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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日)

3-(1) 香港からの絹織物の輸入に係る事前確認制度の即時撤廃

○ 問題提起者:香港経済貿易代表部

○ 所管省庁:通商産業省

○ 問題提起内容

香港から日本への絹織物の輸出は、1979年に事前確認の手続が必要となって以来激減している。この制度はEU、米国、スイス等からの輸出については適用されておらず、不平等なものである。また、香港原産証明を毎月報告するという制度があるので、原産国証明を得るという目的で事前確認制度を維持する必要はない。

WTO繊維協定の実施に伴い、日本政府は本制度を10年以内に段階的に撤廃することとしたが、GATT協定と整合的でないこの制度は即時に撤廃すべき。

○ 所管省庁における対処方針

我が国の絹織物の輸入については、絹織物の主要供給地である中国、韓国と昭和51年度より二国間協議を行い、数量取極を行ってきた。しかるに中国製絹織物に香港等で偽装の染色加工等を施し、原産地を偽って輸入されるケースが多発したため、昭和54年より、香港等かかる事例が多発した地域に対し、上記二国間協議の実効性を確保する観点から、原産地詐称の防止のため、事前確認制度を導入した。

上記以外の地域については、通関時確認制度を導入し、原産地詐称防止を行っていたところ、今後はその他の地域より原産地を偽って輸入されたケースが多発したため、現在、比較的原産地詐称の可能性の低いEC及びその他3ケ国を除いた全世界に対し、事前確認制度を導入している。

いずれにせよ、事前確認制度と通関時確認制度とは手続的な差異はあっても、すべて原産地を確認することには変わりはなく、本制度は香港を差別的に扱ったものではない。

なお、上記の我が国絹織物の輸入に係る一連の措置に関し、我が国はWTO繊維協定に基づき、平成7年の協定発足後10年以内に段階的に措置を撤廃する旨のフェーズアウト計画を平成7年6月にTMB(繊維・繊維製品監視機関)に提出し、その後、了承されたところ。香港産絹織物の輸入に係る事前確認制度についてもこの一環として撤廃することとしており、我が国としては、これを着実に実行してまいりたい。