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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

7-(3) 輸入貨物に係る「関税・消費税」納期限延長に関する手続きの簡素化

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省

○ 問題の背景

一般に関税及び消費税を納付すべき外国貨物については、関税及び消費税が納付された後でなければ輸入許可されず、貨物を保税地域から引き取ることができない(関税法第9条第1項、同法第72条、消費税法第50条)。平成元年度の消費税導入の際、保税地域から引き取られる外国貨物に課せられる関税及び消費税の納付について、こうした従来からの即納制度に加え、担保の提供を条件に、関税額が当該提供された担保の額を超えない範囲内において、輸入の時から3カ月以内に限り納期限の延長を認める納期限延長制度が導入された。また、担保の提供においては、利用者の利便を図るため、据置担保(納期限の異なる複数の関税の担保)の使用が認められている(関税法第9条の2、消費税法第51条)。

担保の管理は、NACCS(通関情報処理システム)導入税関官署においては、同システムを使用して行なわれている。同システムには、Air-NACCS(航空貨物通関情報処理システム)とSea-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)の2つのシステムがある。昭和40年代以降航空貨物が急増し、迅速通関の要望が強くなったことから、昭和53年にAir-NACCSの電算化がなされ、その後、Sea-NACCSについて も平成3年に電算化がなされたものである。以上の開発の経緯等から、現在、両システムは別個に稼動しており、担保についても各々のシステム別に登録することとなっている。

なお、このようなシステム導入税関官署で共通して使用できる全国一括担保制度は、Sea-NACCSについては平成7年4月から、Air-NACCSについては同年11月から、それぞれ導入されている。

○ 問題提起内容

現状では、関税及び消費税の延納(3ヶ月)手続きに関して、航空貨物と海上貨物は別々に担保を設定して、別々に手続きをする必要がある。過剰担保設定を行えば、担保保証料の経費負担増となるため、通常は想定される金額ぎりぎりで設定するが、仮に航空分がオーバーしそうな場合に、海上分に余裕があっても転用できないため、航空分を増額する必要がある。4月から消費税率も引き上げられ、経費負担もさらに大きなものとなる。もし、両者の担保設定が統一され、流用できるなら、担保を増額する必要がなくなるので、航空・海上貨物共に同一担保枠で一括の手続きで済むよう改善すべき。

○ 検討結果

通関手続き等の輸入手続きに関しては、一層のシステム化を極力推進することは、利用者の利便を大きく向上させるものであり、情報通信技術の発展を踏まえ、業務体制の整備に努める必要がある。NACCSにおける担保管理については、全国一括担保制度の導入や昨年度の問題提起を受けた輸入許可前貨物引取承認申請に係る担保の対象官署の共通化など、改善が行われてきたが、今後とも随時見直しを行い利用者の便宜を図ることが重要である。

所管省においては、Sea-NACCSとAir-NACCSの両方に共通して担保を設定できるようなシステムを新たに開発するには、相当の期間とコストを要する見込みであることから、その導入に際しては、費用対効果についても考慮する必要があるとしている。このため、Sea-NACCSが、平成11年10月に更改時期を迎えることから、次期Sea-NACCSの見直しの際にあわせて検討することとしている。

利用者の経費負担の軽減を図る観点から、担保管理の共通化を一層進めることが望まれており、平成11年度のSea-NACCSの更改時期にあわせてSea-NACCSとAir-NACCSの両方に共通して担保を設定できるようNACCSを改変すべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

7-(3) 輸入貨物に係る「関税・消費税」納期限延長に関する手続きの簡素化

現在、別個に稼動しているSea-NACCS(海上貨物通関情報処理システム)とAir-NACCS(航空貨物通関情報処理システム)の両方に共通して「関税・消費税」納期限延長のための担保の設定ができるように、平成11年度のSea-NACCSの更改時期に合わせて両システムの改変を行う方向で措置する。