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市場開放問題苦情処理推進会議第5回報告書(平成10年3月17日) [本部決定] [フォローアップ]

2-(1) 医療用具の外国製造承認における手続の簡素化

○ 問題提起者:台北駐日経済文化代表処

○ 所管省庁:厚生省

○ 問題の背景

(1) 医療用具を輸入する際に必要な承認等

薬事法の規定により、医療用具(同法第2条第4項に基づく薬事法施行令第1条別表第1で定めるもの)を輸入するためには、輸入販売業の「許可」(同法第22条)に加え、品目ごとの「承認」(同法第14条)を厚生大臣から得る必要がある(厚生大臣の指定する医療用具を除く)。

また、医療用具の承認については、外国製造業者が医療用具等の製造承認を直接得ることができる制度(同法第19条の2)が昭和58年に導入された。

(2) 医療用具の承認

医療用具の承認を得るためには、当該用具の構造、効能・効果、性能等が、品質、有効性及び安全性の見地からみて支障がないか品目ごとに審査を受ける必要がある。ただし、厚生大臣が指定した品目については、承認は要しない。

なお、品目ごとの承認を要しない医療用具(省令第18条)としては、医療専門家が直接使用するもので、有効性、安全性及び品質が確認され、技術的にも定着しているものとされる82種類が定められているほか、既に広く用いられかつ有効なことが周知されたものであって、現代の医学・工学等の知識を総合してその品質及び性状を定めた日本工業規格(JIS)に適合する医療用具として128種類が定められている。

また、承認に要する標準的事務処理期間は、新規の医療用具については1年以内、その他の大部分の医療用具については4カ月以内とされている。

(3) 外国製造業者の承認要件

外国製造業者が厚生大臣から直接承認を得る要件としては、医療用具による保健衛生上の危害の発生の防止に必要な措置を採らせるため国内管理人の選任が定められている(同法第19条の2)。国内管理人の選任基準(省令第26条の5)には、国内製造業者等に設置義務のある製造所の責任技術者と同一の要件(省令第24条第3項)が必要とされている。

(4) 諸外国における制度

米国においては、医療用具(一部の低リスク品を除く。)は市販前に国の認証を必要としている。その場合、外国製造業者は直接認証を受けることができる。

EUにおいては、医療用具規制に関する新たなEU指令(医療機器指令)が、1998年6月に施行される予定であり、この指令においては第三者認証機関による認証(一部の低リスク品は自己認証)に基づくCEマーク表示が義務づけられる。CEマーク表示に当たっては、外国製造業者が直接、自己適合宣言をすることができる。

○ 問題提起内容

薬事法に基づき、医療用具(低周波治療器及び体脂肪計)を輸入しようとする際、その承認申請手続には、約1年間もの時間を要するとともに、国内管理人の選任・維持等に多額の費用が必要となるため、輸入数量が少ない業者にとっては相当の負担である。

また、国内管理人の選任基準が厳しく、海外の製造業者が製造承認を直接取得するのは、困難な状況にある。

そのため、国内管理人制度を廃止し、米国のFDAやEUのCEマークのように海外の製造業者が直接製造承認を申請できるよう承認手続の簡素化を行うべきである。また、FDAやCEマーク等をもって代替できるよう相互承認の導入を進めるべきである。

○ 検討結果

所管省によれば、外国製造業者が製造承認申請のために選任しなければならない国内管理人の具体的責務は、当該医療用具の不具合情報の収集や不良製品の回収等である。他方、国内製造業者等に設置義務のある責任技術者は、製造所(輸入業者)に勤務する従業員の監督や製造設備・物品の管理等の責務を第一義的に負っており、国内管理人のように不具合情報の収集等の義務を直接負っているわけではない。このように、国内管理人と責任技術者では、資格要件こそ同一であるが、薬事法において果たすことが求められている義務が異なっている。

薬事法が、外国製造承認という制度により、認証手続における内外無差別を法制度的に確保している点は評価できる。また、その際、国内における医療用具等の使用者の安全を何らかの方法により担保しなければならないという考え方も理解できる。しかしながら、国内管理人の責務である不具合情報の収集等のためには、それにふさわしい事務処理能力があれば十分であり、責任技術者と同一の要件がその責務の遂行に必要不可欠であるとは考え難い。

相互承認の導入については、所管省が外国試験データを原則的に受け入れている点は評価できる。当推進会議建議を受け、政府において「相互承認の推進について積極的に対応する」ことを決定していることもあり、さらに医療用具の種類に応じて、第三者機関の認証の相互承認についても積極的に推進すべきと考える。

以上を踏まえ、所管省においては、以下の対応をとるべきである。

(1) 外国製造承認の申請に必要な国内管理人の資格要件について、1)現実に課されている責務に適合した要件、2)医療用具のリスクの度合いに応じたランク分けをすること、を検討し、平成10年度中に結論を得るべきである。

(2) 家庭用医療用具における承認不要品目の拡大を図るべく既に検討を進めているということであるが、第4回報告書(平成9年3月17日)で意見を付したとおり、平成10年3月末までに検討結果を公表すべきである。また、製造承認が不要となれば、現行制度においても国内管理人を選任する必要がなくなるので、家庭用医療用具以外においても、人体にとってリスクの低い医療用具については、承認不要品目を拡大するべきである。

(3) 諸外国から医療用具に関する相互承認協議の要請があった場合には、その推進について積極的に対応すべきである。


OTO対策本部決定(平成10年3月23日) [報告書] [フォローアップ]

1-(1) 医療用具の外国製造承認における手続の簡素化

(1) 外国製造承認の申請に必要な国内管理人の資格要件について、現実 に課されている責務に適合した要件及び医療用具のリスクの度合いに応じたランク分けをすることを検討し、平成10年度中に結論を出す。

(2) 家庭用医療用具における承認不要品目の拡大について、平成10年3月末までに検討結果を公表する。また、その他の人体にとってリスクの低い医療用具についても、承認不要品目を拡大する。

(3) 諸外国との医療用具に関する相互承認協議の推進について、積極的に対応する。


フォローアップ(平成11年11月16日) [報告書] [本部決定]

2-(1) 医療用具の外国製造承認における手続の簡素化

(1) 医療用具の国内管理人の資格要件の見直しについては、平成11年度中に実施すべく検討を進めている。

(2) 「薬事法施行規則の一部を改正する省令」(平成10年厚生省令第43号、平成10年3月30日公布)及び「薬事法施行規則の一部を改正する省令」(平成11年厚生省令第59号、平成11年4月30日公布)により、家庭用電気マッサージ器、磁気治療器、その他のリスクの低い医療用具について承認不要範囲の拡大を図った。

(3) 医療用具に関する相互承認協議について、EU、豪からの要請を受け、平成10年7月にそれぞれ協議を行ったところであり、今後も継続して協議を行う予定である。