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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日)

5-(2) 海外の規格に適合する建築資材の受入れ等

○ 問題提起者:在日米国商工会議所、東京商工会議所、日本貿易会

○ 所管省庁:建設省

○ 問題提起内容

(1) 当社の素材はカウンターや壁、柱の被覆材として使用されている。当該素材は難燃材料に指定されているが、建築基準法令上、内装の仕上げ材は、不燃材料でなければならない。当該素材はASTM/E84のクラス1の試験に合格しており、欧米では広く室内仕上げ用の被覆材として使用されている。不燃材料の試験が厳しすぎ、結果として安全な材料が認められず、競争が妨げられているので、日本においても建築資材の指定に際しASTM/E84のような国際基準を採用すべき。

(2) 米国製の木製防火戸について、日本の甲種・乙種防火戸の認定を取得するため、建材試験センターにおいて防火性能試験を行ったが、甲種・乙種ともにドアーのスコープ(のぞき穴)部よりフラッシュ的発火があったこと、また乙種は加熱面を室外側とした場合に発火があったことにより不合格と判定された。当該防火戸はASTM(米国材料試験基準)の確認を得たものであり、この判定結果は日本の試験方法、結果判定方法が米国と比べ厳しすぎることを示すものであり、外国の基準と比べ厳しすぎるもの、方法が異なるものについては、早急に見直すべき。

(3) 現在、建築基準法令の規定により、準耐火建築物の外壁の延焼の恐れのある部分については耐火構造、準耐火構造または防火構造とすることが必要であり、窓ガラスの断熱性能向上のためアルミサッシ及び網入りガラスの使用が義務づけられている。窓ガラスの断熱性は、木製サッシやプラスチックサッシ及び複層ガラスにおいても非常に高いが、同法令の規定により、現在は木製サッシや複層ガラス等が使用できない。建築基準法施行令第109 条の3第2号イ及び同第110条第2項第4号の規定を撤廃し、断熱サッシ・ガラス等について断熱性能がある外国製品等が普及しやすいようにすべき。

(4) 合わせガラスの強度計算は、日本では合わせたガラスの薄いものを主体に考えるが、英国のBS(英国規格協会基準)では総厚さを一体のものと見直しており、日本より薄いガラスの採用が可能。海外メーカーでは厚さ10mmまでのものしか製造していないため、日本の基準では選択の幅が小さくなり、そのためコストが上がり、建設費のコストアップにつながる。また、採用にあたっては、技術的検討や安全性の確認に多大な労力と費用が必要である。BS、ASTM、DIN(ドイツ規格協会基準)など世界的に認められているものについては、早急に相互承認の体制をとるべき。

○ 所管省庁における対処方針

(1) 建築基準法においては、避難安全性の確保とともに火災の急激な拡大を防ぐことを目的に、建築物の用途、規模、構造等に応じて内装に不燃材料、準不燃材料又は難燃材料を使用するよう規定しており、不燃材料以外の材料であっても使用可能となっている。

建築物の内装材料に関する試験方法は、各国それぞれ独自の方法を用いており、御指摘のASTME84を試験方法として採用している主要国は北米に限られている。このような状況を踏まえて、現在、世界標準化機構(ISO)において標準的な試験方法を策定すべく検討がなされているところであり、我が国においても、その国際会議に積極的に参加しているところである。

また、建設省総合技術開発プロジェクト「防・耐火性能評価技術の開発」において、ISOでの試験方法の改訂作業の動向を踏まえながら、建築材料に関する試験方法の開発を進めているところである。

(2) 日本の防火戸の試験方法は、米国とほぼ同様の加熱試験のほか、衝撃に対する構造安定性を確認するために、米国での注水試験に対して砂袋を用いた衝撃試験を行うこととしており、試験方法については大差ないと考えている。

しかし、建築基準法においては耐火建築物等の外壁で、敷地境界線等からの距離が1階にあっては3m以内、2階以上にあっては5m以内にある開口部について、20分以上の耐火性能を有する防火戸を設けることとなっているのに対し、米国のモデルコードの一つであるUBCによれば、米国の耐火性能を要求される建築物の外壁には、

1) ホテル、共同住宅については敷地境界から5フィート以内、その他住宅下宿については敷地境界から3フィート以内の外壁の部分には開口部を設けないこと
2) それ以外の敷地境界から20フィート以内の建築物の部分には45分以上の耐火性能を有する防火戸を用いること

とされており、外壁の開口部に用いる防火戸の基準としては、日本よりむしろ米国の方が厳しいと考えられる。

また、現在建設省総合技術開発プロジェクト「防・耐火性能評価技術の開発」において、国際標準化機構(ISO)の防火戸に関する試験方法との国際調和化について、その判定方法も含めて検討を進めているところである。

なお、多数の木製防火戸が、日本の告示に定められた防火性能試験に合格し、すでに防火戸として認定を受けている。

(3) 建築基準法においては、開口部を経路とした隣棟間の延焼を抑制するため、防火地域・準防火地域内に建てられる一定規模以上の建築物や3階建て以上の共同住宅等の特殊建築物について、隣地境界線等から一定の距離にある外壁の開口部に「甲種又は乙種防火戸」を用いることと規定されている。

防火戸の構造については、同法施行令第110条に代表的な仕様が規定されている。また、それらの仕様に適合するもの以外のものであっても、建設省告示第1125号に規定されている防火性能試験に合格し、それらと同等以上の防火性能を有すると認められるものであれば、防火戸として使用可能であれば、防火戸として使用可能となっており、木製サッシ、プラスチックサッシ、複層ガラスを用いた窓でも防火性能試験に合格し防火戸として認定を受けたものであれば、使用可能となっており、既に認定を受けたものも存在している。

(4) 屋外に面する帳壁部分に使用する合わせガラスを含むガラスについては、昭和46年建設省告示第109号第三第2号第三における基準に適合することとなっている。この基準では、夏場に台風による暴風が発生する我が国の特徴を踏まえ、暴風による破壊時の破片による危害の防止を考慮し、合わせガラス及び複層ガラスについては、これらを構成する最も薄いガラスの厚さにより基準を定めている。

BS、ASTM、DIN等の規格の合わせガラスについては、この基準を満たしているならば、その証明をもって屋外に面する帳壁部分における使用が可能である。なお、風圧力に対する安全性が告示により定める基準と同等以上であることが確認できるものについては、別途認定を行い、使用が可能なものとすることができる。

また、BS、ASTM、DIN等の規格の合わせガラスに係る相互認証については、建築基準法令上、具体的な規格を規定しておらず、当該法令に関して相互に認証し合う相互認証は考えられない。