぐことを目的として、輸入される動物・畜産物に対して家畜伝染病予防法に基づく動物検疫を実施している。
動物等を輸入した者は、遅滞なくその旨を動物検疫所に届け出て、その物につき現状のままで、家畜防疫官の検査を受けなければならない。(家畜伝染病予防法第40条)
なお、諸外国においても、食品検疫、植物検疫、動物検疫とも同様の手続が行われている。

(2) 法令手続機関の集積状況
法令手続機関(関税、検疫所、植物防疫所、動物検疫所)は、空港においてはターミナルビル等、同一の施設に集約されているが、海港において、すべての機関が同一の施設に集約されているところは小樽、大阪、門司などごく少数である。

各機関においては事前の申請により貨物の到着に合わせ近接の機関から担当官が出張するなどして迅速に法令手続が完了できるよう努めている。

○ 問題提起内容

貨物の輸入に当たっては、法令手続を踏む主務官庁が多岐にわたり、また場所も分散しているため申請手続に多くの時間がかかっている。航空貨物を取り扱う成田空港のように、港湾地区に手続を一括で執り行う港湾機関を新設するか、あるいは手続を税関に権限委譲し、一か所で申請を行えるようにすべきである。

○ 検討結果

所管省間で輸入手続全体のより一層の迅速化・簡素化を図るため、NACCS(通関情報処理システム)と、平成8年2月より稼働している食品衛生法に係る手続を行う「輸入食品監視支援システム」(厚生省)とのインタフェース化が平成9年2月3日に実施されたところであり、また、現在、開発作業を行っている植物防疫法に係る手続を行う「輸入植物検査手続電算処理システム」及び家畜伝染病予防法に係る手続を行う「動物検疫検査手続き電算処理システム」(農林水産省)とのインタフェース化が平成9年度中に実施される予定である。

当該インタフェース化により、NACCSの利用者は、同一貨物に係る税関への輸入申告と厚生省への届出手続及び農林水産省への申請手続とを担当窓口に出向くことなく一つの端末(NACCS端末)を用いて行うことができるようになり、検査結果通知も受けることができる。このインタフェース化により、税関手続とともに関税関係法令以外の法令により輸入に関して許可・承認等を必要とする貨物の輸入件数の約80%がカバーされることから、輸入手続全体の簡素化・迅速化に大きく寄与するものと期待される。

また、厚生省においては、平成9年度中に食肉及び食肉製品等の輸入の際に食品衛生法上必要となる輸出国政府の発行する衛生証明書については、輸出国政府と厚生省のオンライン(システムの整備状況により、現在想定される対象国はオーストラリア、ニュージーランド、米国)により、検疫所に直接送付されることになるとのことである。

これらの対応は、輸入手続きの迅速化・簡素化の観点からも望ましい方向にあり評価できるものである。しかし、所管省においてはさらに以下の対応を取るべきである。

(1) 厚生省と農林水産省のシステムと税関のNACCSとのインタフェース化により、具体的にどのような手続が簡略化できるのか関係者に十分情報提供すべきである。

(2) 輸入関連の電算システムのインタフェース化については、在外公館等に情報提供するなど、事前のPRに努めるべきである。

(3) 輸入手続関係省庁は相互の協力・支援体制を一層整備し、緊密な連絡体制の下でより一層の輸入手続の簡素化・迅速化を図るべきである。その際には、輸入手続関連省庁連絡会議の場を有効活用すべきである。

(4) 今後、既存港の整備や新港の開設等がなされる場合には、法令手続機関は一か所に集約することを前向きに検討すべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

7-(2) 輸入貨物に関わる法令手続機関の集積について

(1) 厚生省と農林水産省のシステムと税関のNACCS(通関情報処理システム)とのインタフェース化により、具体的にどのような手続きが簡略化できるのか関係者に十分情報提供する。

(2) 輸入関連の電算システムのインタフェース化については、在外公館等に情報提供するなど、事前のPRに努める。

(3) 輸入手続関係省庁は相互の協力・支援体制を一層整備し、緊密な連絡体制の下でより一層の輸入手続の簡素化・迅速化を図る。その際には、輸入手続関連省庁連絡会議の場を有効活用する。

(4) 今後、既存港の整備や新港の開設等がなされる場合には、法令手続機関は一か所に集約することを前向きに検討する。