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市場開放問題苦情処理推進会議第4回報告書(平成9年3月17日)

8-(4) 中央競馬における外国産馬の出走枠及び海外居住者の馬主登録に関する規制の緩和

○ 問題提起者:駐日オーストラリア大使館

○ 所管省庁:農林水産省

○ 問題提起内容

日本中央競馬会法では、日本中央競馬会(JRA)は規約を定めようとするときは、農林水産省の認可を受けなければならないとされていること等にかんがみ、JRAの規制は事実上政府の規制であり、従って日本政府の規制緩和の方針に沿って、以下の規制緩和を行うべき。

(1) 現在、日本中央競馬会(JRA)によって外国産馬が参加できるレースの数は制限されているが、こうした規制は全廃すべきである。

(2) JRAは外国人の馬主が日本で厩舎を作り、運営できるように馬主登録についての規制を見直してほしい。国内非居住者が馬主登録できない規制を廃止し、国内非居住者によるレースへの参加を妨げないようにすべきである。

○ 所管省庁における対処方針

我が国における競馬は、日本中央競馬会(JRA)などの競馬主催者が、国民的娯楽ビジネスとして行っており、外国産馬の出走制限をはじめ競馬番組及び馬主登録に関することは、競馬主催者の裁量において自主的に決めているものであって、政府が直接介入すべき事項ではない。

本件については、平成6年に在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所から、同様の問題提起がOTOになされており、OTO推進会議の意見に基づき、政府としてはJRAに対し、外国産馬の出走制限緩和計画の着実な実行、海外居住者の馬主登録に係る速やかな検討、及び外国関係団体等の理解を得るための努力について、JRAの取り組みを促した。

さらに、今回の問題提起を受けて、JRAに対し外国産馬の出走枠については、緩和計画の着実な実行及び問題提起者との話し合いを促す(JRAは、3月下旬ないし4月上旬に、オーストラリア及びニュージーランドにミッションの派遣を予定)ほか、OTO専門家会議における各委員の指摘を踏まえ、平成12年以降の外国産馬の出走枠の在り方についても、その検討を促す。また、海外居住者の馬主登録については、JRAが、外国関係団体等の意見聴取や諸外国の調査を行った上、いかなる方法により国内居住者と同程度の適切な審査を行い得るかを速やかに検討するよう促す。

なお、これまでのJRAの対応状況は、以下のとおりである。

(1) JRAは、外国産馬の出走制限について平成4年に公表した「外国産馬の出走制限緩和計画」の内容等を在日オーストラリア・ニュージーランド商業会議所及び本件の実質的な問題提起者であるニュージーランド・サラブレッド生産者協会等に説明するとともに、この計画に基づき、平成8年度には、外国で出走経験のない外国産馬が出走できるレース(混合レース)の編成率を47%とし、外国で出走経験のある外国産馬が出走できるレース(国際レース)数を前年度の6レースから7レースとして、着実に実行している。

この結果、外国産馬の輸入(平成4年85頭→平成8年412 頭)、中央競馬での外国産馬の在籍数(2.1%→10.3%)及び獲得賞金(3.0%→13.9%)についても着実に増加している。

平成9年度以降についても、景気の停滞や外国産馬の活躍等から我が国の軽種馬生産をめぐる厳しい状況のなかで、平成11年度の目標達成に向けて調整を行い、混合レースの編成率を平成9年度50%、平成10年度52%、平成11年度55%とし、国際レース数を平成9年度9レース、平成10年度11レース、平成11年度12レースとすることとした。

(2) JRAの馬主登録に際しては、競馬の公正を確保するため、馬主については、日本中央競馬会競馬施行規程に基づき、人物面及び経済面に係る厳格な審査を行い、また、登録後においても、調査を引き続き行っており、こうした審査或いは調査が困難な海外居住者については、馬主登録の対象としていない。なお、国内居住の外国人の馬主登録は、日本人と同様に扱っている。

JRAでは、海外居住者の馬主登録については、いかなる方法により海外居住者に対し国内居住者と同程度の適切な審査を行いうるのかを検討するため、JRA内部に検討会を設置した。これまで海外の主要競馬国(米国、フランス、英国、豪州、香港、ニュージーランド)の馬主登録等の実情調査を実施し、これら調査結果を踏まえ、主要競馬国別の人物面及び経済面に係る審査項目について検討を進めるとともに、さらに他の諸外国での調査が必要であるか等についても検討を行っているところである。