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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日)

1-(1) ベルギー産ピーマン等の輸入に係る植物検疫制度の明確化

○ 問題提起者:在日ベルギー・ルクセンブルグ商業会議所

○ 所管省庁:農林水産省

○ 問題提起内容

植物防疫法により、ヨーロッパからのピーマンとトマトの輸入は禁止されているが、科学的データの提出等一定の手続を踏めば輸入が解禁される。ベルギーのピーマンとトマトの栽培地域は、オランダのものと同じ地域にあり、同じ病菌のリスクがあるにもかかわらず、ベルギー産は禁止されている。また、オランダには、迅速な輸入のために日本当局者が派遣されていると聞いている。農林水産省はオランダ産を解禁したときのようにベルギー産品を扱う業者に対し協力的でなく情報不足であるので、以下の質問に回答すべきである。

(1) ベルギー産が輸入禁止となっている理由

(2) どのような手続で科学的データを提出すべきか。

(3) 害虫が生産物に存在しないことをどのように証明するのか。(どれだけのトラップを植物のそばに置くべきか)

(4) 害虫が存在しないことを証明するためのトラップ調査に要する費用及び時間はどれ位かかるのか。

○ 所管省庁における対処方針

日・ベルギー政府間では、ベルギーにおけるチチュウカイミバエ及びタバコべと病菌の発生状況並びにベルギー産ピーマン及びトマトの生果実の輸入解禁に必要な検疫措置について協議を開始している。更にベルギー植物防疫当局に対し、ベルギー産品の輸入を禁止している理由、ベルギー側から提出が必要な資料及び輸入解禁のために必要な手続について情報提供を行っており、オランダ政府に対し行ったのと同様の協力をベルギー政府に行っている。

なお、現在オランダに日本の検査官を派遣しているのは、ピーマン等の解禁後にオランダにおいてチチュウカイミバエが発生していないことを確認するためのものである。

質問に対する回答は以下のとおり。

(1) チチュウカイミバエ及びタバコべと病菌がベルギーに発生しているため、その寄主植物であるピーマン及びトマトの生果実については、輸入を禁止している。

(2) 輸入解禁に必要な手続は次の通りである。

1) 検疫措置が有効であることを証明する科学的データの提出
2) 当該資料の日本側による検討
3) 当該資料の科学的根拠が日本側でも認められるものである場合、日本側専門家による現地確認の実施(資料に不足がある場合には追加資料の提出)
4) 現地確認の結果が技術的に問題ない場合には、関係者に対する説明会を開催
5) 公聴会
6) 関係法規の改正(輸入解禁)

(3) 輸入解禁の検討のためにベルギー側から提出が必要な資料は、チチュウカイミバエ及びタバコべと病菌の消毒技術の開発、当該病害虫の寄生を防ぐための検疫措置の確立、ベルギーに当該病害虫が存在しないことの証明のいずれかの措置に関するものである。なお、現在、オランダにおいてはトラップ調査等によりチチュウカイミバエの無発生が確認された地域に限定して日本向けにピーマン等の輸入が解禁されている。ベルギーからはこれと同様の方式による輸入解禁要請がなされているが、解禁のためにはオランダのケースと同様にベルギー政府植物防疫機関が事前にベルギー国内のチチュウカイミバエの発生状況をトラップにより調査した上で、日本向けの輸出が可能なピーマン等の生産地域の位置等を把握する必要がある。

(4) 当方としてはベルギーにおけるトラップの設置に要する費用については知る立場にないが、例えばオランダの場合、輸入解禁を検討するのに必要な事前トラップ調査に要した期間は2年程度であった。