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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日)

4-(1) 船舶用エンジンの輸入検査の見直し

○ 問題提起者:在日米国商工会議所

○ 所管省庁:運輸省

○ 問題提起内容

ISO9000シリーズ及びLoyd's Register 等の認証を受けた船舶用エンジン製造工場で製造したエンジンであっても、輸入の際には日本の政府による検査を受けなければならない。これら船級協会による認証は世界のほとんどの政府機関によって認められているので、広範囲にわたる個々のエンジンテスト、分解、検査は不要である。追加的に検査を必要とする政府に対しても、メーカーによる自己検査を行い、結果を報告することで認められている。

運輸省及び日本小型船舶検査機構においては、これら国際的に通用する認証は認められず、各々のエンジンの型式や出力ごとに大量かつ詳細な図面、材料試験、耐久試験が要求される。時には工場において一つ一つのエンジンのテストを日本政府の立ち会いの下で(その費用は企業負担)行う必要がある。また、さらに、内部部品の分解や検査が要求されることもある。

小型のエンジンの場合は、検査等を日本で行うことができるが、いずれにせよ、多額の出費を要し、またこうした検査は新たな故障の原因ともなりかねない。日本政府はケース・バイ・ケースで対応しようとしているが、それでは不十分であり、国際的に受け入れられている認証を認め、日本政府による個品ごとの検査をなくし自己認証制度を取り入れるべき。

○ 所管省庁における対処方針

平成8年3月に開催された第8回市場開放問題苦情処理推進会議においても審議・了承されたとおり、一定の船舶は海上人命安全条約等により旗国主管庁の職員が検査を行うこととなっていること等から、問題提起者等が希望するように、旗国による審査・認証行為等を一切行わずに製造事業場の「自己認証」に全て委ねることはできないが、我が国には、施設、要員、品質管理体制等について一定の要件を満たす製造者を国が認定し、該当する検査を省略できる「製造認定事業場制度」があることから、本制度の更なる活用を図るため、例えばISO9000シリーズを活用して認定を進めるなどの方策について平成9年度末までに検討することとしている。

また、提出書類の簡素化及び小型エンジンの開放検査の合理化についても積極的に検討を進める。

なお、平成8年10月に運輸技術審議会に対して、船舶技術の進歩、船舶に関する国際的規制の動向等を踏まえ、船舶の安全を図りつつ、船舶検査の受検者負担の軽減及び利便の向上を図る観点から、船舶の定期検査を見直すための諮問を行い、平成8年12月に定期検査の間隔と実施時期及び実施内容の見直しに加え、船舶検査の合理化を今後さらに一層推進していくべきとの答申等を受けたところである。今後、同答申等に基づき、技術の進歩等を踏まえた検査の合理化について積極的に取り組むこととしている。