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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日) [本部決定]

8-(1) 上陸審査基準等の見直し

○ 問題提起者:在日ベルギー・ルクセンブルグ商業会議所、東京商工会議所

○ 所管省庁:法務省

○ 問題の背景

外国人が我が国に入国・在留するためには、出入国管理及び難民認定法に定める在留資格のいずれか一つを付与されることが必要であり、個々の在留資格に応じて行うことのできる活動及び在留することのできる期間等が定められている。

就労目的の外国人を受け入れる場合にあっては、出入国管理及び難民認定法において、我が国の産業及び国民生活に対する影響を考慮しあるいは不法滞在・不法就労を防止するという観点から、入国・在留管理を適正に実施する必要があるため、我が国に受け入れられることのできる就労の内容・形態に関して一定の範囲やレベルを決め、省令において、事業規模、実務経験、報酬額等の基準を設定した上で外国人の受け入れ範囲をコントロールすることとしている。

(1) 一般的に就労を目的とする場合は「投資・経営」、「技術」、「人文知識・国際業務」、「企業内転勤」等の在留資格が考えられる。

1) 「投資・経営」の在留資格が付与されるためには、事業所として使用する施設が本邦内に確保され、かつ2名以上の常勤職員が従事している事業の経営又は管理に従事すること等が前提となっている。この在留資格の在留期間は最長3年である。
2) 「技術」、「人文知識・国際業務」の在留資格が付与されるためには、本邦の公私の機関との契約に基づいて就労し、かつ学歴・経歴等について一定の要件を満たすこと等が前提となっている。この在留資格の在留期間は最長1年である。
3) 「企業内転勤」の在留資格が付与されるためには、外国にある本社、支社等において1年以上在籍している者が我が国の本社、支社に転勤の形態により就労し、かつ本邦にある事業所の業務に従事しようとする期間が5年を超えないことが前提となっている。この在留資格の在留期間は最長1年である。

(2) 在留期間の更新については、本邦に在留する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができ、法務大臣は、当該外国人が提出した立証資料等により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、これを許可することができる。

○ 問題提起内容

(1) 「企業内転勤」の在留資格で日本に在留している外国人は、毎年就労許可及び在留許可を更新する必要があり、最高4回までしか更新できない。例外として、外国人が日本支社の役員等になった場合は、許可が与えられることがあるが、これは本人を含め1人、2人が勤務している事業所には適用されない。

ベルギー企業の日本人以外の従業員の就労許可及び在留許可の延長の必要性を企業が判断した際には、延長できるようにすべき。

(2) タイの取引先企業から2人のタイ人を日本の会社の共同経営者として呼び寄せようとしたところ、半年以上待ち、貿易業者としては資本金が少なく基準に達していないということで不交付となった。問い合わせを行った際、基準の詳細については教えられないということであったが、基準については明確にすべき。

その後、事務所を拡張し資本金を増やし再申請したところ、半年間の在留資格認定証明書が交付された。現在2人に対しては、日本の企業の役員として給与、社会保険、厚生年金、所得税等すべて他の日本人と同じ扱いをしている。しかし、タイに帰国後、新たに日本に在留するための再度の在留資格認定申請を行った場合、交付される保証はないとのことであるが、日本人と同様の雇用関係にある者に対しては必ず許可してもらえる保証をすべき。

○ 検討結果

国際的な相互依存関係の深化に伴い、国境を超えたモノや資金の移動だけでなく、ヒトの移動が盛んになりつつある。投資とヒトの移動は相互補完関係にあり、新たに国境を超えて事業を始める場合には、多くの場合、ヒトの移動、さらには、そこに一体化された新しい経営資源、技術、ノウハウも移動することが必要となる。こうした生産要素の移動は 、我が国経済を活性化することも期待される。したがって、ヒトの移動の厳しすぎる制限は対日投資の障害、ひいては我が国経済の活性化をも妨げる可能性がある。

こうした観点から、就労を目的とする外国人の在留資格にかかる具体的基準については、健全なビジネスを行おうとする者が我が国に入国・在留することが阻害されることのないように以下のように見直すべきである。

(1) 在留資格のあてはめや審査基準に関しては、健全なビジネスを目的とする者が円滑に入国・在留できるよう、在留資格及び基準の内容について、その解釈や運用指針等を広く示すことにより、なお一層の明確化・透明化を図るべきである。

(2) 「企業内転勤」の在留資格の5年の上限については、所管省によれば平成9年度に検討を行うということであるが、できるだけ早期に検討結果を出し、健全なビジネスを行おうとする者にとって支障がない期間に延長すべきである。

(3) 「投資・経営」の在留資格については、従業員数、事務所の大きさといった形式的な基準によるだけでなく、「企業内転勤」の在留資格からの変更の場合等においては、その経営の実態をみて健全な運営が立証される場合には在留資格変更許可を柔軟に認めるように運用を見直すべきである。


OTO対策本部決定(平成9年3月25日) [報告書]

8-(1) 上陸審査基準等の見直し

(1) 在留資格の当てはめや審査基準に関しては、健全なビジネスを目的とする者が円滑に入国・在留できるよう、在留資格及び基準の内容について、その解釈や運用指針等を広く示すことにより、なお一層の明確化・透明化を図る。

(2) 「企業内転勤」の在留資格の5年の上限については、平成9年度のできるだけ早期に検討結果を出し、健全なビジネスを行おうとする者にとって支障がない期間に延長する。

(3) 「投資・経営」の在留資格については、従業員数、事務所の大きさといった形式的な基準によるだけではなく、「企業内転勤」の在留資格からの変更の場合等においては、その経営の実態を見て健全な運営が立証される場合には在留資格変更許可を柔軟に認めるように運用を見直す。