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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

7-(5) 休日における海上貨物の通関・搬出の認可

○ 問題提起者:東京商工会議所

○ 所管省庁:大蔵省、農林水産省、厚生省

○ 問題の背景

(1) 港湾における貨物の移動経路は、貨物の種類、港の環境等により異なるが、船は港湾管理者によって指定された岸壁に接岸するか、泊地のブイにつながれる。その後、港湾運送事業者により貨物が下ろされ上屋等に運ばれ、この場合、まだ、輸入手続を完了していない貨物は保税上屋等へ運ばれる。上屋で仕分けされた貨物は、倉庫に運ばれ保管されるか、又は陸上輸送機関によって目的地に運ばれることになる。

(2) 税関においては、従来から土・日・祝日を含む執務時間外であっても、輸出入手続を求める要請があれば、臨時開庁制度(関税法第98条)により、臨時に必要な職員を手当てし、適切に対応しているところである。

なお、執務時間外において臨時の手続を求める要請の多い主要空港(成田空港及び東京航空貨物出張所、関西空港、名古屋空港、福岡空港)及び海港(下関港)においては、執務時間外に職員を常駐させている。

(3) 植物の病害虫は一旦侵入・発生すると急速にしかも広範囲にまん延し、農作物等に甚大な被害をもたらし、農業生産に多大な影響を与えかねない。このため、我が国への病害虫の侵入を未然に防ぎ、我が国の農作物等を病害虫から守ることを目的として、植物防疫法に基づき、全国の主要な海港や空港において輸入される植物等に対して検疫を実施している。

植物等を輸入した者は、植物防疫所に届け出て、植物防疫官による検査を受けなければならない。(植物防疫法第8条)

(4) 食品衛生法第16条、第17条の規定により、販売用の食品、添加物、器具及び容器包装を輸入する場合には、検疫所に届け出なければならず、必要に応じて、検査を受けなければならない。

輸入される食品等が食品衛生法に適合するか否かの判断を行う必要があるため、食品衛生に関する専門的知識を有する食品衛生監視員が検疫所に配置されている。

検疫所(海港)における業務時間については平日のみ、午前8時30分から午後5時までとしている。

○ 問題提起内容

各港のヤード・税関が土・日はクローズされており、海上貨物の土・日の輸入申告・搬出ができない。従って、海上貨物が週央から週末に向け到着した場合、貨物の搬入確認が週末になり、輸入申告が翌週となるなど、緊急貨物の取り入れが不可能となっている。海上貨物の土・日の輸入申告を受理し、各ヤードよりの搬出を可能とすべき。

海外から生鮮食品を調達する場合、入港から貨物搬出の各手続において、植物防疫、食品届等については休日の執務について定めている関税法(第98条)でも明確な定めがなく、現実的には、休日は受け付けされないのが実情である(注)。また、コンテナヤードからの搬出についても休日は機能がストップしており、臨時開庁という制度がありながら、実際には休日の輸入手続が不可能な状況である。生鮮品という特性からしても生産地から店舗までの日数短縮は必要であり、今後の輸入商品の増加に対応し、成田・関西・名古屋・福岡の各空港の様な休日開庁体制を主要港についても適用して欲しい。

(事務局注)

関税法は税関手続を定めたものであり、植物防疫、食品届等については、他の法令に基づくものである。

○ 検討結果

休日における海上貨物のコンテナヤードからの搬出については、荷主を含む民間事業者等の営業時間の問題があるが、港湾が国内・国際物流の結節点としての重要性及びその利用の際の高コスト等が問題となっていることにかんがみ、政府部門については率先して対応することが必要である。

所管省においては、例えば、税関においては、土・日・祝日を含む執務時間外であっても臨時開庁制度により対応し、下関港においては執務時間外に職員を常駐させ、植物検疫に係る輸入検査については、全ての植物防疫所において休日又は時間外であっても、輸入者からの要望があればその都度実施するといった対応を進めているとのことである。こうしたことは評価できるが、一省庁でも対応しなければ通関できないので休日における輸入手続の迅速化を図るため、所管省においては、さらに以下の対応を取るべきであり、その際には、関係省庁で連絡を密にして取り組む必要がある。

(1) 税関においては、十分な行政需要がある海港については、行政効率等を勘案しつつ下関港以外についても執務時間外に職員を常駐させるなどの体制整備を図るよう努力すべきである。

(2) 厚生省の検疫所は、主要空港では業務時間の延長等の対応をしているので、海港についても同様に利用者のニーズに十分対応できるよう食品の輸入実態に応じ業務体制整備を図るべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

7-(5) 休日における海上貨物の通関・搬出の認可

休日における海上貨物の搬出の迅速化を図るため、政府部門の輸入手続きにおいて率先して対応することとする。このため、関係省庁で連絡を密にしつつ、特に、

(1) 税関においては、十分な行政需要がある海港については、行政効率等を勘案しつつ下関港以外についても執務時間外に職員を常駐させるなどの体制整備を図るよう努める。

(2) 厚生省の検疫所は、海港についても主要空港と同様に利用者のニーズに十分対応できるよう食品の輸入実態に応じ業務体制整備を図る。