OTOデータベース HOME

市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日)

2-(2) 栄養補助食品の形状等に係る規制緩和

○ 問題提起者:駐日米国大使館、東京商工会議所

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題提起内容

昨年度のOTO推進会議の意見に基づき、厚生省が提案している「医薬部外品」のカテゴリーに栄養補助食品を含めることについては、厚生省が更なる規制緩和を遅らせる可能性がある、国内主要製造業者と厚生省の関係をより強くし、外国製品の参入が厳しくなる、他国にとって不要で複雑な規制(例えば、食品として販売可能なビタミンCの1日当たりの摂取量が75mg以下)が増える、現在「食品」と考えられているものの中から「医薬部外品」としての規制を受けるものがでてくる、等の理由から受け入れられない。

平成8年3月のOTO対策本部決定に対する対応が遅く、一部しか実施されていないことを懸念しているので、本部決定に示された指針が日本政府の公約であることを確認したい。特に、「通常海外で食品として流通・販売されているものが医薬品として規制されることなく食品として取り扱いできるようにする」という公約のスケジュールを正しく知りたい。また、本部決定がすべて完全に遂行されるなら、昭和46年の薬務局長通知を厚生省は廃止するか、大幅な改正をしなければならないはずである。この通知は昭和46年に作られたものであり、現在、貿易の障壁になっている。この通知が現在においても適切なものである理由を明確にして欲しい。

さらに、以下の措置を講ずるべきである。

(1) 栄養補助食品、ビタミン、ダイエット食品は「食品」として薬事法の規制対象から外す。

(2) 海外(例えば米国)において栄養補助食品として流通、販売されているものはすべて日本においても「食品」として販売できるようにし、国際的に見て明らかに薬品と見なされるもののみ薬品としての規制を受けることとする。また、そのスケジュールを示す。

(3) 表示の規制により消費者が混乱なく医薬品との区別ができるなら、形、色を問わずカプセルによる販売を可能とする。

○ 所管省庁における対処方針

ビタミンの取扱いに関する研究班(ACCJの代表も班員として参加)の会議において、一部の委員からビタミンを医薬部外品として取り扱うとの提案がなされ、議論されたことは事実であるが、厚生省が提案した事実はない。

また、平成8年8月に講じたビタミンCの取扱いについては、我が国と同様に食品および医薬品の両方のカテゴリーのビタミンが存在する諸外国の規制状況等を考慮して決定されたものであり、論理的根拠に基づかずに75mgと決定されたものではない。

平成8年3月のOTO対策本部決定は日本政府の対内外的な公約であり、厚生省としてはこのことを念頭に置きながら規制緩和の実施を進めていることはいうまでもないところである。OTO対策本部決定においては、ビタミンについて平成8年度に、ハーブについて平成9年度に、平成10年度から、ビタミン、ハーブ以外のものについてミネラルをはじめとして順次、形状(剤型)及び表示の現行基準をできる限り緩和することとされており、このスケジュールに従い実施する予定である。なお、ビタミンに関しては、ビタミンCについて平成8年8月に形状緩和の措置を実施したところであるが、これは前倒し措置として実施したものであり、引き続き平成8年度末を目途に表示等の取扱いを含めて検討することとしている。

しかしながら、これらの対応は中長期的な課題とされている栄養補助食品という新しいカテゴリーを設けることの検討と関係しており、これらの措置は中長期的な検討の流れの中での部分的な措置として実施されるものである。

栄養補助食品の取扱いについて、平成元年以来、FAO/WHO合同食品規格計画(コーデックス)において、米国、欧州諸国、日本等の各国が参加してそのガイドラインの検討が行われているが、現時点においては、まだ、ガイドラインの合意には至っていない。日本としては、今後ともコーデックスのガイドライン策定の作業に関わっていくとともに、これらの国際的な動向を十分勘案しつつ、並行して新しいカテゴリーを設けることの検討を進めて行きたいと考えている。栄養補助食品をどう位置づけるかについては、国際的にもまだ定まっていないなど不確定な要素も多い問題ではあるが、平成8年度中に、医薬品及び食品を担当する部局からなる省内横断的な検討を開始し、国際的な動向が定まった際には、これに遅れることなく、国際的にも調和された制度がとれるよう対応していきたい。

現在、医薬品と食品を区別するために医薬品の範囲に関する基準(昭和46年薬務局長通知)が定められている。我が国においてはビタミンについて医薬品、食品の両方が存在しており、医薬品と食品を区分するという観点から本通知は必要であると考えている。しかし、OTO対策本部決定の全体についての検討が進み、医薬品と食品に加え新たなカテゴリーが設けられた後には、その結果に基づき本通知も見直しされることになると考えている。

以上のような方針及びスケジュールによりOTO対策本部決定について今後とも検討を進めることとしたい。なお、米国から実施の要請があった3点については以下のとおり回答する。

(1) 米国において栄養補助食品とされているビタミン、ミネラルも、現に、我が国の医療の現場において薬物的な治療に用いられており、ビタミン等を一律に医薬品からはずすということは不適当である。

(2) 米国ではビタミン、ミネラルはすべて食品として取り扱われているが、欧州主要国では我が国と同様に医薬品と食品のビタミン、ミネラルがあり、これらの国では製品に含まれている量により区分しているのが一般的であるなど、ビタミン等の栄養補助食品の範囲や取扱いについては海外諸国において異なっている。

今後、コーデックス等の国際的な動向をみながら日本においても栄養補助食品の範囲等を検討することとしており、例えば、米国で栄養補助食品として販売されているすべての製品を食品として取り扱うことはできない。

(3) 平成8年度中に着手する栄養補助食品に関する省内横断的な検討の中で、医薬品と混同しないような明確な食品としての適切な表示を検討しながら、形状の制限についての緩和も更に実施いくことを考えている。

なお、カプセルの色のついては、いかなる制限も設けていない。

(備考)
問題提起者の見解は以下のとおり。
「当面はこの対処方針で了解。」(東京商工会議所)